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小売業の利益率について、儲かる企業と儲からない企業の差は?

ビジネスに従事する方々にとって利益の確保は最重要事項であることに間違いありません。小売業においても同様です。しかし、多くの小売業では売上は結構高いのに蓋を開けてみれば利益がほとんどなかったなんていう事態も結構あることも事実です。

「売上」と「利益」についてビジネスパーソンであれば知っていることでしょう。つまり、売上が高くても利益が高いとは限らず、一見して高い売上をあげている企業も、実際の利益は低いかもしれません。小売業で特に大切なのが「利益」を確保することです。

利益率が高ければ売上がそこそこでも会社に残るキャッシュは多くなりますし、逆に利益率が低いと売上が多くても会社に残るキャッシュは少なくなってしまいます。つまり利益率の高い会社ほど「儲かる企業」ということになります。

今回は、この利益率について儲かる企業と儲からない企業とでは何が違うのかをご紹介します。

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利益率とは?

そもそも「利益」とは何でしょうか?その意味について改めて整理していきましょう。

利益とは単純に言えば「売上から経費を引いたもの」であり、会社が自由に使えるキャッシュのことを指します。ちなみに「売上-経費」で求めた利益を「粗利益」や「粗利(あらり)」と言ったりします。ちなみに利益にはいろいろな種類があります。

  • 売上総利益   売上から商品コストを差し引いたおおもとの利益
  • 営業利益   商売活動によって生まれる利益
  • 経常利益   商売活動を含む、通常の活動から生まれる利益
  • 税引前利   益全活動から生まれる利益(税金の影響は除く)
  • 当期純利   益全活動から生まれる利益

そして利益率とは売上に対してどれくらいの利益を得られたかを、パーセンテージで表した数字のことです。

利益率は「利益÷売上×100」で求めることができます。たとえば売上1,000万円のうち100万円が利益ならば利益率は次のようになります。

1,000万円÷100万円×100=利益率10%

このパーセンテージが高いほど利益率が高いということになり、利益率が高いということは通常よりも多く利益を獲得していることになります。

利益率が低い企業と、利益率が高い企業

小売業においては大企業は中小企業よりも売上や利益総額は高いことはいうまでもありませんが、利益率の観点から見ると大企業は中小企業よりも低いというケースもあります。つまり、利益率は企業規模で決まるものではありません。

では、利益率が低い企業と利益率が高い企業の違いとは何でしょうか?

利益率を決めるのは「お客様満足度」

どんな企業でも「お客様満足度」を重視してその向上に努めていることかと思います。実は、このお客様満足度こそ利益率を決める1つの大きな要素になります。

単純に考えれば買値よりも売値を大きくすることで利益は増すのですが、昨今では小売業ごとに価格差を出すことが難しい時代になっています。そのため、どれくらいお客様満足度が高いかによって利益率が決まっていると言っても過言ではありません。

お客様満足度が高い小売業では自然とリピーターが集まり、継続的に高い売上を確保することができます。ではお客様満足度はどのようにして変化するのでしょうか?

それは店舗スタッフが如何に良質なサービスを提供しているかということも重要ですが、店舗がどれくらい優秀な本社のマネジメント指示を実行できているかによります。小売業大手の経営者はどの企業でも「お客様満足度第一」やそれに類似した経営理念を持っています。そこでお客様満足度を第一に考えた指示を店舗に出しますが、それを確実に実行できている店舗は意外と少ないものです。

つまりマネジメントレベルの高い企業ほどお客様満足度が高く、さらには利益率が高くなっています。

マネジメントレベルが低い企業とは

では、マネジメントレベルが低い企業は何がいけないのでしょうか?小売業のどの経営者も同じことを言っていても、それを店舗で実行できている企業とそうでない企業とではマネジメントレベルの差が大きく開きます。

マネジメントレベルが低い企業ではまずお客様満足度を第一に考えた施策が実行されていませんし、情報伝達精度や伝達速度も低い傾向にあります。

たとえばマスコミ関係者が店舗状況の取材をする際に店舗を訪れると、マネジメントレベルが低い企業では取材があることを知らされていなかったということがよくあります。大方、情報の伝達不足が原因なのですが、マネジメントレベルが高い企業ではそういったミスが生じないため、マネジメントレベルが低い企業は情報伝達力が無いという特徴が共通しています。

お客様満足度に無関係な行動が横行している…

マネジメントレベル以外にも、利益率が低い企業の特徴があります。たとえば商品部のバイヤーの中には「メーカーから如何に多くリベート(割戻金)を取れるかが優秀なバイヤーの証」と考えている人がいます。リベートの多いメーカーとの取引を優先して、リベートの多い商品の品ぞろえを強化しています。

しかし、お客様満足度を向上するためにはお客様の声に耳を傾けて、お客様が必要としている商品を揃えることが大切です。にもかかわらずまったく無関係なところに注力しており、「お客様満足度第一」を掲げているにも関わらず矛盾した行動をとっています。

もう1つの特徴は「店舗での実行が不可能なレベルのマネジメント計画を平気で指示する」ということです。日本企業では「会議」や「企画書」といった形式ばったビジネスにこだわる傾向にあります。もちろんそれ自体は良いことなのですが、その傾向が強すぎると「素晴らしい企画書を作ることに命をかけている」ような状況になります。

販売企画部の責任者が作成した素晴らしい企画書を、実際に店舗で実行できるかといえばそうではありません。現場には現場に合ったマネジメント計画がありますし、実行できるか否かを問題とせず次々に無理難題を店舗に押し付けている場合もあります。そうした企業の業績はお世辞にも高いとは言えません。

本社からのマネジメント指示は概ね正しいが…

お客様第一を掲げてマネジメントに積極的に取り組んでいる企業では、本社から与えられる指示は概ね正しいものばかりです。確実に実行することで店舗売上を効率良く向上できますし、それは利益率の高さにつながります。

しかしながら、実際の店舗では忙しくて本社から次々に寄せられる指示を徹底できていないというケースも散見されます。指示に対して1週間2週間と経過してしまうと「まぁいいか」という気持ちになり、次に寄せられるマネジメント指示への対応度も低くなってしまいます。

そのようなケースを防ぐために「スーパーバイザ」を設置する企業も多くあります。スーパーバイザーはいわゆる店舗でのマネジメント指示の実行をサポートする役割を持つ人材です。スーパーバイザは店舗経営に直接関係無い間接費用のようにも思えますが、ここに投資するか否かで店舗売上ならびに利益率が大きく異なります。

また、スーパーバイザーを設置するのと同じく有効な手段がITの活用です。ITを活用することで現場が動きやすくなるだけでなく、ルール化することが可能になります。また、それらは全て見える化できるようになるというメリットもあるでしょう。

今回は小売業の利益に影響を与えるいくつかのポイントに関してご紹介しました。利益確保のために上記の内容を取り組んでみてはいかがでしょうか?

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