サービスデザインをわかりやすく解説!UXとの違いや事例を紹介

 2022.09.07  BizApp チャンネル編集部

顧客ニーズは、モノ・コト・トキの消費と年々移り変わっています。そして、ICTの発達により、多くの企業が近代テクノロジーを取り入れた事業運営を模索しています。このような時代に対応すべく、新しい企業の形としてサービスデザインが注目を集めています。そこで本記事では、サービスデザインがどのようなものなのかを解説していきます。

サービスデザインをわかりやすく解説!UXとの違いや事例を紹介

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サービスデザインとは?

サービスデザインとは持続的な顧客体験と、そのための組織・仕組みをデザインするための手法です。2020年には、経済産業省によって以下のように定義されました。

“顧客体験のみならず、顧客体験を継続的に実現するための組織と仕組みをデザインすることで新たな価値を創出するための方法論”

引用元:経済産業省「我が国におけるサービスデザインの効果的な導入及び実践の在り方に関する調査研究報告書[詳細版]」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/service_design/pdf/20200420_03.pdf

上記定義はサービスデザインをひとつの文章にまとめたものなので、わかりにくい部分があるかと思われます。そのため、ここでは定義の意味を具体的に解説します。

サービスデザインの概要

サービスデザインの起点は顧客体験です。顧客体験とは、「製品・サービスを通じて顧客に新しい体験・価値を促すこと」を指します。たとえば、某大手コーヒーチェーン店では、コーヒーの提供だけでなく、お店の中での体験にもフォーカスを当てています。これにより利用者は、コーヒーを飲みながら仕事をしたり、友人とカフェを楽しんだりといった、ひとつの体験を得ています。

サービスデザインでは、このような顧客体験を起点として、それを継続できる組織と仕組みをデザインします。前述したコーヒーチェーン店では、継続的な体験を実施するために、新しい商品(コーヒー)の開発・提供や従業員の対応のマニュアル化など、さまざまな取り組みを行っています。

このようにサービスデザインは、顧客体験のデザインだけでなく、企業内の組織や仕組みまでも含んでデザインを行う手法を指します。

UXデザイン、CXとの違い

サービスデザインと似た言葉に、以下のようなものがあります。

  • UXデザイン:「User Experienceデザイン」の略称。製品・サービスを通じて顧客体験を設計する。
  • CX:「Customer Experience」の略称。製品・サービスの利用前からアフターサポートまでの顧客体験を意味する。

UXとCXは顧客体験の設計に関係していますが、UXは特定のチャネルに対する体験であるのに対して、CXは製品・サービス全体のチャネルの顧客体験を指しています。そのため、UXの塊がCXであるともいえます。

また、サービスデザインはUX・CXをデザインして、それを継続的に実行するための組織・仕組みづくりです。それぞれ意味合いは微妙に異なりますが、相関性のある言葉となっています。

サービスデザインの重要性

経済産業省がサービスデザインを提唱する理由として、「テクノロジーの進化」「環境の変化」「消費トレンドの変化」の3つを挙げています。これら3つの変化に対応できない企業は、世界の企業や日本の競合他社に後れを取ってしまう可能性があるため注意しなければいけません。

テクノロジーの進化では、AIやビッグデータといった技術の革新によって、企業の事業運営に変化が生じています。そして環境の変化では、近年の地球温暖化や資源の枯渇といった問題が徐々に表面化しており、企業は社会に与える影響を考えて事業展開しなければいけません。

また消費トレンドは、モノの所有から新しい体験へと移り変わっており、事業の在り方も見直す必要があります。企業の生き残りをかけるためにも、サービスデザインを通して「新しい事業の創出」や「事業の改善」を行い、変化に対応しなければいけません。

サービスデザインの設計のプロセス

ここからは、サービスデザインを設計するためのプロセスを4つのポイントから解説していきます。

1.リサーチ・分析

リサーチと分析は、現状を把握するための工程です。ここでは主に、自社の「ユーザーの調査」「業務プロセス」「体制」を分析します。まずユーザーの調査では、ユーザーとどのような関係にあるのかを確認してから、調査のための仮説を立てます。そうすることにより、ポイントを絞って調査を実施することが可能です。

調査はユーザーの行動・動機・結果などに対して行い、調査結果をもとにニーズを把握します。また、自社の業務分析や体制の調査も実施します。ここでも問題点の仮説を立てることで、より詳細な調査が可能です。

2.アイディエーション

リサーチ・分析によって得られた結果から顧客のインサイトを導き出したら、顧客体験へと落とし込みます。アイディエーションとあるとおりアイデアを創出する工程なので、柔軟な発想で新しいものごとを考えなくてはいけません。

アイデア出しのポイントは、質より量です。よいアイデアをひとつ絞り出すよりも、多様なアイデアを出していくことに重点を置きます。咄嗟に閃いたアイデアなどもまとめておき、あとでブラッシュアップして良質な案に成形します。

3.プロトタイピング

アイディエーションが終わったら、決まったアイデアをもとに試作品を作成します。このとき重要になるのが、顧客体験の創出だけでなく、組織や仕組みの改革です。そのため、以下のようなさまざまな設計についても考えなくてはいけません。

  • BPR
  • ビジネス設計
  • ブランド設計
  • コミュニケーション設計

これらの設計は、業種やサービスによっても異なります。たとえば、小売業などではブランディングやビジネスモデルの変換が必要となるかもしれませんし、ソフトウェア開発ではBPRのみでよい場合もあります。

また、システム開発分野のサービスデザインでは、以下の要素も必要です。

  • 技術選定
  • UI/UX設計
  • システムアーキテクチャ設計
  • データアーキテクチャ設計
  • セキュリティの設計

システム開発では、開発と運用を連携する必要があるため、DevOpsの構築も行います。試作品の作成後は評価テストを実施して、問題がないかを確認しましょう。

4.実装

テスト後は、実際に開発・展開の工程に入ります。「開発」「エンジニアリング」「マネジメント」など複数の分野と絡み、実装していきます。そして、実装後はフィードバックを行い、継続的な顧客体験ができるように改善を行っていきます。サービスデザインは反復的でなければいけないため、実施・改善・探索・実験を常に繰り返してアプローチすることが重要です。

サービスデザインの事例

サービスデザインは、すでに世界中で導入されています。ここからは、実際にサービスデザインの導入に取り組んだ企業の成功事例をご紹介します。

米国の大手ファストフード店

米国のあるファストフード店は、新しい顧客体験としてデジタルツールによる簡単な注文方法の導入を考えました。その際に課題となったのが、いかにしてブランドイメージやサービスクオリティを低下させず、独自の体験を開発するかという点です。

そこで、顧客が注文から商品を取りに行くまでの細かいプロセスを分析して、時間短縮やフラストレーションの緩和の手法を模索しました。その結果、レイアウトやビジュアルを考慮したタッチポイントを導入することで、ブランドイメージを崩さずに新しい顧客体験の提供が可能となりました。このサービスデザインにより、人件費削減と顧客単価の15%増を実現しています。

日本の統合医療設備メーカー

日本のある統合医療設備メーカーでは、兼ねてからショールームを展開しており、一定の集客効果を上げていました。しかし、このショールームは自社製品を売るための空間という意味合いが強く、実際に使用するエンドユーザーである医療従業者の意見が反映されていませんでした。

そこで、エンドユーザーと建設会社を巻き込んで共創できる場として、ショールームをリニューアルしました。これによりユーザーの目線で設備構築ができるようになり、空間をより上手く使うためのアプローチを考案できるというメリットも生まれています。

まとめ

サービスデザインにおいては組織や仕組みの改革が必要であり、部門横断的な連携が重要です。そして、そのためには新しいテクノロジーの導入がおすすめです。

たとえば「Microsoft Dynamics 365」では、企業の組織や仕組みを一元的に管理するための手法として、ERPCRMといったシステムを提供しています。それぞれをうまく組み合わせることで、企業内を統合管理して、顧客データを連携することも可能です。サービスデザインによる新しい体制づくりを考えるなら、こうした統合管理ソリューションの積極的な利用を検討してみましょう。

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