帳票/文書管理

電子契約を始める際に知っておきたい法律について

電子契約導入による効果は大きく、従来は契約締結までに1ヶ月以上かかっていたものが1時間まで短縮したなどのケースが少なくありません。もちろん、電子契約は相手方の状況により出来る出来ないが決まってしまいますが、昨今のコロナ渦においては多くの企業が電子契約に切り替える傾向にあります。本記事では、そんな電子契約に関連する法律についてご紹介します。

 

電子契約を始める際に知っておきたい法律について

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1. 電子帳簿保存法

正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」であり、文字通りコンピューター(電子計算機)によって作成された国税関係帳簿書類における保存方法について、その特例を定めた法律です。この法律により、従来企業内において紙で保存していたものが電子的に保存可能になるため業務効率が大幅に向上するメリットがあります。

電子帳簿保存法は、財務会計システム等のコンピューターから作成した国税関係書類のデジタルデータ保存を可能にした法律です。デジタル化する社会とペーパーレスへのニーズにより、経済界から強い要望を受けて策定されています。電子帳簿保存法により、以下の国税関係書類のデジタルデータ保存が実現しました。

対象書類

分類

総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金・買掛金元帳固定資産台帳、売上・仕入帳など

国税関係帳簿

棚卸表、貸借対照表、損益計算書、その他決算に関して作成した書類

国税関係書類

(決算関係書類)

領収書(および写し)、契約書(および写し)、請求書、納品書など

国税関係書類

(その他の証憑類)

見積書、注文書など

一般書類

2. e-文書法

e-文書法は2005年4月に施行された法律で、電子帳簿保存法のあり方を変えるきっかけになっています。正式には「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成16年法律第150号)の総称であり、国税関係帳簿を含むビジネス書類の、紙からデジタルデータへの保存を認める法律です。 e-文書法は2015年と2016年の法改正により、次のように大きく変化しています。

2015年のe-文書法改正について

e-文書法によるスキャナ保存要件が緩和され、従来は対象外だった「取引先と紙で受領する帳簿をスキャンし、デジタルデータとしての保存」が可能になります。

業務処理サイクル方式を採用する際に必要とされていた、国税関係帳簿にかかわる「電磁的記録等による保存制度の承認」が不要になったり、スキャナ保存の際に必要とされていた電子署名が不要になりました。また、保存要件を緩和する一方で、国税の納税義務の適正な履行を確認すると言う観点から、「適正事務処理要件」を満たす必要があります。

2016年のe-文書法改正

2016年の法改正では、スキャナ保存要件が大幅に緩和されて「800万画素以上のカメラを搭載するスマートフォンによる証憑書類のデジタルデータ保存」が認められています。従来は解像度200dpi以上のスキャナでの読み取りと、帳簿の大きさに関する情報を保持しなければいけなかったことから、この法改正によりさらに実用的な法律になったと言えるでしょう。

ちなみにスマートフォンで撮影した領収書をデータ保存する場合は、受領後3日以内にタイムスタンプを付与する必要があり、受領した本人が領収書に対して手書きの署名をするという要件が加わっています。

3. 電子署名法

電子署名法は正式名称を「電子署名及び認証業務に関する法律」といい、2001年4月に施行された法律です。紙による契約書などは、文書や改ざんが難しく、作成者本人の捺印や署名によって信憑性を高めることができるため広く使用されています。

一方で社会の情報化によりデジタルデータにて契約書などの文書を作成するニーズが高まりました。ところが、デジタルデータ化された契約書等は改ざんが容易であり、かつ本人確認に必要な捺印や署名が難しいことから現実的ではないとされていました。

こうした事情を背景としてデジタルデータでの契約書作成を実現し、かつ本人確認を確実に実施するための基盤として整えられたのが電子署名法です。

電子署名とはデジタルデータとして作成された契約書などに個人的な署名を行い、タイムスタンプと電子証明書によってそれを証明するものです。タイムスタンプとは作成時間の非改ざん性と本人性を確保するための署名であり、デジタルデータ化された契約書が「いつ作成されたのか?」という情報を記録します。デジタルデータとして作成された契約書はあくまで端末時刻が反映されるだけなので、タイムスタンプがない場合は改ざんが容易です。この場合、タイムスタンプを付与することで時間の改ざんを不可能にします。

電子証明書では国が認定する認証局によって発行される「この法人・個人は本当に存在し、電子証明は本物です」と証明するためのデジタルデータ化された証明書です。認証局が発行した電子証明書のみが機能するので、正確な本人確認が行えます。

4. IT書面一括法

IT書面一括法は正式名称を「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といいます。

紙文書での交付が義務付けられている文書において、メールやウェブでの交付を認めるという法令です。電子帳簿法と混同されがちですが、IT書面一括法はあくまで「電子書面のメール及びウェブ交付」を認めるという法令なので、特定の文書を定める法律ではなく、法改正のための法令だと言えます。

5. 印紙税法

印紙税法は、収入印紙を貼り付けることで「印紙税を納めました」と証明する、ビジネスパーソンにとっては身近な法律です。そもそも、なぜ印紙税が必要なのか?これに対して2005年当時の内閣総理大臣である小泉純一郎氏は、第162回国会での質問に対する答弁書にて次のように記載しています。

「印紙税は、経済取引に伴い作成される文書の背後には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求める文書課税である――」

契約書をデジタルデータ化した場合、印紙税の支払いが不要になります。これも国会答弁にて明確になっている事実であり、つまりは電子契約を取り入れることで今後印紙税が不要になります。

電子契約を検討しよう

いかがでしょうか?以上の法律によって電子契約に欠かせない環境はすでに整っていると言っても過言ではありません。海外とのやりとりにおいては必須とのソリューションと言えます。後は顧客や取引先の理解を得て、電子契約に必要なシステムを導入するだけです。この機会にぜひ、電子契約の導入をご検討ください。

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