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サービタイゼーションとは?AI・IoTとの連携で製造業のビジネスモデルを変革

サービタイゼーション」という言葉をご存知でしょうか?これは今まで販売していたモノを、それ自体ではなくそのモノが生むコトに価値を見出してビジネスモデルを転換するという新しい発想です。

たとえば自動車製造メーカーは、当然のことながら消費者に対して自動車を販売します。消費者も自動車を買っているという認識でしょうが、実際のところは違います。消費者がお金を払っているのはその自動車自体ではなく、そこから得られるコト、つまり体験です。

自動車があることで行動範囲が広がり、今まで行けなかったところに行ける。会社の通勤に使える。毎日のお買い物が楽になる。つまり消費者は自動車そのものというよりも、自動車が持つ利便性や推進力にお金を支払っていると言えます。高級車や人気車の場合は「この自動車を保持しているぞ」という気持ちに対しても、お金を支払っていることになります。

この様に消費者が買っているものはモノでも、実際に得ているのはコトです。モノとコトを切り離して考え、コトに焦点を当ててビジネスを展開するのがサービタイゼーションということになります。

今回はこのサービタイゼーションについて、その基本や必要性について説明します。

AI × 人のビジネス革新

製造業にサービタイゼーションが求められている?

サービタイゼーションは基本的にすべての企業に求められている変革です。とりわけ製造業では、今後サービタイゼーションが進まないと生き残れなくなる時代が到来するとも言われています。

日本では旧来から「サービス=無料で提供されるもの」という認識があります。実際にかかった費用は徴収しても収入源とはみなさない、つまり「サービスとはコストだ」という考え方がビジネスに浸透していました。最近ではクラウドサービスや保守サービスといった言葉が広まっていることで、そうした認識は徐々に薄まっています。

海外では日本のような風潮はなく「サービスとはお金の対価として得るものであり、素晴らしいサービスには喜んでお金を支払うもの」だと考えられています。そのため、日本は海外に比べてサービタイゼーションが遅れているとも言われているのです。

2018年5月に米アトランタで開催されたIFS World Conference 2018(IFSが開催するカンファレンス)にて、のマーク・ブリュワー氏(Global Industry Director)は「なぜサービスが大事か?それは”サービスが世界を食べている”からです。すでに世界経済の70%はサービスですし、サービス収入が20%しかない製造業でも、利益では60%になるでしょう」とサービタイゼーションの重要性について説いています。

製造業でサービタイゼーションが急務とされている理由は、多くの顧客がモノではなくそこから得られる体験や、メーカーが提供するサービスにより価値を見出すようになったからです。

サービタイゼーションはなぜ必要か?

日本は世界的に見ても高い技術力を持つ国であり、モノづくり大国とも称されています。なので日本の大手自動車メーカーや建材メーカーなどは例外なく世界に羽ばたいています。しかしながら、最近では製品品質だけでは世界市場に勝ち残れなくなっています。

製造技術やITテクノロジーの発展によって世界中の企業が高品質な製品を提供するようになっています。それでも日本企業の製品は性能面において他を圧倒していますが、消費者や顧客がそもそも高いスペックを求めていないというケースが少なくありません。

たとえば4Kテレビは電化製品メーカーにとって大な節目になる開発だと期待されていましたが、蓋をあけてみれば想像以上に伸びていないという実情があるように思います。そもそも、4Kテレビを購入しても4K放送専用チューナーが無いと視聴できないことを知っている消費者自体かなり少ないのです。これは消費者がテレビにそこまでのスペックを求めていないことを意味しているのかもしれません。ブルーレイレコーダーではなく、DVDプレイヤーがいまだに売れているのも同じような理由です。

これに対して海外企業の多くは製品品質を向上することに加えて、より高品質なサービスを提供することに注力しています。必要以上のスペックは搭載せず、その分のリソースを消費者がより快適に製品を使えるようにサービスを充実させることにリソースを消費しています。

このように、サービタイゼーションこそが新しいビジネスを創出するためのものとして、強く必要とされています。

AI・IoTとサービタイゼーションの関係

サービタイゼーションを成功させるための技術として注目されているのがAIとIoTです。AIとは人工知能を、IoTとはネットワークに接続されたセンサーやデバイス、つまり「モノのインターネット」を指します。たとえば産業機械を製造販売している企業の場合、顧客に販売したモノに多数のセンサーを取り付けてIoT化し、そこからモノやその周辺に関するあらゆるデータを収集します。

そうすると顧客先で稼働している機械が今どういった状況にあるのかを判断するためのデータを収集できます。ここにAI技術を取り入れれば、AIがデータを自動的に処理し、機械の稼働状況だけでなくトラブルの予兆などを察知し、実際にトラブルが発生する前にメンテナンスや部品交換などを実施できます。いわゆる“遠隔稼働監視”や“予兆保全”を実現するでしょう。

AIとIoTなくしてサービタイゼーションは実現できないほどです。

世界の先進的なサービタイゼーション事例

ロールスロイス(航空機エンジンサプライヤー)

航空機エンジンに設置されたセンターからデータを収集し、データをもとにエンジンの出力と稼働時間を従量課金で提供している。

ティッセンルップエレベーター

エレベーターに設置されたセンサーのデータから故障を予知し、Dynamics 365と連携して適切な人員配置とサービスの提供を実現している。

MacDonald - Miller(建物の機械・電気設備の保守サービス)

監視している建物に問題が発生するとDynamics 365に自動的にデータを送信し、複数のシステム監視をDynamics 365で一本化している

ミマキエンジニアリング(業務用プリンター・プロッターの製造販売)

業務支援とフィールドサービスが統合されたDynamics 365を活用し、IoTを使った既存サービスの価値を高めるためにDynamics 365を基盤として将来的に予兆保全の提供を計画している

製造業のサービタイゼーションに欠かせないDynamics 365

サービタイゼーションを実現するために欠かせないITソリューションは“クラウドERP”です。経営活動に欠かせない基幹システムの数々を予め統合したERP(Enterprise Resource Planning)、これをクラウドコンピューティングで提供するのがクラウドERPです。

Dynamics 365には一般的なクラウドERPのように営業活動や財務会計を効率化するためのアプリケーションが備わっている他、フィールドサービスを最適化するためのアプリケーションやConnected Field Service for Microsoft Dynamics 365を使用したAIとIoTを活用するための基盤がすでに整っています。あとは企業が目指すサービタイゼーションに向けて、それらのアプリケーションや基盤を最適化するだけなのです。

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