経営/グローバル

業務の品質向上を実現するためには?そのポイントを解説

サービスの品質向上、商品の品質向上、企業の経営課題には常に何かしらの“品質向上”が存在します。では“業務の品質向上”に取り組んでいる企業は、どれくらいいるでしょうか

“業務の品質向上”とは、意味はそのまま、日々皆さんが行っている業務の品質を高めるという取り組みです。作業効率アップやコスト削減と言い換えれば、多少馴染みのあるものになりますね。

業務品質を高めるめには「5つの化」というポイントがあります。これは経済産業省と株式会社日本能率協会コンサルティングが共同で作成した、業務品質向上のための改善マニュアルに記載されているポイントです。

今回はこの「5つの化」を中心に、業務の品質向上について触れていきます。

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可視化、定量化、課題化…

“業務の品質”とは銘打っていますが、業務品質が向上したというのは、果たしてどういった状況なのでしょうか。第一に、皆が同じ業務を、同じように遂行できるようになった、という状況を指します。

組織には様々な人間がいるわけですから、能力の高い従業員もいれば、スキルがまだまだという従業員もいます。どちらが良くてどちらが悪いという話ではなく、組織とはそういうものなのです。しかしそこで割り切ってしまっては、企業としての成長が止まってしまいます。

大切なのはスキル不足の従業員を如何に、能力の高い従業員に近づけるかということです。

そのためにはまず、同じ業務を同じように遂行できるよう、環境を整えなければなりません。例えば製造ラインにおいて不良率の発生が非常に少ない従業員がいるとします。この従業員がなぜ不良率が低いかというと、一挙一動に無駄がなかったり、的確な確認作業を行っているからです。つまり、この従業員が行動をマニュアル化すれば、製造ライン全体の不良率を低下できるというわけです。

このように、同じ業務を同じように遂行できるという環境は、業務品質が向上したと言っていいでしょう。不良率が低くなった結果として生産リードタイムが短縮され、さらには利益率も向上します。

他にも様々な業務品質向上がありますが、いずれも業務改善を行うことで、何らかの利益をもたらすものが業務品質が向上した、ということになるのです。

業務改善とは」の詳細はこちらでもっとご参考にしてください。

この業務品質向上を実現するためのポイントが「5つの化」であり、次のような構成となっています。

  1. 可視化
  2. 定量化
  3. 課題化
  4. 実践化
  5. 定着化

「5つの化は」一つのサイクル

まず可視化とは、現状業務、課題、成果をハッキリとさせることです。現状業務を把握しなければ、課題を決めることはできません。課題を決めなければ、何をもって成功とするのか、という成果を決めることができません。

可視化では、これらを順序立ててハッキリとさせることが大切です。

定量化では、現状を踏まえて必要なものを測定します。目標を設定すると言い換えてもいいでしょう。業務品質向上では一貫した取り組みを行うため、具体的な数値で示した目標を持たなければなりません。

次に課題化で、目標を達成するために必要な要素を洗い出します。つまりタスクを設定し、「何を」「どの順番で」「どれくらいの期間で」処理しているかを決めるのです。

実践化は文字通り、前工程で策定してタスクを実践していきます。ここで大切なのは、のちの評価のために実績を記録しておくことです。

最後は定着化。すなわち、実践したタスクの結果を評価し、改善に向かうようであれば現場に定着していきます。評価の結果が悪ければ新たな改善案を打ち出していくために、再び可視化に戻りましょう。

このように、「5つの化」は一つのサイクルとして構成されており、このサイクルを回していくことで、継続した業務品質向上を行うことができます。皆さんが良く知るところのPDCAサイクルを同じような概念です。

業務品質向上への取り組みは“前準備”が大切

「さっそく業務品質向上に取り組もう」と、いきなり行動を始めたとしても、取り組みが上手くいくことは稀です。業務品質向上を成功させるためには、前準備が何よりも大切になります。

第一に、業務品質向上推進部門を設置して、担当責任者を決めます。部門といっても大がかりなものにする必要はなく、組織規模に応じて最低限の人数で構いません。しかし、業務品質向上において事実上の実権を握るわけですから、非常に責任あるポジションです。

通常は業務品質向上に関係する部門をそのまま担当部門します。しかし、組織全体の業務品質向上を行うのであれば、複数部門から適任者を招集するのが良いでしょう。

次に、業務品質向上に関わる各部門の責任者を決めます。部門内の業務品質向上活動の管理や進捗確認はこの責任社が行い、推進部者に報告します。

さらに経営幹部と業務品質向上推進部門の責任者によって、改善マニュアルの規定や、プロジェクトの進め方を決めていきます。これをスケジュールとして落とし込み、業務品質向上のプロジェクトが立ち上げます。

最後は全従業員に取り組みの目的や内容を説明し、理解を得ることが大切です。多少の強制力を持たせるためにも、企業のトップか経営幹部クラスの人間からメールないしは社内報で発信するのが良いでしょう。

ここまでの流れはあくまで“前準備”です。繰り返しますが、業務品質向上ではこの前準備が何よりも大切なので、時間をかけて行いましょう。

ITを活用することが大切

業務品質向上は意欲さえあれば、明日にでも始めることができます。一つ一つの業務には想像以上の“ムダ”が往々にして隠れているので、これを改善することができれば、より良い業務品質を生み出すことができます。

しかし、手動による業務品質向上には、限界があるのも事実です。例えば営業担当ごとに分散・管理されている顧客情報を共有することは、容易ではありません。

特にExcelで管理している場合は情報共有が難しいので、結局は営業個々に情報が分散してしまい、部門全体で情報資源を活かすことができなくなってしまいます。

そこで、適宜ITを活用するという考え方が大切です。例えばCRM(Customer Relationship Management)を導入することで、営業はシステム上で顧客情報を管理するようになります。資本金や前年度決算情報、担当者名などの基本情報だけでなく、顧客情報に紐づけて商談内容を管理することも可能です。

それだけでなく、システム上で管理されている顧客情報は、営業部門全体での共有が容易になります。今まで営業個々に分散していた情報が一ヵ所に集約されるので、そこからベストプラクティス(財前の業務プロセス)を生み出したリ、情報共有を加速させて部門全体で営業活動に取り組むこともできます。

これも立派な業務品質向上です。結果として部門全体の営業パフォーマンスが向上し、利益拡大を実現できるでしょう。

まとめ

目の前にある課題に対して、「なんとなく」で改善案を考えても業務品質向上は実現しません。ここで紹介したように、入念な前準備と「5つの化」を実践に取り入れることで、初めて業務品質向上が成功します。皆さんも、“業務品質向上”が単なる掛け声で終わらないためにも、ここで紹介したポイントをぜひ取り入れてみてください。

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