ERP

2層erpというERP展開論について

「2層ERP(2Tier ERP)」という、ERP導入・活用方針をご存知でしょうか?これは簡単にいえば、既存の大規模ERPを「コアERP」として、新たにミドルクラスのERPを導入することです。なぜ、コアERPにプラスして新たなERPを導入しなければならないのか。

その理由は、加速する日本企業の海外進出(グローバル化)にあります。

日本企業が海外進出をする上で障壁になりやすいのは、経営陣の意思決定のための情報共有や、同一システムの構築によるコミュニケーションの促進などです。今回は、こうした背景から海外進出に重要とされている、2層ERPについて解説していきます。

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2層ERPとは?

すでに前述しましたが、2層ERPの概要は、コアERPにプラスして新たなERPを導入することです。2層ERPの重要さが増している理由は、これも前述したとおり日本企業が海外進出を行う上で障壁となる課題と、解決するためです。

では、2層ERPはなぜ海外進出の課題を解決できるのでしょうか?

本社と海外拠点のERP要件は違う

海外拠点との情報共有とコミュニケーションを促進するために、本社で導入しているコアERPを、海外拠点に導入しようという動きが少なくありません。これは海外拠点に限らず、国内グループ企業においても、コアERPを導入しようというケースが見受けられます。

しかし、本社と海外拠点、あるいは国内グループ企業では、そもそもERPに対する要件が違います。

≪本社が望むERP要件≫

  1. 会計管理の強化
  2. グループ全体の情報管理強化
  3. 複雑な業務プロセス処理への対応
  4. ITシステム負荷増大に対する拡張
  5. ≪海外拠点やグループ企業が臨むERP要件≫
  6. 本社とは異なる事業・業務変更への柔軟な対応
  7. 事業や地域に密着した個別要件への対応
  8. 低コストかつ短期間での導入
  9. 限られたリソースでの導入・運用

このように、本社と海外拠点やグループ企業の、ERPに対する要件は大きく異なります。本社のコアERPをそのまま海外拠点などに適用してしまうと、高額な導入・維持費用で経営を圧迫し、かつ高い運用負荷でリソースを枯渇させてしまいます。

海外拠点の事情を考えれば2層ERPが最適

では、本社と海外拠点、どちらの要件も満たすERPの導入・活用方法とは何か?と考えたとき、2層ERPがその答えとなります。

まず、本社と海外拠点では法制度も商習慣も、何もかも違います。海外拠点の代表やエンジニアは、当然ながら自分たちが慣れ親しんだ、現地の業務システムを導入したがるでしょう。現地の法制度や商習慣に従うことだけを考えれば、それが一番の方法です。

しかし、それでは本社と海外拠点のシステムが分断化してしまい、情報共有が進まず、コミュニケーションも満足に行われない状態になってしまいます。

そこで、海外拠点がある現地の法制度や商習慣にも対応できる、ERPを導入するとどうなるでしょうか?海外拠点では現地従業員でも受け入れやすいシステム構築が行え、かつ本社との情報共有基盤も整います。コミュニケーションも促進されるので、本社経営陣は海外拠点を含め、グループ全体の情報をリアルタイムで手にすることができるでしょう。

ただ、そうした環境を実現する、ERPは存在するのか?と疑問が生じます。幸いにも、本社と海外拠点をつなぐERPは存在し、すでに多くの海外進出企業が、2層ERPによって成功を収めています。

2層ERPを実現するクラウド型ERPのMicrosoft Dynamics 365

クラウド型ERPは、2層ERPを実現するための重要ポイントです。Microsoft Dynamics 365は、2016年11月にリリースされた、Microsoft社の新たなクラウド型ERP製品です。

まず、2層ERPを実現する上でなぜクラウド型ERPが重要なのか?その答えは、低コストかつ迅速な導入で、さらに運用リソースを削減できることにあります。

クラウド型ERPとは社内インフラを整備する必要なく、インターネット上で提供されているERPを、「サービスとして」利用できる製品です。つまり、皆さんが普段使用しているフリーメールやブラウザと同じで、インターネットへのアクセス環境とPCさえあれば利用できます。

このため、導入コストを削減し、導入期間を短期化することができます。社内インフラを整える必要がないので、ハードウェア費用や導入にかかる人件費を抑えることができるのです。

加えてクラウド型ERPは、提供事業者がシステム運用を行うため、導入企業が運用業務を行うことはありません。これまで大規模なERPに多くのリソースを割いて運用してきた環境でも、そのほとんどのリソースを削減できるというわけです。

クラウド型ERPの、このメリットは海外拠点のERPに対する要件にピッタリとはまります。だからこそ、海外進出には2層ERP及びクラウド型ERPが重要とされているのです。

なぜMicrosoft Dynamics 365なのか?

クラウド型ERPは2層ERPを実現する上で重要です。しかしながら、ただクラウド型として提供されているERPが、海外拠点の現地法制度や商習慣に対応できるとは限りません。最大の問題は、こうした現地への対応にあるといっていいでしょう。

Microsoft Dynamics 365が2層ERPにとって重要な理由は、ここにあります。

Microsoft Dynamics 365は、ERPのMicrosoft Dynamics AXと、CRMのMicrosoft Dynamics CRMを統合し、さらに改良を加えたクラウド型ERPです。現在では、世界4万社以上の企業で、Microsoft Dynamics 365が稼働しています。そんなMicrosoft Dynamics 365の特徴の一つは、多言語・多通貨への対応です。

Microsoft Dynamics 365は41の言語と、複数の通貨に対応していることで、海外進出を狙う日本企業を強く支援します。異なる言語、異なる通貨でシステムを利用しえていても、グループ全体のデータが統合管理されるので、意思決定のための情報を瞬時に手にすることができます。

もう一つ、開発プラットフォームを提供しているという重要な特徴があります。クラウド型ERPといえば、機能が固定されているの製品が通常です。提供事業者が運営し、不特定多数の企業が利用するサービスなので、個別要件に合わせたカスタマイズが難しいという問題があります。

しかし、Microsoft Dynamics 365では開発プラットフォームを提供することで、導入企業側でMicrosoft Dynamics 365をカスタマイズでき、個別要件に合わせたクラウド型ERPの構築が可能です。

本社と海外拠点では、同じ仕事に対するやり方もフローも異なります。このため本社のコアERPを無理やり適用してしまうと、海外拠点の負担は増すばかりです。個別要件に対応しようものなら、開発コストがさらにかかり、システムが複雑化してしまいます。

その点でいえば、Microsoft Dynamics 365は導入企業側でのカスタマイズが可能であり、海外拠点の個別要件を満たしつつも、シンプルなシステム構成を維持することができます。

このように、Microsoft Dynamics 365を2層ERPとして迎え入れることで、海外拠点を含めてグループ全体の情報共有と、業務最適化が促進します。

まとめ

日本の市場が成熟しつつあることを背景に、日本企業の海外進出は今後も拡大するでしょう。その際に、成功を収める企業とは、2層ERPを取り入れている可能性が高いのではないかと思います。日々重要となっていく2層ERPという概念、2層ERPを実現するために、Microsoft Dynamics 365の導入をぜひご検討ください。

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