ビジネスモデル変革とは成功のポイント

 2017.07.21  BizApp チャンネル編集部

“ビジネスモデル”という言葉を聞くようになってから十数年。現在では広く普及したように思えます。この言葉の起源にもなっているのが1998年に米国で申請された“ビジネスモデル特許”でしょう。一時期盛んにメディアに取り上げられていましたが、現在のビジネスメディアとは、似て非なるものです。

そもそもビジネスモデルとは

ビジネスモデルへの解釈は様々で、明確な定義は複数ありこれと言ったものがないのが現状です。ここでは「儲ける仕組み」という、本質を突いたごくシンプルな解釈で進めていきたいと思います。

ちなみにビジネスモデル特許とは、“コンピュータ・ソフトウエアを使ったビジネス方法に関わる発明に与えられる特許”であり、「儲ける仕組み」そのものに与えらえる特許ではありません。実際に、フリーミアム※などのビジネスモデルに特許が与えられた、という話は聞いたことがありませんね。

※基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組み 引用:Wikipedia「フリーミアム」

強く求められている“ビジネスモデル変革”

「儲ける仕組み」が無ければ企業を存続させていくことは出来ないので、どんな企業でもそれぞれにビジネスモデルを持っています。前述したフリーミアムだったり、クラウドサービスだったりと様々です。最近ではオンライン(EコマースやSNSなど)とオフライン(実店舗など)の販売チャネル統合する、オムニチャネル化が注目されています。

こうしたビジネスモデルの変化が進む中、現代社会を生きる企業は今、早急な“ビジネスモデル変革”が強く求められています。

では、ビジネスモデル変革とはどういった変革なのでしょうか単純に考えれば、現在のビジネスモデルから新たな方向へと舵を切り、新しい「儲ける仕組み」を考案し実践すること、と捉えることができます。しかし、ビジネスモデルとは果たしてそれだけなのでしょうか

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ビジネスモデル変革とはどういうことか建機メーカーA社の事例

では、ビジネスモデル変化とはどういうことなのか、その本質を建機メーカーA社の事例と共に確認していきます。

A社の歴史は古く、創業は60年前以上になります。創立当初は農機具の制作からスタートしたA社の事業ですが、現在では油圧ショベルやブルドーザーといった、大型の建機事業が主軸です。約200名の社員、中国や韓国での現地法人、売上も概ね順調で企業としては何ら問題のない経営を持続していました。

しかし、数少ない問題の中で最も深刻になっていたのがA社へのクレームです。その内容は「建機が盗難された、どうしてくれる」というもの。実は、建機は盗難発生率が多く、盗難された建機により銀行ATMが破壊されるといったニュースもありました。

一般社団法人日本建設機械レンタル協会へ寄せられた盗難情報によると、今年5月30日から6月21日の間に、全国で15件もの盗難事件が発生しています。実際の被害はさらに多いのではないでしょうか。

引用:平成29年度建設機械盗難調査報告書

自動車が盗難されるのとはわけが違うので、建機の盗難事件は依然として深刻です。

A社では自社の建機が盗難されたというクレームに対し、建機が盗まれたのは顧客の管理問題という姿勢を貫きつつも、建機のセキュリティ問題は早急に解決すべき課題としました。

そこでA社はGPSとセンサーを建機に搭載することで、位置情報を取得しそれをモニターで制御するという対策を考えました。当時すでにGPSが安価になっていることや、技術的にも実現可能であったことから具体案も進んでいました。しかし、経営層の「どこから儲けが得られるかわからない」という意見から、開発を躊躇したそうです。

ところがその後、A社の建機を主に取り扱っているレンタル会社の経営者から、「建機の稼働率をオフィスにいながらにして把握したい」という依頼があったそうです。レンタル会社は建機の種類ごとに稼働率を把握できれば、顧客のニーズに合わせレンタル建機のラインナップを無駄なく揃えられる、と考えました。

ニーズがあることを知ったA社は、GPSを活用したモニターシステム開発のGOサインを出しました。

1年以上の期間をかけて完成したモニターシステムには、それなりの開発コストがかかりました。しかしA社の代表は、それを製品の値段に上乗せずに提供したそうです。モニターシステムを標準搭載することで他社との差別化を図り、横ばいになっている売上の打破が狙いでした。

結果としてその狙いが当たり、A社の売上は飛躍的に伸びました。A社は従来の製品にモニターシステムを標準装備し、建機の稼働状況モニタリングを提供するという新たなビジネスモデルによって、成功を得たのです。

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ビジネスモデル変革は、必ずしも劇的なものではない

A社の事例から読み取れることは二つあります。一つは、劇的な変化でなくともビジネスモデル変革は可能ということ。もう一つは、顧客の利益も考慮したことで成功したということです。

A社はモニターシステムの開発に1年以上をかけたものの、結果から見れば従来の製品にモニターシステムを搭載した、というシンプルな変革です。“ビジネスモデル変革”を聞くと、どうしても劇的な変化を想像しがちですが、実はそうした変化に挑んだ企業ほど失敗しています。

ビジネスモデル変革はもっと小さく、シンプルなものでも変革です。必ずしも劇的な変化をもたらすことが、自社にとって最善とは限りません。その点から考えれば、A社は身の丈に合ったビジネスモデル変革で成功を収めたと言えます。

「儲ける仕組み」という意味のあるビジネスモデルなので、ビジネスモデル変革を行うというときに自社に利益ばかりを追求する姿勢がよく見られます。しかし、自社に利益は顧客の利益の上に成り立っていることを、忘れてはなりません。

A社はモニターシステム開発に1年以上の期間と多くのコストをかけたにも関わらず、そのコストを製品に上乗せすることを避けました。これは結果として、“顧客の利益も追及した”ことになり、成功要因の一つであることは間違いありません。

特にA社ではモニターシステムのニーズがあると把握していたため、こうした思い切った判断が下せたと言えます。そこから考えるに、ビジネスモデル変革を成功させるためには、市場のニーズを把握することが先決でしょう。

現状に合ったビジネスモデル変革が大切

ビジネスモデル変革に関する事例は数多くあります。そのうち成功したものもあれば、失敗したものもあります。多くの事例を見て読み取れることは、やはり“無理なビジネスモデル変革は失敗する”ということです。経営者のトップダウンでビジネスモデル変革に挑んだものの、身の丈に合わない変革で失敗するというのはよくあることです。

従って、そのビジネスモデル変革は自社にとって本当に必要なものか、自社に合ったものかどうか、見極めることに時間をかけていきましょう。

参考資料:ビジネスモデル変革には現実的視点を


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