帳票/文書管理

企業におけるペーパーレス化の実態について

2015年から立て続けに電子帳簿保存法が改訂されたことで、スキャナ保存が可能となる国税関係書類の範囲が拡充されたり、スマートフォンで撮影した領収書の電子データ保存が可能になったりと、企業の“ペーパーレス化”を促進するための法案が整っていきます。では企業におけるペーパーレス化は実際に進んでいるのか?本稿では、ペーパーレス化の実態に加えて、ペーパーレス化を実現するためのポイントをご紹介します。「オフィスから紙書類を無くし、業務効率をアップさせたい!」と考えている方は、ぜひ参考にしてください。

企業におけるペーパーレス化の実態について

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ペーパーレス化の実態

『平成24年版 情報通信白書』によると、組織及び業務プロセスの改革や取り組みについて状況分析を行ったところ、「社内業務のペーパーレス化」に取り組んでいると回答した企業は全体の29.1%に上っています。

しかし、実際にオフィス内で紙の書類が無くなったと実感している人は多くありません。たとえば、昨年10月に茨城県庁が全国の自治体に先駆け、担当方が電子決済率がほぼ100%に達したことを発表しています。電子決済率はほとんどの自治体で10%以下にとどまり、茨城県庁においても昨年度は11.8%でした。それからわずか1年で99.1%まで上昇したというのですから、驚きです。

ところが、複数の職員によると現在でも部内レベルの決済では従来通り、紙書類も手渡しで回覧され、決裁印の欄に印鑑を押して回しているといいます。このように、組織はペーパーレス化が進み電子決裁率が向上したと考えても、現場では「紙書類事態のままだ」と感じ、双方のギャップが生じていることが少なくありません。

ペーパーレス化に取り組む効果とは?

会社が取り組んでいるペーパーレス化に対し、懐疑的な意見を持っている従業員は多いでしょう。紙書類は完全に無くならないし、業務プロセスの効率化も達成できていない。ペーパーレス化を実施して、どんなメリットがあるの?と、ペーパーレス化へのモチベーションがどんどん下がっていきます。

そもそも、ペーパーレス化には本当に効果があるのでしょうか?

1.多様な働き方を支える

最近では、「働き方改革」の旗のもとにペーパーレス化に取り組む企業が増えています。紙書類を扱う業務の場合、その書類が物理的に保管されているオフィスでの仕事が必須条件になります。一方、電子データとして保管されている書類の場合は、離れた場所からでも簡単にアクセスする仕組みを作れます。オフィス以外の場所、自宅やシェアオフィスでも仕事ができる環境を整えるには、文書の電子データ化が欠かせません。

さらに、同じ書類の同時共有や同時作業などは紙書類では難しかった点で、これらがペーパーレス化によって可能になると、1つの成果物を複数の人間で作り上げていく作業が簡単に行えます。

2.作業工数とコスト削減

ビジネスで作成する紙書類のほとんどは、その内容を自分以外の人と共有し、情報を正確に伝えることが目的です。極端な話、紙と筆記用具さえあれば意図した内容を記述した書類を作成し、その場で相手に渡すことですぐに情報共有が行えます。これが紙書類のメリットです。紙書類の作成・送付・確認と証跡として文書を保存するという4つのプロセスが、オフィス内で完結するため、共通文書による業務は非常に効率的に回ります。

他方、情報共有をしたい相手とのロケーションが少しでも(部署違いなど)離れてしまうと、物理的に相手に紙書類を届ける必要があるため、送付のプロセスに工数とコストがかかります。さらに、書類の数が多くなるにつれて作成・確認・保存のプロセスコストが増大し、印刷の工数やチェックの工数、ファイリングの工数が膨大になります。

ペーパーレス化を推進し、紙書類を電子データとして保存することで印刷は不要になり、送信もリアルタイムに実行できるためコミュニケーションスピードが早くなります。相手が確認する作業もデータとして受信しているため、一覧からすぐに書類内容を確認したり、複数の書類を比較したり、システムに直接データを連携した入力工数を削減することが可能です。

3.業務スピードのアップ

作業工数が減るということは、業務スピードがアップすることを意味します。さらに、作業工数が減ったことによる時間短縮だけでなく、同じ処理でも紙書類では時間がかかっていた作業も効率化でき、品質向上などの付加価値が加わります。

書類が電子データとして保存されている場合は、紙書類ではできなかったスペルチェックや内容の自動チェックも行えます。さらに、紙書類ではヒトが行うしかなかった作業をシステムやAI(Artificial Intelligence:人工知能)に置き換えることが可能となるでしょう。

また、ビジネスのグローバル化が進む現在において、国外取引先と日本語以外の言語で文書取引を行うケースもあるでしょう。こうした状況下では、相手からの書類の翻訳などの確認作業に時間がかかります。紙書類ではなく電子データとして受け取ることで、自動翻訳サービスなどを利用しながら効率的に内容確認を進めていけるでしょう。

以上のように、ペーパーレス化に取り組む効果は確かに存在しています。問題は本質的なペーパーレス化が推進できているか否かです。ペーパーレス化に取り組んでいると一見思えても、実際は従来の紙書類と何ら変わりないというケースが少なくありません。

ペーパーレス化を成功させる最大のポイントとは?

企業がペーパーレス化を成功させるために欠かせない最大のポイントは、ペーパーレスを実現するためのツールではなく、ペーパーレス化を実施する目的を明確にして、業務が変化することになる現場部門の従業員に、その目的を浸透させることです。ペーパーレス化はあくまで手段なので、闇雲に取り組んでも紙書類のメリットを奪うだけで、大した効果が得られなくなります。

ペーパーレス化を実施することで、企業としてどういった将来像を描いているのか?どのような課題を解決できるのか?その効果とは何か?などを従業員に丁寧に説明し、理解を得る活動こそペーパーレスツールを導入することよりも、優先的に取り組むべき活動です。

ペーパーレス化に取り組む前に、目的の具体化や数値化を実施すると共に、実施スケジュールに関しては従業員が変化するための時間を考慮し、作成します。急いで実施したペーパーレス化では期待通りの効果が得られません。変化を嫌う従業員も多いため、ペーパーレス化を慎重に実施していきましょう。

また、企業内にはペーパーレスにできない書類も数多く存在します。その場合には容易に帳票を作成できるソリューションが必要不可欠になりますので両輪で検討することが重要です。

いかがでしょうか?この機会に、自社のペーパーレス化について見つめ直し、正しいペーパーレス化を目指していただきたいと思います。

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