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人事担当者必見! 人材マネジメントを構成する要素や構築する方法を解説

企業が中長期的に発展していくためには、人的資源の戦略的な管理と運用が求められます。そこで重要な経営課題となるのが「人材マネジメント」への取り組みです。本記事では、人材マネジメントの概要や必要となる背景について解説するとともに、具体的な構築方法やフレームワークをご紹介します。

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人事担当者が把握すべき人材マネジメントとは?

企業が事業活動を持続するためには、「人的資源」「物的資源」「財務資本」「情報」という四つの経営資源が不可欠です。この四つの経営資源のなかで、人的資源に関するマネジメントの総称を「HRM(Human Resource Management)」と呼びます。人的資源の運用効率を最大化するためには、優れた人材の採用や教育、適切な人材配置、人事評価制度の整備といった戦略的な取り組みが欠かせません。このように人材を経営資源と捉え、戦略的に活用するHRMの一般的な呼称が「人材マネジメント」です。

人材マネジメントの概要について

人材マネジメントの役割は、経営目標の達成に向けて人的資源を戦略的に活用する仕組みを設計することです。具体的な施策としては、人材育成の強化、従業員の適性に応じた人材配置、公正かつ公平な人事評価制度の確立、ワークライフバランスに優れる労働環境の整備、福利厚生の充実などが挙げられます。こうした採用活動や人材配置といった「人事管理」と、勤怠管理や福利厚生などの「労務管理」を両軸から総合的にマネジメントし、人的資源のパフォーマンスを最大化することが人材マネジメントの本質的な目的です。

人材マネジメントが必要となった背景とは

現代の企業経営において、人材マネジメントが重要視される背景にあるのは、少子高齢化に伴う人材不足の深刻化です。国内の総人口は、2008年の1億2,808万人を頂点に減少し続けており、2021年に総務省が公表したデータによると、高齢者人口の割合は29.1%と世界で最も高い値となっています。このような社会的背景から、さまざまな分野で就業者の高齢化と若年入職者数の減少が加速しており、深刻な人材不足に陥っているのが国内市場の現状です。

また、2019年に施行された「働き方改革関連法」の影響により、企業では労働環境の抜本的な変革が求められています。長時間労働の是正や残業規制が強化され、働き方も多様化するなか、従来と同等以上の労働生産性を確保するためには、人的資源を効率的に運用する仕組みが不可欠です。さらに近年は、国内市場の成熟化に伴って製品やサービスが飽和状態にあり、競合他社との差別化が困難となりつつあるため、多くの企業で優れた人材の発掘や育成が喫緊の経営課題となっています。

人事担当者が把握すべき人材マネジメントを構成する要素

戦略的な人的資源管理の仕組みを整備するためには、人材マネジメントを構成する具体的な要素を把握しなくてはなりません。人材マネジメントを構成する代表的な要素として、以下の五つが挙げられます。

採用

企業にとって優秀な人材の獲得は重要な経営課題であり、人材マネジメントにおいても従業員の採用要件を明確化するプロセスが求められます。現代は、技術の進歩に伴って業務の省人化が進みつつあるものの、ビジネスの土台となるのは人間関係であり、企業の成長と事業の拡大には優れた人材の採用が不可欠です。自社の理念やビジョンに共感する優秀な人材を獲得するためには、経営目標の実現に必要な人物像を具体的な言語や数値に落とし込み、戦略的な採用プランを設計する必要があります。

教育・育成

人材マネジメントにおける重要課題のひとつは人材の教育と育成です。少子高齢化の進展に伴って人材の採用コストも増加傾向にあるため、いかにして既存の従業員を教育・育成するかが重要な経営課題となります。人材の育成プログラムや研修制度を整備する、あるいは定期的に社内セミナーを開催するなど、中長期的な視点に基づいて人材の教育・育成を推進し、経営基盤の総合的な強化を図ることが大切です。

評価

人的資源のパフォーマンスを最大化するためには、公正かつ公平な人事評価制度の確立が不可欠です。たとえば、年功序列のような旧態依然とした組織構造では、優秀な若手従業員の不満が募る可能性が懸念されます。一方で、過度な成果主義に陥ってしまうと、社内競争の激化やコミュニケーションの希薄化を招きかねません。業績への貢献度や労働意欲などを正当に評価する仕組みを整備できれば、従業員のエンゲージメントやロイヤルティの向上を促し、労働生産性の最大化に寄与します。

人材配置

人間には、生来それぞれ異なる特性が備わっており、従業員によって得意な領域が異なります。したがって、人的資源の運用効率を高めるためには、従業員一人ひとりの得意分野を見極めて適材適所に配置しなくてはなりません。その際は従業員の特性を管理者の主観で判断するのではなく、心理学や脳科学などに基づいて俯瞰的に分析する必要があります。また、得意分野を把握しづらい場合は定期的に配置転換を実行し、さまざまな可能性を探るといったプロセスが求められます。

休職・復職

優秀な人材を確保するためには、従業員が安心して働ける労働環境を提供する必要があります。たとえば、出産や育児、介護などの事情に合わせた休暇制度の整備、有給休暇の取得推進や長時間労働を是正する組織文化の醸成、休業から復職までの支援体制の構築などが代表的な施策です。こうした仕事と生活の調和を図る労働環境を整備できれば、ワークライフバランスの充実と向上に寄与し、従業員の離職率や定着率などを改善する一助となります。

人材マネジメントの構築方法

自社の組織体制や事業形態に適した人材マネジメントを設計するためには、複数のプロセスを段階的に踏破しなくてはなりません。なかでも重要となるのが、「経営戦略の整理・明確化」と「現状の人的資源の可視化」、そして「課題を整理して実行する」の三つです。

経営戦略の整理・明確化

人材マネジメントの役割は経営目標の実現に向けた人材の戦略的活用であり、その成果を最大化するためには、経営戦略と人的資源管理の方向性が一致していなければなりません。そこで、まずは自社の経営状況や財務状況を俯瞰的な視点から分析し、経営課題を明確化するプロセスが必要です。自社が抱える課題や問題を発見することで、その解決に必要な施策や求められるアクションが整理され、組織全体における経営戦略の方向性が明確に定まります。

現状の人的資源の可視化

経営課題の可視化によって具体的な戦略の方向性が定まれば、同時に経営目標の達成に必要な人材像が定義されます。ここで重要となるのが、「タレントマネジメント」への取り組みです。タレントマネジメントとは、人材の知識や経験、技術などの暗黙知をデータベース化し、従業員一人ひとりの特性を最大限に活用する目標設定や人材配置などを指します。既存の人的資源を客観的な視点から可視化・分析し、人材の「教育」「配置」「採用」などの方向性を定める上で欠かせない経営管理手法です。

課題を整理して実行する

経営戦略の整理・明確化と現状の人的資源の可視化により、経営目標の実現に必要な人材が明確化されたなら、次のステップは人材マネジメントの実行です。人材の採用や従業員の育成、人材配置の最適化、労働環境の見直しなど、自社の組織体制に必要な施策を段階的に実行します。ただ、人材マネジメントは一度の実践で終わりではなく、PDCAサイクルを回し続ける継続的な改善が必要です。実行によって得た知見に基づいて新たな施策を立案し、仮説と検証を繰り返すことで人材マネジメントの成果向上につながります。

人材マネジメントにおけるフレームワーク

人材マネジメントの個別具体的な施策に絶対的な正解はなく、組織体制や事業形態によって最適解は異なります。したがって、「手法」にとらわれるのではなく「本質」を理解し、自社に最適化されたフレームワークを構築しなくてはなりません。採用活動や人材配置、勤怠管理や福利厚生の充実といった手法は枝葉の部分でしかなく、幹となる本質的な目的は経営目標の実現に向けて人的資源を戦略的に活用することです。

そのためには「組織構造」と「人事制度」、そして「組織文化」という三つの柱を意識して、自社に最適化された人材マネジメントのフレームワークを構築する必要があります。たとえば、従業員が安心して働ける組織構造の整備、人材のエンゲージメントやロイヤルティの向上を促す人事制度の確立です。または、企業に属する自分を誇りに思うような組織文化の醸成など、いかにして人的資源のパフォーマンスを最大化するかに着目することが大切です。

まとめ

人材マネジメントとは、経営目標の実現を目的として、人的資源を戦略的に活用する仕組みを設計する経営管理手法のひとつです。どれだけ技術革新が進んでもビジネスの基盤は人間関係であり、企業が持続的に発展するためには人材の能力を最大限に発揮する仕組みが欠かせません。そこでおすすめしたいのが、組織構造や従業員情報の包括的な管理など、人材マネジメントの領域に特化した「Microsoft Dynamics 365 Human Resources」の導入です。新しい時代に即した人的資源管理を推進する企業は、ぜひ「Microsoft Dynamics 365 Human Resources」の導入をご検討ください。

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