CRM/SFA

CRMとMAツールの違いとは?

顧客満足度」や「カスタマーエクスペリエンス」といった顧客関連ワードが年々重要度を増しています。現代は、質の高いモノやサービスを作り提供するだけでは生き残れない時代だと言われており、顧客視点の価値にフォーカスしたビジネスが重要だと言われています。そのため、モノを「モノとして」販売するのではなく「サービスとして」提供する「サービタイゼーション」に注目が集まるのも自然な流れと言えるでしょう。

こうした時代に欠かせないシステムとして存在するのがCRM(Customer Relationship Management)とMA(Marketing Automation)でしょう。今回はこの2つのITツールの違いについて説明します。

CRMの利用実態と課題

CRMとMAの違い

CRMとは?~顧客視点の情報管理~

CRMは単なる顧客情報データベースではなく、顧客と企業の関係構築と良好さの維持を目的にしたITツールです。インターネット環境が整備され、スマートフォン等のモバイル機器が普及したことで、顧客企業は旧来の10倍以上の情報所持するようになり、ニーズが非常に多様化しています。

これに対応するために顧客企業1社1社のニーズを正確に把握し、顧客企業ごとに製品を製造したり、サービスを提供するといった「パーソナライゼーション」が企業にとって重要課題となっています。これを実現するためのITツールがCRMです。

さらに、企業の購買行動は長期化しています。従来のように営業が数回の商談を行って製品やサービスを販売するのでなく、2年や3年といった長期目線で関係を構築し、顧客が自社製品に対するニーズが顕在化した段階で適切にアプローチをするといった手法が主流となっているのです。

従って顧客情報管理は案件化しそうな目先の情報ばかり管理するのではなく、現時点でニーズが低い顧客情報についても適切に管理して、適宜コミュニケーションを取り必要なタイミングでアプローチすることが大切です。

CRMではこうしたビジネスを実現するために、製品やサービスの購入履歴、意見、クレーム、要望といった情報を個別に管理することで組織全体でその情報を活用します。

MAとは?~マーケティングプロセスの自動化から~

現代ビジネスにおけるマーケティングはデジタルが中心です。従来のマスマーケティングと違ってかなり高い多様性が求められ、特に最近ではWebサイト等を活用した“インバウンドマーケティング”に取り組む企業が増えています。

そこに訪れるユーザーへ如何にアプローチするかによって、ビジネスの成否が左右されるでしょう。MAはそうしたデジタル中心のマーケティングにおいて、従来人が手動で行ってきた領域と、人手では実現困難な領域での自動化を実現するITツールです。

しかしながら、「MA=ステップメール機能&トリガー配信機能」だと考え、その効果を十分に引き出せていない企業が多いのが実情です。こうした機能はMAの重要な一部ではありますが、見込み客の検討スピードや興味、関心度合いは違います。そのため企業側から一方的に情報発信をするのではなく、見込み客を中心に据えた情報発信が大切であり、これを実現するには以下のような機能を活かす必要があります。

  • Webページやメールの閲覧、資料ダウンロード、セミナーやイベントの参加等、見込み客をチャネルごとの行動でトラッキングし可視化できる
  • 入力フォームやLP(ランディングページ)を作成でき、マーケティング施策の展開を高速化できる
  • 見込み客の行動に合わせてステータスや属性情報を変更したり、育成シナリオの変更等を自動的に行える
  • 見込み客の興味、関心度合いを判別するためのスコアリング機能が搭載されている
  • 自動的に確度の高い見込み客を検出し、タイミングを逃さず営業活動を連携することができる

単純なステップメール機能&トリガー配信機能ならばCRMでも備えている製品はありますので、上記の特徴が揃っていることがMAの条件だと言えます。

たとえばあるユーザーがWebサイトに訪問した際に、そのユーザーの属性情報と行動履歴を収集し、見込み客としての成熟度を判断することは人手では困難です。数人程度のユーザーを追うだけなら簡単でしょうが、Webサイトに訪問するすべてのユーザーとなると事実上不可能でしょう。

MAはこれを可能にし、見込み客の属性情報や行動履歴をIPアドレスと紐づけたりして、その見込み客どれくらい成熟しているかを自動的に判断し、さらには特定の行動をトリガーにしてマーケティングを自動化することができます。

完全に自動化されたアプローチによって適切なタイミングで適切な情報を見込み客に届け、ニーズを成長させ、詳細のお問い合わせや営業への案件引き渡しといった利益に直結するアクションへと繋げていきます。

以上のようにCRMとMAはまったく違ったITツールです。しかし、互いの得手不得手を補完する役割として、CRMとMAを統合するケースが多いでしょう。

個別のCRMとMAを統合させるか?最初から統合されている製品を選ぶか?

CRMはMAと連携させることで多くのメリットがあることはいうまでもありません。多くの企業にとってCRMは導入しているけれどMAはこれからというケースが多いことも事実です。

そこでユーザーには2つの選択肢があります。それが「CRMとMAを別々の製品を導入して連携させるか」か「最初から連携しているものを選定するか」です。

例えばマイクロソフトではDynamics 365 for SalesとDynamics 365 for Marketingを提供しています。SalesforceではSales CloudとPardotなどを提供しています。いずれの製品も同一ベンダーから提供されているため統合には力を入れています。

そして、Dynamics 365の場合にはERPも機能として提供されているため、MAやCRMに加えて財務会計システム、生産管理システム、販売管理システムなど経営上欠かせないシステムはすべて統合されているというメリットがあります。こうした統合されたCRM&MA導入の方法として選択する利点とは何でしょうか?

利点1. 特別な連携作業を必要としない

ERPは基幹系システムと情報系システムがすでに統合された状態で提供されるITツールです。そのため、CRM&MAを統合する際に行うような連携作業は不要であり、大規模な統合システム環境を少ない工数で整えることができます。

利点2. 高速なマーケティング自動化

ERPに統合されている各システムは統合データベースで情報が管理されているので、システム同士でのデータ受け渡しが非常にスムーズです。従ってCRMとMAの連携も強力になり、従来にないスピードでマーケティングを自動化できます。

利点3. 組織全体のビジネスプロセス最適化

ERPベンダーの多くは、各業種において最も標準かつ基準となるビジネスプロセスの知識およびノウハウを持っています。業種別のソリューションテンプレートを提供することで開発期間(導入期間)を短縮し、かつ既存のビジネスプロセスに「ベストプラクティス(成功の集合体)」を取り入れ、ビジネスプロセス最適化を図ることが可能です。

利点4. システム運用負担の軽減

システムが分断されているほど運用作業が分断されるので、負荷が増大します。ERPによって多くのシステムが統合されることで運用負荷がまとまり、軽減されます。

利点5. リアルタイムな経営可視化

ERPによって企業が得られる最大のメリットが経営の可視化をリアルタイムに行えるということでしょう。ERPに蓄積されたデータは自動的に処理され、経営者が好きなようにカスタマイズして、経営に必要なデータを必要なタイミングで閲覧できます。

このように、CRMとMAを導入する際は2つのITツールの統合だけでなく、ERP導入による統合システム環境の構築という選択肢があることを忘れずに、自社にとって最良な方法を選択しましょう。

統合された製品を導入するメリットは概ね予想通りかもしれません。逆にデメリットとしては自社に必要な要求が満たされない可能性もあるということでしょうか。導入まえには全体最適を考慮しながら部分最適化ができるのかをしっかりと見極めるようにすることが大切なのでしょう。

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