Excelによる帳票作成と帳票ツールとの違い

 2021.02.19  BizApp チャンネル編集部

帳票作成にExcelを使う企業も多いでしょう。誰でも簡単に扱える点はメリットですが、効率性の面では多くの課題があるのも事実です。このため、昨今ではExcelから帳票ツールへ移行する企業が増えています。

本記事ではツール導入を検討している企業担当者に向けて、Excelによる帳票作成と帳票ツールの違いについて解説します。

Excelによる帳票作成と帳票ツールとの違い

Excelによる帳票作成

まずは、作成の流れや課題について解説します。

Excelによる帳票作成の流れ

まず、帳票の各項目に入力する情報をまとめたデータベースの作成が必要です。同じファイルに作成するかどうかは、それぞれ作成者が使いやすいように決めれば問題ありません。

帳票を作成している最中で情報の見落としや混乱が起こらないように、ファイル名や書式などは事前に決めて、統一しておくと良いでしょう。そして発行日、住所や金額など、帳票に入力する項目を決定し、それぞれの項目欄に情報を入力します。

次は帳票フォーマットに情報の転記です。フォーマットは自社でデザインすることもできますが、オンライン上で公開されているものも利用可能です。それらを使うことで、作成負担を軽減できるでしょう。

帳票フォーマットの選択したセル内にデータベースの参照先を入力すれば、記録されている情報の転記ができるため、一括置換などを活用しつつ入力を進めると効率的です。転記のあと、出力したい様式を選んで出力すれば、一連の作業は終了となります。

Excelによる帳票作成の課題

Excelでも上記のような手順で帳票作成は可能ですが、いくつかの課題も存在します。ここからはその課題について、4つ紹介します。

大量のデータベースに不向き 

Excelが取り扱える最大データ件数は上限が設けられているため、大量の情報を扱う場合は適していません。「Excel 2007」以降は、1つの表で表示できる行の上限数が104万8576行になり、それまでの数値からは大幅に増えたものの、行数が多くなればなるほど、検索や集計などの処理にかかる時間が長くなります。

また、1万件以上の情報を管理している場合は、計算速度が遅いだけでなく、エラーが起こりやすくなる点や、入力した情報が消えてしまう可能性がある点など、気になる部分も多くあります。

情報の消失は大きな問題ですが、処理速度が遅く、入力するたびにしばらく待つ状況になると、作成者のストレスも大きくなり、作業効率も下がってしまうでしょう。

複数人による共同作業ができない

帳票は複数人によって作成することもあります。Excelを使った場合、それぞれが作成した帳票ファイルをコピー&ペーストによって1つのファイルにまとめますが、このときにほかの人が作成した情報の変更を行ってしまうと、そのファイルの正確性が不確かなものになるでしょう。

どの箇所をどのように変更したのかの記録が詳細に残っていない場合は、修正するのにも時間がかかってしまいます。

なお、OneDrive上などで作成や編集し、共有機能を活用すれば、毎回ファイルの送信を行わなくても、複数人が同時に接続でき、帳票の編集ができます。しかし、このような同時接続による編集でそれぞれの担当者があらゆる部分を変更してしまうと、作業者間で混乱を招くことにもつながりかねません。

上記のように複数人で同時に書き換えることは、思わぬミスになるおそれがあります。つまり、OneDriveのような他サービスを活用すれば複数人による共同作業は一応可能ですが、正確性などの観点からは十分な信頼性があるとはいえないのです。

ヒューマンエラーを防げない

人為的過誤や失敗は、人が携わる作業において完全に防ぐことは難しいと考えられています。システムから出力されるCSVデータを利用してExcelで帳票作成を行う場合、入力した情報を加工する過程で手作業が必要になります。保護や入力確認などの人為的ミスを防ぐ機能を付けていない場合、間違った情報を入力したり、消してはいけないものを消去したりするおそれがあるのです。

複数人で作業を行っている場合、その中の1人がそのようなミスを起こしても、誰かが気付かなければ、誤った表のまま出力し続けてしまう点が問題です。また、意図せずに条件付き書式や関数を無効にしてしまう可能性もあり、その場合は修正に時間や手間がかかる点も気になる点です。

手作業は、気を付けていても人為的ミスが起こりやすいため、それを完全に防ぐことは困難でしょう。作業に関わる人数が増えれば増えるほど、そのリスクも高まるため注意が必要です。

セキュリティが万全ではない

Excelでは、個別ユーザの読み込みと書き込みの権限を設定することは可能ですが、部門や職位別に権限を設定することはできません。そのため、Excelによる作成はセキュリティが強固とはいえないのです。

企業によっては、帳票を複数の部門が閲覧することもあるため、セキュリティ対策として、ファイルの操作権限を限定的にすることが必要になります。関係のない部門や職位の従業員など、不特定多数が自由に閲覧できる状態はリスク管理的にも問題があるでしょう。

また、権限を付与する場合、帳票の数が多くても1つずつ権限を設定しなくてはいけないため、すべてのファイルに権限設定を行うための時間や手間もかかります。

帳票ツールで実現する業務の効率化

Excelによる帳票作成には、上記のようにいくつかの課題があるのです。それらを解決するために帳票ツールを導入する企業が増えており、業務効率化の促進にも期待されています。
そもそも、帳票ツールは帳票設計や帳票出力を効率良く行うためのソフトウェアやサービスを指します。設計や出力以外にも、紙帳票から電子帳票への取り込みや、あらゆる端末での閲覧、他システムとの連携などができる点が特徴です。

ここからは、その導入で得られる、具体的な利点を紹介します。

テンプレートの利用で作業負担の削減

帳票ツールを活用することで、ノンプログラミングで簡単に帳票を作成できるため、担当者の負担も軽減する効果が期待されています。

特に、あらかじめレイアウトが決まっている「定型帳票」や、請求書や納品書など、企業や種類によってレイアウトが異なる「準定型帳票」に対応したテンプレートが多数用意されている点が特徴です。

それらのテンプレートを活用することで、従来は膨大だった帳票開発に必要な工数を、大きく削減できるでしょう。

あらかじめ用意されたフォーマットに沿って、情報を入力するだけで作成可能なため、作業がスムーズになる効果が期待されています。一から作業を行うのは手間も時間もかかりますが、それらを縮小することで作業負担が軽減されるだけでなく、ほかの業務に充てる時間の確保にもつながるでしょう。それは、全体の業務効率化にもつながると考えられます。

データ消失のリスク軽減

帳票ツールは、大量の情報処理に強いだけでなく、更新処理も精巧に作られているのも特筆すべき点です。そのため、作業途中に動かなくなったり、情報を消失してしまったりするようなリスクを軽減できます。企業にとって必要なデータを守りつつ、処理作業も滞りなく進められるでしょう。

また、電子化することによって、紙で保管する場合と異なり、持ち出しによる紛失や、間違って捨ててしまう可能性をなくせます。

紛失などの事態は自社だけの問題にとどまらず、取引先や顧客にも迷惑をかけてしまい、信用も失墜するかもしれません。そのような課題を減らすためにも、大量の処理を行っても問題が起こらない体制を整えておくことが大切です。

利便性とセキュリティ性の向上

帳票ツールでは、情報の一元管理によって、必要な帳票をすぐに検索できます。顧客からの問い合わせがあった際も、即座に対応が可能なため、企業の信頼度向上にもつながることが期待されています。また、電子データとして管理されているため、接続権限が付与された範囲内であれば、閲覧だけでなく、作成や出力が時間や場所を問わずに自由に実行可能で、作業効率の向上にも寄与できる点も魅力でしょう。

セキュリティ対策としては、帳票ファイルごとに接続権限を付与することで、閲覧者や使用者を限られた人たちのみに設定することが可能です。そのため、不特定多数に情報が漏えいするリスクを回避できます。

また、バックアップも行えるため、万が一情報が消失した際も安心です。ほかにも、暗号化や監視機能などによって、不正接続を防止できます。このようなセキュリティ面でも安心して利用できる機能が多く備わっているため、取引先が多い企業をはじめ、強固なセキュリティ対策を実行したいと考えている企業には、特にツールの利用が効果的です。

まとめ

Excelでも帳票作成は可能ですが、大量のデータを処理する際の問題やセキュリティリスクなどの問題があります。一方、帳票ツールを導入すれば、テンプレートの利用による作業負担削減やセキュリティの向上が期待できるでしょう。

現状に問題点を感じている場合は、ぜひ一度帳票ツールの導入を検討してみることをおすすめします。



Excelによる帳票作成と帳票ツールとの違い