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次世代ERPへの移行を成功させる5つのポイント

日本経済の景気回復は、2019年においても引き続き「戦後最長の景気拡大」というニュースが話題になりました。国民が景気拡大を実感しているかどうか?はさて置き、堅調な業績アップを見せる企業も多く、それに伴い基幹システムを刷新しようという動きが活発になっています。

昨年9月に経済産業省が発表した資料によれば、2025年時点で「21年以上同じ基幹システムを運用している企業」が全体の6割に達すると言われており、国としても日本企業の基幹システム刷新を推奨している現状にあります。基幹システムの刷新は多くの日本企業にとって、そして日本という国にとって早急に取り組むべき重大なIT課題だと言えるでしょう。

そこで注目されているのが、「次世代ERP」である基幹システムです。従来のERPとは何が違うのか?次世代ERPへの移行を成功させるポイントは何か?気になる疑問を解消していきます。

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次世代ERPとは?従来型ERPとの違い

次世代ERPを別の言い方に置き換えると「未来志向型の基幹システム」と表現できます。従来型のERPは、「既存システムで出来ることはすべて備えている」のが当たり前であり、その上で新しい業務プロセスを如何に構築するかに重点が置かれていました。その結果、既存システムと同等の機能を実装するためにカスタマイズとアドオンが膨らみ、保守運用費用や管理負担の増大、バージョンロックやベンダーロックインといった問題が深刻になっていました。2025年に「21年以上同じ基幹システムを運用している企業」が全体の6割に達すると言われているのも従来型のレガシーERPが大きな原因になっています。

一方、企業の中には既存システムが備えている機能にこだわらず、今後の成長戦略やリスクを見据えて柔軟かつ拡張性の高い「未来志向型の基幹システム」を求める声が大きくなっています。次世代ERPは「既存システムで何ができるか?」にこだわらず、新しい基幹システムが持つ機能にフォーカスして、適宜業務プロセスを変革することで柔軟性と拡張性の高い、新しいビジネスを創り出すことを目的としています。

次世代ERPのメリット

次世代ERPを導入することで得られる大きなメリットは、主に2つあります。1つは「カスタマイズとアドオンを最小限に抑えられることから、成長戦略や近代リスクへの対応に投資できる」ということ。もう1つは、「トップダウンでの導入傾向が強まり、ERPの標準機能をそのまま使用することになるため、業務改革が起こしやすくなる」ということです。

特にカスタマイズとアドオンを最小限に抑えられることは、企業にとって絶大なメリットがあります。従来型ERPで増大したSI(System Integration:システム・インテグレーション)サービスを最小限に抑えて、ERP運用にかかる費用と負担を大幅に減少できます。2025年にはITシステムの維持管理費用がIT予算の9割以上に達するという見解もあり、次世代ERPによってこの課題が解決される可能性高くなります。

次世代ERPへの移行を成功させるポイント

それでは、次世代ERPへの移行を成功させるポイントをご紹介します。

1.既存基幹システムの問題を洗い出す

新しい基幹システムへの移行を検討しているということは、既存の基幹システムに様々な問題を抱えているはずです。正しい次世代ERP移行を目指すためにも、まずは既存環境における問題を洗い出しましょう。何が問題で、なぜ刷新するのか?問題の原因は何か?問題の影響や、影響する範囲は?こうした洗い出しを実施することで、今後導入すべき次世代ERPの全体像が見えてきます。

2.業務課題と経営課題を整理する

次に、業務プロセスに潜む課題や経営戦略の達成を阻む課題などを整理してみましょう。次世代ERPへの移行は、今までは不可能だったビジネスモデルを構築し、様々な環境変化に耐えられる柔軟性と拡張性を手にすることです。業務課題と経営課題を整理することで、理想に近い次世代ERPの輪郭をハッキリさせていきます。

3.クラウドファーストで次世代ERPを考える

次世代ERPの主流はクラウド・コンピューティングです。ブラウザを通じて提供させるインフラを活用した基幹システムを構築するか、パッケージサービスとして提供されているクラウドERPを利用します。クラウド・コンピューティングは時代の潮流ですし、今後もビジネスにおける重要性が高まっていくものです。クラウドERPへの刷新を優先的に考え(クラウドファースト)、次世代ERPを素早く構築しましょう。

4.グループ企業での2層ERPを検討する

2層ERPとは、本社で稼働している大型のコアERPにクラウドERPを結合し、グループ企業に同様のクラウドERPを導入することでグループ全体でのシステム統合基盤を作る概念です。海外展開が活発になっている日本企業の現況を鑑みると、事前に2層EPRを構築しておく方が将来的な環境変化へ柔軟に対応でき、かつ国内グループ企業との連携性も高まります。必要に応じて検討する価値はあるでしょう。

5.次世代ERPへの移行に業務改革を伴わせる

次世代ERPへの移行を成功させるためには、柔軟性と拡張性の高い基幹システムを構築するだけでなく、業務改革を伴わせて新しいビジネスプロセスを作り、現代社会に即した企業へと変貌することが大切です。そのためには、次世代ERPへの移行と同時に業務改革を意識し、「デジタル・トランスフォーメーション」の実現も視野に入れる必要があります。

6.ガバナンス強化を意識する

グループ企業や海外子会社での粉飾決算事件が続出し、本社企業のガバナンス体制が疑問視されています。その他、グループ全体にとって致命的なダメージになるようなリスクを徹底的に管理し、ガバナンスを強化しないと数ある不祥事に対応できず、社会的信用を失う結果になります。そうした問題を発生させない仕組みとして次世代ERPを検討し、ガバナンス強化の手段となるようにしましょう。

7.全社統合型のERP構築を目指す

M&A(Marge & Acquisition:合併買収)やグループ企業の再編。多くの企業が激しい変化の波にさらされており、これに対応するために全社統合型のERPを構築することが重要とされています。意思決定に必要な情報をグループ全体から吸い上げ、ビジネス環境の変化にも対応し、幅広い情報可視化によって経営をコントロールすることで、次世代ERPの完成形を目指します。

次世代ERPへの移行は多くの企業にとっての至上命題です。本稿を参考に、自社の次世代ERP移行を見つめ直していただければ幸いです。

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