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プロジェクト管理とPMBOK

情報システム専門誌の日経コンピュータによれば、情報システムを開発し、導入するプロジェクトの成功率は15年前と比較して格段に上がっているとのこと。2003年9月に実施した1回目の調査では、プロジェクト成功率が26.7%だったのに対し、2017年12月~2018年1月にかけて実施した調査では52.8%となっています。確かに、プロジェクト成功率は格段に上昇しましたが、まだ半数近くのプロジェクトは失敗しているという結果です。

では、ERPCRMの導入プロジェクトを成功させるための要因とは何か?その1つは、プロジェクトに必要なフレームワークを取り入れ、体系立てたプロジェクト・マネジメントを実施することでしょう。

そこで本稿では、プロジェクト・マネジメントの現場において世界標準となっているフレームワーク「PMBOK」についてご紹介します。プロジェクト成功のために、ぜひPMBOKを取り入れてみてください。

プロジェクト管理とPMBOK

ERP導入で失敗する8つの理由と回避策

PMBOKとは?

PMBOKは「Project Management Body of Knowledge(プロジェクト・マネジメント・ボディー・オブ・ナレッジ)」の略であり、日本語では「プロジェクト管理のための知識体系」と訳されます。

まず簡単に概要を説明しますと、プロジェクトの最終目標となるQ(クオリティ:品質)・C(コスト:予算)・D(デリバリー:納期)の3つのエリアに対して、「スコープ管理」「要員管理」「コミュニケーション管理」「リスク管理」「調達管理」「ステークホルダー管理」という6つの管理項目、それとプロジェクト全体を管理するための「統合管理」を追加して10の知識エリアと、5つのプロセス、そして3つのパートで分けたプロジェクト・マネジメントの手法です。

PMIについて

PMBOKを運用している非営利団体をPMI(Project Management Institute:プロジェクト管理協会)と呼びます。PMBOKはPMIが1987年に発表した「A Guide to the Project Management Body of Knowledge(プロジェクト管理のための知識体系実践ガイド)」で紹介され、世界で徐々に浸透していきます。4年に1度のペースで改定され、2018年1月にはPMBOKガイドの第6版が日本語版の書籍として販売されています。

PMPについて

PMIが運用している認定資格をPMP(Project Management Professional:プロジェクト管理プロフェッショナル)と呼びます。プロジェクト・マネジメントに関する国家資格であり、PMPはPMBOKガイドにもとづいて実施され、プロジェクト・マネジメントに関する一定水準のスキルを有することをPMIが認定します。

PMP資格はCCR(Continuing Certification Requirements:継続認定要件)というプログラムの履行が義務づけられています。CCRサイクル期間(3年間)でPDU(Professional Development Units:専門能力開発単位)を60ポイント以上取得し、CCRを定期的にパスしないと資格認定が抹消されるため、実践的な国家資格として注目されています。

PMBOKの知識エリア、プロセス、パート

以下の図をご覧いただくと分かるように、PMBOKはまず10個の知識エリアと5つのプロセスによって分けられています。縦軸はプロジェクト・マネジメントに関する知識エリアであり、「品質管理」「原価管理」「スケジュール管理」に加えて「スコープ管理」「組織管理」「コミュニケーション管理」「リスク管理」「調達管理」「ステークホルダー管理」、そして「統合管理」の10個で構成されています。

横軸はプロジェクトの最初から最後までの流れを「立上げ」「計画」「実行」「監視・管理」「終結」という5つのプロセスに分割しています。知識エリアとのマトリクスによって、どのプロセスで何を作成及び管理すべきということが定義されています。

 

プロセス

知識エリア

 

立上げ

計画

実行

監視・管理

集結

統合管理

プロジェクトスコープ記述書暫定版作成

プロジェクト管理計画書作成

プロジェクト実行の指揮及び管理

・プロジェクト作業の監視及び管理

・統合的な変更管理

プロジェクト集結

スコープ管理

 

・スコープ計画

・スコープ定義

・WBS作成

 

・スコープ管理

・スコープ変更管理

 

スケジュール管理

 

・作業の定義

・作業手順設定

・必要リソース見積

・所要時間見積

・スケジュール作成

 

スケジュール管理

 

コスト管理

 

・コスト見積

・予算設定

 

コスト管理

 

品質管理

 

・品質計画

品質保証

品質管理

 

組織管理

 

・要因計画

・チーム結成及び育成

・プロジェクトチームの管理

 

コミュニケーション管理

 

・コミュニケーション計画

・情報の配付

・実績報告

・ステークホルダー管理

 

リスク管理

 

・リスク管理計画

・リスク定義

・リスク定性化

・リスク定量化

・リスク対策計画

 

リスクの監視及び管理

 

調達管理

 

・引合計画

・契約計画

・提案依頼

・発注先選定

契約管理

契約完了

ステークホルダー管理

ステークホルダー特定

ステークホルダー管理計画

ステークホルダーエンゲージド管理

ステークホルダーエンゲージドコントロール

 

さらに、知識エリアとプロセスに交わる引き出しに奥行きがあり、「入力」「ツールと実践技法」、そして「出力」という3つのパートが存在します。このパートでは、「何をもとにして、どんなツールや技法を使って、どんな風に何を作成するのか?」という内容が定義されています。

PMBOKの注意点

PMBOKはプロジェクト・マネジメントに必要な手法を細かく、かつ大々的にまとめた知識体系です。そのため、PMBOKを習得すればプロジェクト・マネジメントを効率良く実施できるものとなります。

おの機会にERPやCRMのプロジェクトにPMBOKを取り入れてみてはいかがでしょうか?

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