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業務改善とは?具体的に何を行い、どのように進めるのか

いつの時代も「業務改善」は多くの企業にとって重要な経営課題です。世界の製造業で「KAIZEN(かいぜん)」が一般用語として使われているように、改善は日本企業のお家芸とも言えるもの。繰り返し、業務プロセスや細かい作業内容を改善していくことで、より良い状態へと持っていく精神があります。

ただし、業務改善に「慣れている」企業と、「そうでない」企業が存在します。前者の場合、改善に取り組みたいものの「一体何から手を付ければよいのか分からない…」と悩んでいる担当者が多いのではないでしょうか?

本稿では、業務改善とは?という基本概念をご説明し、具体的に何を行い、どのように進めていくのかについてのヒントをご紹介します。「令和こそ業務改善に取り組みたい!」と考えている方は、是非とも参考にしてください。

業務改善とは?具体的に何を行い、どのように進めるのか

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業務改善とは何か?

「業務改善」という言葉は、その意味が曖昧にとらえられがちであり、本質を知らない人が多いように感じます。ここでは、「業務」と「改善」に分けて説明していきます。

まず「業務」について。「業務とは何ですか?」と聞かれて、答えに窮するという方はいないでしょう。たとえばある人は、「会社に与えられた仕事のことで、日常的に遂行するべきもの」と回答するかもしれません。しかし少し違います。「業務」とは、「ビジネスが持つ最終的な目標を達成する(成果物を生む)ために、会社が持っている人材や資材や設備、知識やノウハウなどの資源を、別の価値へと変換するもの」です。

たとえば製造業務は、仕入れた原材料を生産ラインに投じて、そこにいる人や機械が部品を組み立て、完成品を販売することで最終的に別の価値へ変換します。コンサルティング業務等は資材や設備は使いませんが、組織や個人が持つ知識やノウハウを顧客にとっての価値に変換しています。

では「改善」とは何か?これは簡単です。今ある事柄の中で、悪い状態、またはあまり良くない状態にある事柄を改め、より良くするための活動です。さらに、良い事柄をさらに良くするという意味合いでも使われます。

これら2つの言葉の意味を繋げると、業務改善とは「会社が持つ様々な資源を別の価値へと変換する工程の中で、悪い/あまり良くない/すでに良いものをより良くするための活動」だと言えます。

業務改善に取り組む5つの「〇〇化」

業務改善の言葉の本質を知ることはとても大切です。しかし、それを知っただけで具体的な取り組み方が自然と分かるわけではありませんので、ここでその取り組み方についてご紹介します。

業務改善に取り組む際は、5つの「〇〇化」を基本とします。①可視化、②定量化、③課題化、④実践化、⑤定着化というプロセスを順番に処理することで、体系的に業務改善を実施できます。

①可視化

最初のプロセスでは、業務改善を実施したい分野において、その分野が持つ「業務」と「抱えている問題」を目に見えるようにすることから始めます。要するに、現状把握を行うということです。

今、どのような業務が日常的に遂行され、そこにどんな問題があるのか?これを知らない限り業務改善に取り組むことはできません。一般的には「業務フロー図」などに業務内容をまとめて、現場へのヒアリングなどを通じて問題等を把握していきます。

②定量化

ある分野が複数の問題を抱えている場合、そこにあるすべてを一度に解決しようとするのは現実的な話ではありません。業務改善に避ける時間や人材は限られていますし、その中で最大限の成果を上げなければいけないわけです。

そこで、優先度の高い問題や、かんたんな改善で高い成果が上がりそうな問題から積極的に改善へ取り組んでいきます。解決すべき問題が決まったら、「目的」と「目標」を定めましょう。

何のための業務改善なのか?いつまでにどれくらいの成果を上げるのか?こうした目的と目標は、業務改善へ取り組むにあたって大切な指針になります。指針があれば行動も取りやすいので、次のプロセスに移行しやすくなります。

③課題化

解決すべき問題の定量化が済んだら、それを実行するために必要なタスクを洗い出していきましょう。実行するタスクによって業務改善の成果が大きく変わってくるので、業務改善の中では一番重要なポイントであり、腕の見せ所とも言えます。

タスクはできる限り細かく設定することで、関係者間でタスクの振り分けがしやすくなります。加えて、各タスクを評価する方法を定めておくと、後々に役立ちますので忘れずに定めておきましょう。

④実践化

いざ、業務改善に向けて設定したタスクを実践していきます。このとき大切なポイントは、計画したタスクに沿って極力実践していくことです。業務改善というのは、1度で完了するものではなく、繰り返し行うことで最大限の成果を上げることができます。

しかし、場当たり的に計画したタスクと異なるものばかり実践していくと、各タスクを評価することが難しいので、次の改善へと繋げることができません。さらに、タスクを実践する際はKPI(重要業績評価指標)を用いながら実践していくことをおすすめします。

KPIとはタスクの進捗率や完了率を表すもので、1つ1つのタスクを的確に実践していくのに役立ちます。

⑤定着化

1つの課題を解決するために複数のタスクを設け、実践し、想定していた目的と目標が達成すれば、業務改善はひとまず成功と言えます。しかし、それで終わってはいけないのも業務改善です。

改善活動を行う中で、どのような成果が上がったか、効果が表れたかを評価します。その評価が良ければこれまで行ってきたことを定着させていき、持続的に実践できるようにすることが大切です。

もしも業務改善の結果が芳しくないものならば、①可視化から再度プロセスを開始して何が問題なのか?を明確にし、さらなる改善を目指しましょう。

これら5つのプロセスに沿って業務改善を進めていけば、業務改善へ体系的に取り組んでいけるでしょう。特定の問題を解決するのに、具体的にどういった策を講じればいいかについては、業務改善の成功事例などをもとにして考えると分かりやすいかもしれません。

ただし、他社が実践したタスクが自社にそのままフィットするとは限らないので、必ず自社の業務環境や人材資源などを考慮した上で、カスタマイズしたタスクを実践してください。

PDCAサイクルを回す!

最後に、業務改善はよく「PDCAサイクルを回すことが大切」と言われていますが、これは紛れもない事実です。業務改善は画一的なものではありませんし、1度の取り組みで完了するものでもありません。その都度形を変えて、永続的に取り組んでいくことで、その時々のビジネス要件にマッチしたものへと業務を変化させ、効率性を高めていくことができます。

皆さんも、業務改善へ取り組む際は5年10年さらにはもっと未来まで取り組んでいくことを想定しながら、無理のない範囲で活動を実施していくことを心掛けましょう。長いスパンで考えれば、人材に負担がかかるような業務改善は決して行いませんし、結局はそれが個人と組織にとって最良の業務改善になります。

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