ERP移行における失敗しない5つのポイント

 2019.07.17  BizApp チャンネル編集部

2018年9月に総務省が発表したレポート『D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』によれば、21年以上同じ基幹系システムを運用している企業は、2025年に6割に達するとされています。要するに、日本企業の半数以上がレガシーシステム(負の遺産)を抱えることになるのです。

この1年弱で、レガシーシステムに対する危機感が経済界全体で増したことは確かです。しかしながら、最新のERP(Enterprise Resource Planning)へ移行するにあたり、適切なプロセスを踏めていなかったり、正しい理解をしていない企業が実は多数存在します。

実際に、経済産業省では2019年7月4日開催した、IPA(Information-technology Promotion Agency:情報処理推進機構)主催の「これからの人材のスキル変革を考える~DX時代を迎えて~」と題したセミナーにて、日本企業のDX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)に対する危機感を訴えています。

参考資料:半数がDXを誤解している?「2025年の崖」に向けた衝撃の調査報告

こうした状況下において、日本企業はERP移行をどのように進めていけばよいのでしょうか?本稿では、ERP移行に失敗しないためのポイントを紹介します。

ERP移行のニーズは“未来志向型”

2012年12月よりスタートしたアベノミクス政策と、その他様々な社会背景によって日本経済は好転し、戦後最大の景気拡大となりました。これを受けて業績が上昇し、既存の基幹系システムを刷新しようと取り組む企業が増えています。

ただし、ERPに対するニーズは数年前と比べて大きく変化しています。過去においてERPを導入する場合、既存システムが提供する機能を可能な限り踏襲していること、が大前提でした。要するに既存システムでできていたことは、ERPに移行してもできて当たり前と言う考えです。

基幹システムに関するお役立ち資料

近年ではこの考え方が一変し、既存システムが持つ機能にこだわらず、将来的な成長戦略やリスクに対応できる、柔軟かつ拡張性の高い“未来志向型”のERPへニーズが集約しているのです。この傾向は、経営者からエンドユーザーまで一貫しているもので、特に事業部門やエンドユーザーは次世代ERPの導入に期待しています。

こうしたERP移行の考え方を“未来志向型に”に切り替えることで、以下のようなメリットが得られます。

  • 既存システムに機能や操作性を近づけるにはアドオン開発やカスタマイズが増えるが、“未来志向型”では将来的な成長戦略やリスクへの対応に、存分に投資できる
  • トップダウンで導入する傾向が強まり、パッケージの標準機能をそのまま使用することになるため業務改革が起こしやすくなる営業担当者

特にアドオン開発やカスタマイズが少なくなるのは“未来志向型”の大きなメリットであり、肥大化するSI(System Integration)サービスを最小限に抑えて、ERPの運用コストを大幅に削減する効果があります。2025年の崖では、システムの維持管理費がIT予算の9割以上になるという指摘もあるため、まずは“未来志向型”のERP移行へと考えを切り替えることが、失敗しないERP移行の最初の一歩となるでしょう。

ERP移行に失敗しない5つのポイント

それでは、ERP移行に失敗しない具体的なポイントを紹介します。

Point①全社統合型のシステムインフラであること

企業のM&A(Marg & Acquisition:統合&買収)やグループ会社の再編など、激しいビジネス環境の変化へ対応するためには、全社統合型のシステムインフラを構築することがとても大切です。意思決定に必要な情報をグループ全体の隅々から吸い上げることで、ビジネス環境の変化へも迅速に対応し、幅広い情報可視化によって経営を柔軟にコントロールすることができます。

Point②ガバナンス強化の手段になること

多くの企業は、ERPで月次決算の情報を集計して、連結決算を行っています。しかしながら、近年では大企業によるグループ会社・海外子会社の粉飾決算が相次いでおり、大きなリスクとして管理されています。

そうした問題を発生させない仕組みとしてERPを見てみましょう。グループ会社や海外拠点の業務内容を本社でも詳細に把握できるような環境ならば、粉飾決算等の不正を見抜く手段になります。ERPでガバナンスを強化するという視点からERP移行を考えていくことが大切です。

Point③“クラウドファースト”であること

グループ会社や海外子会社で全社統合型のシステムインフラを構築する場合は、“クラウドファースト”で進めるのがポイントです。昨今ではクラウドサービスとして提供されるERPが豊富で、それぞれに特徴があります。

中でも海外大手ベンダーのクラウドERPは、グループ会社や海外子会社との連携性に優れており、スピーディかつ簡単にERP移行を実現し、ガバナンス強化の強力な手段にもなるでしょう。

Point④必要に応じて2層ERPの検討をすること

本社で運用している基幹系システムで変更がきかないからといって、グループ会社や海外子会社との全社統合型システムインフラを諦める必要はありません。最近では2層ERPによって、国内外を問わずグループ全体で共有基盤を構築している企業は増えています。

2層ERPは本社で運用している基幹系システムをコアERPとして、そこにクラウドサービス型のERPを接続することで、グループ会社や海外子会社との連携を可能にするシステムの概念です。2層ERPを導入することで、ERP移行にあるさまざまな課題を解決できます。

Point⑤業務改革を伴うこと

昨今の日本企業に必要とされているDXを実現するためには、既存の基幹系システムから新しいERPへ刷新するだけでは不十分です。ERPはあくまでツールであり、そこに業務改革やプロセス改善が伴わなければ従来の環境と全く同じになってしまいます。

さらに、ERP移行に伴いDXを実現して、新しい商品価値やサービス価値の創出を目指すことがDXの本質です。ERP移行によって“未来志向型”の基幹系システムを手に入れるだけでなく、新しいビジネスチャレンジも視野に入れた戦略が大切です。

ERP移行は気軽に、そして慎重に!

従来に比べてERP導入の初期投資が安くなったことから、レガシーERPやレガシーシステムからERPへ刷新するケースが増えています。「ERP=大企業が導入するもの」という認識はすでに終焉し、ERPは中堅・中小企業でも比較的気軽に導入するシステムへと変化しています。ただし、移行にあたって慎重性は欠かせません。ERP移行の目的を明確にした上で、企業にとって適切な製品や導入形態を選び、常に目的を失わないように様々なKPIを立てましょう。その際は、本稿で紹介した失敗しない5つのポイントを意識していただければと思います。

SAP移行アセスメント

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