ERPのバージョンアップで得られるメリットや導入ステップ

 2021.05.30  BizApp チャンネル編集部

ERPを導入する企業には、運用に関わる悩みを抱えているところも少なくありません。特に、インフラの老朽化や保守切れ、ビジネスの変化などの理由でリプレイスを考えている企業は多いでしょう。そこで本記事では、ERPのバージョンアップによるリプレイスで得られるメリットや導入ステップについて解説します。

ERPのバージョンアップで得られるメリットや導入ステップ

ERPのバージョンアップとは

ERP製品では、新しい機能のリリースや既存機能の改修をするために「バージョンアップ(グレードアップ)」が定期的に行われます。このバージョンアップは主にメジャーとマイナーの2つに分かれていて、範囲や更新サイクルによって分類が変わります。

例えば、メジャーアップデートは、数年に1回程度の更新サイクルで、プラットフォームの変更などスケールの大きい修正を行うのが特徴です。

一方、マイナーアップデートは、「1年に数回」「2年に1回」などメジャーアップデートよりも更新サイクルが短く、改修範囲も新機能のリリースなどが主となっています。また、マイナーアップデートよりもさらに短いサイクルでより小規模な機能の修正や改修が行われることを、「リビジョンアップ」と呼びます。

これらさまざまな更新機能があることにより、利用者は常に最新のERPを利用できるのです。

バージョンアップは、保守料金に含まれていることが多く、無料で導入できたり、優遇された価格で利用したりできます。ERPシステムをカスタマイズしていなければ、ERPベンダーから提供されるデータ移行ツールを利用して簡単にバージョンアップが可能です。

ただし、アドオン追加など独自のカスタマイズを行なっている企業は、バージョンアップの際に注意しなければなりません。現行機能と新機能の差分調査や新しい機能に合わせたアドオンの改修を企業が行わなければいけないので、コストやバージョンアップの実施に時間がかかることがあります。

ERPのバージョンアップで得られるメリット

前述したとおり、ERPシステムをカスタマイズしている場合、コストや時間的な負担が増えてしまいがちなことからシステムのバージョンアップに躊躇してしまうかもしれません。
また、サポート期間の終了によるバージョンアップの場合、違う製品の導入を検討することもあるでしょう。

そこでここでは、バージョンアップによってリプレイスを行う場合に、企業にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

作業負荷の軽減

企業が古くなったERPを抱えている場合、グレードアップするか新製品を導入するかの二択に迫られます。アドオンを多く利用している企業では、新しいERPにリプレイスしてシステムを一新してしまおうと考える場合もありますが、新製品の導入にはデメリットが多くあります。

例えば、新しいERPの導入を行う場合、「異なるシステム間でのデータ移行」「現行機能に合わせたカスタマイズ」「作業者への再教育」などの問題が発生するでしょう。

しかしその点、既存ERPのバージョンアップでは、移行プログラムによってデータ移行は瞬時にできますし、アドオン部分も上手く流用すれば改修を最小限にすることも可能です。使用感もそれほど大きく変わらないため、利用者の混乱や再教育もほぼ必要ありません。

このように作業負担を見てみると、グレードアップの方がリプレイスの際の負荷が少ないことがわかります。システム移行は業務稼働の障害ともなるので、オンプレミスからクラウドにシステム移行したいなど、主となる目的がない場合はそのまま利用するのもおすすめです。

コスト削減

ERPのバージョンアップによって発生するコストは、「既存機能と新機能のギャップ分析」「テストの作成・実施」「プロジェクト管理」などのリソースや人的コスト、「ダウンタイム」といった損失的コスト、「ハードウェアの刷新」で発生するコストが主です。さらに変更点が大きい場合は、マニュアルの作成や研修も発生します。

これらを合わせて、ERPを導入したときに比べ65%〜85%程度というのが、バージョンアップ時のコストの目安です。アドオンが少ない場合や無償のバージョンアップや割引を利用すれば、コストをより抑えることもできるでしょう。

一方、新しい製品の導入では、前述したものに加えて「初期費用」「データ移行に関わるコスト」が発生すると考えられます。内容的にはあまり違いがないため、コストも大差ないように思えますが、実際には、発生するコストに大きな違いが生じるのです。

まず、既存のシステムのバージョンアップと新しいシステムへの移行ではギャップ分析の範囲が異なります。新システムでアドオンの開発が必要になる場合は、コストがより発生します。
新しいシステムのためのテストやマニュアル作成なども大規模なものになるでしょう。これらを加味すると、新システムへの刷新よりもバージョンアップの方がコスト削減の期待ができます。

構築期間の短縮

ERPの構築期間は規模によっても変わりますが、新製品によるリプレイスの場合には最低でも1年以上はかかります。システム採用の承認を得るための企画段階を考えると、導入までに1年半以上は見積持っておかなければいけません。カスタマイズのためのアドオン開発が必要な場合は、さらに構築期間が伸びる可能性があります。

その点、バージョンアップでERPをリプレイスする場合は、1年〜1年半以内で構築が収まることも多いです。もちろん改修が必要な規模にもよりますが、新製品を導入するよりも期間を短縮できる場合がほとんどです。

ERPバージョンアップの導入手順

自社向けにカスタマイズしているERPでは、バージョンアップによってアドオンがどのように影響を受けるのか調査しなければいけません。この調査内容によって、対応方針を策定していきます。

対応の方針が決まったら、データ移行プログラムによってデータを移動し、バージョンアップに合わせてアドオンモジュールを反映していきます。これらが終わった後は、アップグレードテストやシステムテストなどの試験段階に入ります。テストを行なって問題がなければ、ユーザー検証へと移っていくのです。

これらすべてを完了できたら、バージョンアップを行なって、実際に業務で使用する運用フェーズに移行していきます。

まとめ

ERPのバージョンアップは、新製品へのリプレイスに比べて作業負荷の軽減や構築期間の短さ、コストの少なさなどさまざまなメリットがあります。

また、今後ERPを導入しようと考えているのなら、バージョンアップ時のサポートも検討材料の1つにするとよいでしょう。

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