BABOKとは?
2017.09.08 BizApp チャンネル編集部
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2017.09.08 BizApp チャンネル編集部
日本のITプロジェクトは成功率が低い、と言われています。実際に日経コンピュータが行った調査では、日本のITプロジェクト成功率は31.1%という結果が出ています。日本のIT企業の3分の2以上がITプロジェクトに失敗しているということです。
その成功の定義は、企業ごとにまちまちかもしれません。ある企業ではコストとスケジュールが守られれば成功とみなすかもしれません。また一方では経営課題の解決こそが成功と厳密に定義することもあるでしょう。
何をもって成功かという定義が大切なのは間違いありません。例えば、日経コンピュータの調査では「QCD(品質、コスト、納期)のすべてにおいて、当初計画通りの成果を得た」とITプロジェクトの成功を定義しています。
別のデータを見てみましょう。BABOKを発行している国際非営利団体IIBAがまとめた資料によると、米国のITプロジェクト成功率は34%であり、成功定義については日経コンピュータの定義と同じです。
何らかの問題(品質、コスト、納期)があったITプロジェクトに関しては51%となっています。ちなみにカットオーバー以前にキャンセルになったり、成果物が未完成となったITプロジェクトは15%です。
後者の15%のITプロジェクトは完全なる失敗として、重要なのが51%の、何らかの問題が発生したITプロジェクトです。品質が要件定義を満たしていない、予想以上のコストがかかった、納期が遅れたといったいずれかの問題を抱えているわけですが、それだけでは一概に失敗とは言えません。
予想以上のコストがかかったとしても、納期が遅れたとしても、プロジェクト完了後にそれ以上の利益があれば、これは成功と分類しても良いと判断することも可能です。こうした成功の定義は、各企業によって異なるのではないかと思います。
しかし、何の問題もなくITプロジェクトが完了することが、べストであることは変わりません。そんなITプロジェクトを実現する上で注目されているのがBABOKです。
今回は、このBABOKについて解説していきます。
「A Guide to the Business Analysis Body of Knowledge」の略であるBABOKは、ビジネスアナリシス知識体系ガイドと訳され、ビジネスアナリシスの知識体系をまとめたものです。2005年10月にIIBA(International Institute of Business Analysis)によって発行されました。
ビジネスアナリシスは、IIBAによって次のように定義されています。
ビジネスアナリシスは、ニーズを定義し、ステークホルダーに価値を提供するソリューションを推奨することにより、エンタープライズにチェンジを引き起こすことを可能にする専門活動である。ビジネスアナリシスによって、エンタープライズはチェンジの必要性と合理的根拠を明確にでき、価値を提供するソリューションのデザインを記述できる。
噛み砕いて説明すると、ビジネスアナリシスとは「要件定義に入る前に、開発・導入するソリューションの目的や要求を明確にすること」だと言えます。よく「ステークホルダー間の橋渡しとなるタスクやテクニック」とも言われていますが、まさにその通りです。
ソフトウェア開発や導入といったITプロジェクトでは、要件定義段階に入る以前に、その目的や要求を明確にすることが大切とされています。何のためのソリューションなのか、何を要求するのかが明確になっていないまま見切り発車したITプロジェクトは、そのほとんどが失敗しています。
というよりも、そもそも目的が明確になってしないので成功か失敗かも判断できない状況、と言っていいでしょう。
BABOKはこうしたITプロジェクトの問題を回避すべく、正しい目的・要求設定にもとづいた、要件定義を実現するためのガイドブックなのです。
BABOKは7つの知識エリアと38のタスクで構成されています。その構成は次のようなものです。
いかがでしょうか?
ITプロジェクトを成功させるために実行すべきビジネスアナリシスは、これだけの数があります。しかし、必ずしもBABOKを取り入れなければ失敗するというわけではありません。実はこれらのタスクの多くを、私たちは無意識に行っています。これを「無意識のビジネスアナリシス」と言ったりもします。大切なのは思考錯誤を繰り返し、ITプロジェクトを成功へ導こうという姿勢です。
ちなみにBABOKにおいて度々登場する“ソリューション”という言葉は、人によって定義が異なる言葉です。BABOKを理解するためには、BABOKで定義されているソリューションを理解する必要があるので、その定義も併せて掲載しておきます。
ソリューションとは、組織の現状に加える変更の集まりである。その変更は、ビジネスニーズを満たし、問題を解決し、好機を生かすために加える。
BABOKはあくまでビジネスアナリシスに関するタスクやテクニックを整理したものです。実際にそのまま適用すれば現場で機能するかというと、そうではありません。大切なことはITプロジェクトの種類や性質に応じて、適宜変化を加えることです。また、BABOKの活用範囲はITプロジェクトに限定されないので、様々なプロジェクトに取り入れることも可能です。
ITプロジェクトを成功させたい、QCDを満たしてITソリューションを提供したい、そんなニーズがあれば、一度BABOKに目を通してみてはいかがでしょうか?
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