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従業員の健康管理が大事な理由と管理の仕方について

従業員の健康管理は経営上重要な課題の1つです。しかし、どのように従業員の健康管理を行えばよいのかわからない経営者も多いでしょう。本記事では、従業員の健康管理の重要性と健康管理を実施する上でのポイントについて詳しく解説します。

従業員の健康管理が大事な理由と管理の仕方について

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従業員の健康管理は経営陣の義務である

まず経営者に知っていただきたいのは「従業員の健康管理は経営陣の義務である」ということです。漠然と、したほうがよいのだろう、程度に捉えられていると思われるケースも散見されますが、全社的に取り組むべき事柄という認識を持つことが重要です。

労働契約法第5条でも「安全配慮義務」が規定されています。そこでは、「企業には、従業員が安全に働けるように配慮する義務がある」と定められています。同法が施行されたのは2008年のことであり、この義務が課されてから十年以上経過しますが、未だに遵守していない企業があるのも事実です。

同条には具体的な取り組みの指定はありませんが、一般的には適正な労働条件の基に就業させること等が求められます。例えば、一般的な業務でも労働時間が長くなり過ぎると心身に影響を及ぼしますし、あまりに過大な負荷がかかる職務などを長期間行うことで、体調を崩すことも考えられるでしょう。

そこで、法で定められた労働時間を守った上で、適切な休憩・休暇の付与、適材適所の人員配置、持病などに配慮した業務分担などを行うことが求められます。しっかりとした健康管理体制を構築すれば、従業員のモチベーションが上がり、生産性や業績向上につながります。

なお、労働契約法そのものに罰則規定は定められていませんが、安全配慮義務を怠った結果、訴訟にまでトラブルが発展した事例も多く存在します。結果として企業に損害賠償が命じられた場合には、金銭面だけでなく、信頼性という観点からも、企業活動全体に大きな影響を及ぼしてしまいます。

従業員の健康管理が大事な理由

ここからは、従業員に対する健康管理を企業がしっかりと行うことの重要性を確認しましょう。健康管理にリソースを割いて従業員個々の心身を健康に保つことは前提条件というべきものですが、企業側の観点から見て、結果的にコストを上回るメリットが生じるということを認識することが大切です。

生産性向上

健康管理が大事な理由の一つは「生産性の向上」です。

従業員が健康な状態で働き続けることで生産性向上が期待されます。昨今では属人化をなくすべく体制を整える流れが進んでいますが、それでも実際に業務にあたる個々の人材が持つスキルやノウハウの重要性は変わりありません。

また、各従業員のパフォーマンスは一定ではなく、各自のコンディションによって成果も変わってきます。特に、単純労働ではなく、作業者の技量に左右されるような現場ではその重要性は相対的に増加するでしょう。確かに昨今では、人による判断や手作業を必要としない業務に関しては、AIやその他ITツール等による代替が進みつつあります。しかしそれ以外の業務に関しては、未だ人間の判断力や技量が求められるからです。

各従業員の健康状態を良好に維持できていれば、高い集中力を発揮してもらえるので、パフォーマンスを向上させられるでしょう。生産性が向上すると同時に、事故の発生率は低下すると期待されます。逆に不健康な状態が続けば、高精度な仕事を維持してもらうことはできません。そうした従業員が増加すると、業務全体の進捗が滞る恐れもあります。

離職率の低下

「離職率の低下」も健康管理の徹底により得られるメリットの1つです。
健康管理がなぜ離職率に響いてくるのか、理由としては主に2点挙げられます。

1つには、既存の従業員が傷病等の原因によって退職することが少なくなります。事務作業がメインの職場であれば大きな怪我を負うリスクはあまり考えられませんが、職種によっては大型機械を扱ったり、危険な装置を操作したりすることもあります。こういった環境では、ちょっとしたミスでも重大事故につながってしまうでしょう。もし大事な従業員が、現場復帰不可能ななどの傷を負ってしまえば、企業全体の労働力も減少します。
また、危険を伴う職種でなかったとしても、長時間労働などにより精神的な障害を負ってしまうことはあり得ますので、どのような職場であっても健康管理が重要であることには変わりありません。

もう1つは従業員のモチベーションの問題です。大怪我を負わなかったとしても、いつ事故が起こるかわからないような危険な環境では労働意欲が減退します。特にそれが企業側の安全管理・健康管理体制の構築を怠った結果であるなら、より一層顕著になります。

少子高齢化が進む日本の企業では人材の確保が今後より一層重要となるため、離職率を下げ、優秀な人材がパフォーマンスを最大限発揮できるように適切な健康管理を行いましょう。

社会的イメージ向上

仮に従業員の不満がなかったとしても、管理がずさんな企業は外部からの印象が悪くなってしまいます。そのような状態では、採用にも悪影響を及ぼしますし、取引先の確保が難しくなったり、消費者からの信頼を損なったりするといった弊害が発生するかもしれません。

逆に、従業員の健康管理に尽力する会社であるとの評判が広がれば、第三者からの印象もよくなり、対外的な信用が得やすくなります。結果として企業活動にプラスの影響を及ぼします。

昨今では、個人がSNSを使うことで大きな影響力を持つケースもあります。「従業員が情報発信した何気ない内容の投稿が、企業イメージを大きく損なう恐れもある」ということも意識しておきましょう。

従業員の健康管理を実施する方法・ポイント

ここからは、従業員の健康管理を適切に実施する方法やポイントについて説明します。できるだけ効果的な施策となるよう、以下の点に留意しましょう。

定期的なストレスチェックの実施

健康診断を実施する義務は、労働安全衛生法第66条に定められています。そこでは「事業者は、従業員に対し、医師による健康診断を行わなければならない」と規定されています。
有害な業務に従事する者に対しては「特別の項目についての健康診断」も求められていますし、都道府県労働局長は、事業者に対してそれらを指示することも可能であるとも、規定されているのです。

健康状態の把握においては身体の状態を診断するだけでなく、精神的な負担なども定期的に確認することが大事です。そこでストレスチェックが求められます。労働安全衛生法66条では、「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師そのほかの厚生労働省例で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない」と規定されています。
ストレスをためすぎると心身症に発展する可能性がありますし、鬱病を発症する恐れもあります。

そのためストレスチェックを定期的に行い、従業員の健康リスクを早いうちに察知し、精神疾患等を予防するようにしましょう。

長時間労働の是正

長時間の労働を強いることは身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。また労働時間は企業が無制限に設定できるものではありませんので、コンプライアンスの観点からも適正な時間内に限定することが求められます。

このため、健康管理に向けた取り組みの1つとして、長時間労働の是正にも着手しましょう。中小企業など就労人数が少ない場合はフレキシブルに労働時間を調整するのは難しいかもしれませんが、法に則った労働時間の設定は事業者の義務であり、結果的に従業員と企業双方にメリットをもたらします。業務をこなすために無理をさせ、従業員を失ったり、生産性を落としたりしてしまっては意味がありません。そのため、少しずつでも、確実に是正に向けた取り組みは行っていくことが大切です。

また、残業自体は違法なものではありませんが、サービス残業などを求めることは禁じられています。月に80時間を超える残業により、脳や心臓の疾患を発症するリスクが高まると言われていますので、十分注意しなければなりません。また、従業員の自殺や過労死の恐れも出てきます。もちろんこれらが発生すれば、企業への社会的イメージは失墜し、大きな喪失・損失が生じるでしょう。

健康管理システムの導入

ここまで説明した取り組みは、法に基づき従来から行われてきた方法です。近年では、より効率的にするため、ITツールを利用した健康管理システムを導入する例が増加しています。
具体的な機能は製品・サービスによって異なりますが、基本的には定期健康診断等から得た健康状態に関するデータが一元管理できるようになっています。これにより従業員の健康状態を可視化し、従来に比べて効果的・効率的な健康管理が可能となります。

ほかにも機能例としては以下のようなものが挙げられます。
  • 労基署への報告書作成
  • 健康状態の分析
  • 産業医面談の記録
  • 再検査の勧奨メールの自動送信
  • 診断結果に対する事後措置
  • 過重労働者への対応
  • ストレスチェックの実施
従業員の健康管理について課題を抱える企業でも、システムを活用すれば効率面での問題は解決できます。必要がある際は積極的に導入を検討してみるとよいでしょう。

まとめ

従業員の健康管理を適切に実施すると、生産性の向上や離職率の低下など、従業員だけでなく企業全体にとってメリットをもたらします。ストレスチェックや長時間労働の是正など、法で規定されているものは遵守しなければなりません。また、こういった必須の取り組み以外にも、より効率的に管理を行うため、健康管理システムを導入するなどの施策も有効です。

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