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契約書管理の重要性と業務改善のポイント

ガバナンス(内部統制)強化、コンプライアンス(法令遵守)維持といった社会的信用にかかわる項目の管理が企業にとって重要とされている昨今、文書管理は今まで以上に欠かせない業務となっています。その中でも特に重要なのが「契約書管理」です。ビジネスにとって大切な契約書を紛失等のリスクから守りつつ、いつでもその情報を引き出せるような管理が必要です。

本稿では、この契約書管理の重要性と、業務改善のポイントについて解説します。

業務改善とは」の詳細はこちらでもっとご参考にしてください。

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「契約書管理」とは?

契約書管理とは一般的に、個人や組織が保管する契約書明確なルール・仕組みにもとづき、適切に管理することを指します。具体的には、以下のような要素が必要になります。

1.契約書情報が共有可能な状態にある

顧客と直接的な取引のやり取りを行うのは主に営業担当者です。しかしながら、取引契約書の内容は経理担当や法務担当が確認・承認することが多いですし、営業担当者の上長などに承認フローを回す必要もあります。こうした状況において、各人が取引契約書をバラバラに管理してしまうと、他の担当者との情報共有に必要以上に時間を割いてしまったり、情報の錯誤が起こったりもします。従って、契約書情報を共有可能な状態にするように、契約書の作成・確認・承認をスムーズに行えるように共有可能な状態を作る必要があります。

2.契約書のライフサイクル管理が行える

各契約書には契約期間が規定されています。条件により、契約期限が過ぎたら自動的に更新されたり、あるいは契約が解除になったりすることがあります。契約期限を管理し、必要に応じたアクションが取れるよう管理し、かつ契約書のライフサイクルも徹底して管理できるようにします。

3.契約書へのアクセス権限を設定する

契約書を共有可能な状態にすることでさまざまな業務効率がアップしますが、情報保護の観点から特定の人から閲覧できないようにする必要もあります。そのため、アクセス権限を設定しておくことも、契約書管理の一部だと言えます。

契約書管理の重要性とは?

契約書管理を徹底して行うためには、その重要性についてしっかりと理解しておく必要があります。では、契約書管理の重要性とは何でしょうか?

リスクマネジメント

契約書を管理する第一の重要性は「多数のリスクを管理すること」、いわゆるリスクマネジメントです。契約書には契約に関する条件・規約・詳細等が記載されていますが、契約相手が万が一契約内容に違反するような行為をした場合、契約書の記載内容に従って損害賠償を請求したり、契約解除を直ちに実行したりといった措置を取り、会社とその利益を守る必要があります。

しかし、契約書がしっかりと管理されていない場合、契約条件や期間の確認が取れず、あるいは遅れ、必要な措置を講じることができなくなる可能性があります。たとえば紛失していなくても、関係者間で契約書が適切に共有されていないと、契約違反に気づかないままビジネスを進行してしまい、会社にとって不利益が生じる可能性があります。

そして、近年特に注意すべきリスクが「情報漏えい」です。外部からのサイバー攻撃によってサーバーから情報が持ち出されたり、あるいは契約書や顧客情報が記載された書類を入れたカバンをどこかに置き忘れてしまったり、情報漏えいのリスクは日常的に潜んでいます。従って、契約書管理を徹底することはリスクマネジメントを徹底することにも繋がり、会社やその利益を守ることになります。

業務効率の向上

契約書管理の重要性としてもう1つ挙げられるのが「業務効率向上」です。たとえば、契約書保管を各担当者や各部門がそれぞれ個別に行っている場合、他部門が主体となって締結された契約書の内容を参照しようにも、保管場所や保管方法がバラバラでは見つけるのに時間がかかります。

ただし、契約書管理を行い、情報をデータ化して検索できるようにしておけば、営業担当者が契約内容を確認する際に、その都度契約書原本を探したりする手間がかかりません。契約書管理を徹底することで社内の情報共有が密接になり、問い合わせも迅速に行えます。

さらに、過去の契約書情報へ簡単にアクセスできる環境を整えておくことで、契約締結や契約期間の記事を事前に把握できるようになり、最適なタイミングでクロスセルや新サービス紹介など、次のアクションを起こしやすくなります。

契約書管理のポイント

契約書管理で一番大変なのが、ルールや仕組みを作りそれを全社的に適用することです。一度ルールや仕組みが定着すれば、あとは運用を軌道に乗せていき、適切な運用がなされているか定期的にチェックするだけでよいため、運用段階では大きな手間は発生しません。ここでは、契約書管理を始めるためのポイントについて解説します。

1.契約書管理の管轄部門・担当者の策定

まず大切なポイントが、契約書を管理する管轄部門や担当者を決定することです。「契約書管理のためにわざわざ新しい組織を設置するのはどうか?」という声もあるでしょうが、契約書管理を軌道に乗せて徹底するためには、やはり契約書管理に特化した組織が必要です。その際に、契約書管理の目的やゴールを明確にしたり、契約書管理を徹底することでどういった効果があるかなどをメンバー全員で共有・理解する必要があります。

2.契約書管理台帳の作成

契約書管理の管轄部門や担当者を設置したら、体制づくりを進めていきます。そのためにはまず「契約書管理台帳」を作成しましょう。契約書管理台帳は、契約書を電子データとして保管した内容、保管場所を管理するための帳簿です。多くの場合はExcelなどの表計算ソフトで作成することが多いでしょう。その際は、以下のような項目を含めることをおすすめします。

  • 契約書分類
  • 契約名
  • 契約番号
  • 締結先名
  • 取引先担当者
  • 社内担当者
  • 契約締結日時
  • 自動更新の有無
  • 契約解除通告期限
  • 原本保管場所

3.現時点で保管されている契約書の棚卸・台帳登録

上記2つのポイントは、これから作成される新しい契約書を管理するためのものです。次に、現時点で保管されている契約書の棚卸しを行い、契約書管理台帳に登録する必要があります。

棚卸の際は契約書の内容を1つずつ確認し、作成した契約書管理台帳に入力していきます。契約書棚卸ではすべての契約書を台帳に登録するのが理想ですが、契約書数が多い場合は時間がかかるため、現場に負担がかかります。その際は、必要最低限チェックすべき項目を決めておき、その項目を優先的に確認、台帳へ登録するという方法を取りましょう。

運用段階に入っても契約書の棚卸しは一定期間に数回行うことをおすすめします。新しい契約書の中には、契約書管理台帳に適切に管理されていないものもあるため、定期的に棚卸を実施することで管理を徹底します。

システム上で契約書を管理するには?

契約書を管理するためのシステムを構築するには、パッケージソフトウェアとして社内インフラに導入するか、あるはクラウドサービスとして利用する方法があります。昨今ではクラウドサービスを利用することでコストメリットがあり、運用負担が軽減されることで注目を集めています。システム上で契約書を管理するために、クラウドサービスを検討してみましょう。

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