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原価管理って何?原価計算との違い

原価管理とは文字通り「原価を管理すること」です。「そんなことは知っているよ!」と言われるかもしれませんが、その管理の中には非常に多くの要素が含まれているため、一言では表しきれないのが実際のところです。

皆さんの会社の経営者または経理部門は、原価管理についてどれくらい理解しているでしょうか?売上計算や経費計上など一般的な経理業務は完璧でも、原価管理については意外とどんぶり勘定で終わっている会社も少なくありません。

原価管理を理解すると経営が変わります。高収益な企業体質へ改善するためにも、本稿で紹介する原価管理についてぜひ知ってみてはいかがでしょうか。

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原価計算と原価管理は違う

もしもあなたが「我が社は原価計算をしているから原価管理ができている」と思っているのであれば、それは間違いです。

なぜなら、原価計算と原価管理は本質から違うため、原価計算をしているからといって原価管理をしていることにはなりません。

たとえば会社で販売している商品を一つ製造するために80円の原価がかかるとします。こうした原価は製造工程に回される材料費、労務費、その他諸経費によって決まり、その合計から販売個数を割れば簡単に導き出せます。

なので、ほとんどの会社が原価計算を行っているかと思います。ちなみに80円で製造した商品を120円で売れば、40円の粗利が会社に入ります。

では、商品を製造するための材料費が高騰したり、労務費が上がったらどうなるでしょうか?

当然、それに比例して原価も上がります。80円だった原価が90円に上がれば粗利は30円に下がります。

こうした材料費、労務費、諸経費の変化に応じて原価を計算することが、原価管理と言えるのか。答えは「NO」です。

それは単なる原価の計算であって管理ではありません。

それでは管理とは何か?経営改善を目的とした様々な経営管理技術の普及活動をしている日本科学技術連盟では、管理を「何らかの基準に対してそこから外れないようにものごとを統制すること、あるいは、ある目的に対して何かを維持・発展させること」と定義しています。

原価管理の考え方も同じです。基準となる原価を設定して、その基準から外れないようにものごとを統制し、時には基準よりも原価を下げる取り組みを行います。従って、原価計算をしているだけでは、原価管理を行っていることにはなりません。原価計算はあくまで原価管理を徹底するための手段です。

原価管理の3つの基本アクション

原価管理には「原価企画」「原価維持」「原価改善」という3つの基本アクションがあります。

原価企画とは製品企画を行う際に、その製品に投じてもよい原価を設定することです。たとえば1個100円のアイスを製造したいならば、そこからいくらの利益を得たいのかを考えて、製造原価を決めます。ここでは原価企画を60円に設定したと仮定しましょう。

この原価企画で設定した原価に対して、実際の原価を調整するのが原価維持です。企画では60円に設定した原価が、実際に製造してみると70円の原価がかかったとします。これでは企画段階で設定した40円の利益を生むことはできないので、何らかの努力で原価を10円下げ、原価を維持しなければなりません。その努力とは仕入れ先を変更したり、原材料のランクを下げたり、あるいは製造プロセスを大幅に変えたりなど様々です。

原価改善は目標よりも安く原価を抑えるための努力です。この部分の製造プロセスは一元化できるのではないか?アイスに使用している木棒は他の商品のものを流用できないか?など、あらゆる観点から原価改善に向けた取り組みを考え、原価を下げるために実施します。原価が下がるほどアイス1個あたりの利益は上がっていくでしょう。

これら3つの基本アクションを取り、原価をコントロールするのが原価管理の本質です。

原価管理はなぜ必要か?

原価管理が如何に重要なのか、何となく頭で理解しているという方は多いでしょう。ここではその理由を明確にしていきます。

損益分岐点が分かる

損益分岐点とは、売上高と費用の額がちょうど等しくなり、利益を確保できるようになるボーダーラインです。たとえば原価30円のアイスを1,000個製造すると総合原価は30,000円です。このアイスを1個100円で売るとすると、粗利は70円なので、販売額が総合原価と等しくなるためには429個販売しなければなりません。この429個というボーダーラインが損益分岐点です。

商品を販売、サービスを提供するにあたって損益分岐点を理解していないと、どの時点から利益が発生しているから把握できません。そのため戦略的な販売計画が立てられず、結果として赤字に終わってしまいます。

原価の無駄が分かる

長年原価管理に取り組んでいる会社では、その経験によって新しく製造する商品1個あたりの適正原価が分かってきます。反対に言えば、今製造している商品の原価の、どこに無駄があるかが分かるということです。もちろんこうした経験は、ノウハウとして明文化して会社に蓄積していく必要があります。

原価の無駄が分かれば、原価改善に向けた効果的な施策を立案できます。ひいては利益率の向上につながるでしょう。

長期的な経営計画が立てられる

原価管理を徹底していると、商品原価や損益分岐点を把握できるため、その情報を判断材料として長期的な経営計画を立てられます。長期的かつ現実的な経営計画があるとステークホルダーからの信頼も暑くなるため、自然と経営資金が集まり、成長できる企業体質に変化するので非常に重要な要素です。

サービス原価が把握できる

原価は製造会社にのみ関係あるものと考えられがちです。しかし、経営コンサルティングなど手がける会社にも原価は存在します。サービスを提供する場合、そこには労務費や諸経費がかかり、ITシステムなどもサービスを提供するための設備費用として計算できます。そうしたサービス原価を把握することで、製造会社と同じように「原価企画」「原価維持」「原価改善」に取り組めるため、高収益な企業体質を作り上げられるでしょう。

以上のことから、原価管理はすべての会社にとって不可欠な業務です。

原価管理をITソリューションで

いくら原価管理が重要だといっても、そこにリソースを割けない会社もあるでしょう。そこで原価管理のためのITソリューションの導入をおすすめします。ITソリューションを活用した原価管理なら、業務を効率良く行えて今あるリソースで正しい原価管理を徹底できます。もちろん、原価管理を行うための知識やスキルは必要です。しかし原価計算や変動予測など、人手で行うには手間がかかる作業に関しては、ITソリューションが担ってくれるため、大幅な効率アップが期待できるでしょう。

Microsoftが提供する統合ビジネスアプリケーションのMicrosoft Dynamcis 365では、ファイナンス&オペレーションというアプリケーションにて、徹底した原価管理を行えます。その他のアプリケーションも活用すれば、原価管理だけでなくそこの関わる業務全体の効率をアップできるでしょう。

「原価管理はしたい、でもリソースが足りない」そんな際は、ITソリューションによる原価管理をご検討ください。

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