ERPと機械学習の動向

 2017.10.17  BizApp チャンネル編集部

最近のIT業界におけるトレンドといえば「AI(人口知能)」や「機械学習」と言っても過言ではありません。今年5月には囲碁AIの「AlphaGo」が、現世界最強の囲碁棋士である柯潔(カ・ケツ)氏に勝利し、引退を発表。9月にはジョージア工科大学の研究グループが「Game Engine Learning from Video(ゲームエンジンをムービーから学習する)」という論文にて、ゲーム画面を見ただけでゲームエンジンを再現可能なAIについて述べています。

参考:Gigazine「AIはゲームプレイ動画からスーパーマリオブラザーズやロックマンのゲームそのものを再現可能

このように、AIや機械学習は様々な分野で活躍し、私たちに将来の可能性を大いに見せてくれています。

囲碁やゲームといった分野の他にも、AIや機械学習の活用が活発になっている分野があります。それが、企業情報システムの根幹とも言えるERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)です。

複数の業務システムを統合するERPに、AIや機械学習はどのように絡んでいるのか?今回はその最新動向を紹介します。

機械学習を取り入れたERP関連製品の数々

意外と知られていないところで、ERPの機械学習活用は非常に活発化しています。次の表は、ERPベンダー各社の機械学習活用をまとめてたものです。

≪ERPベンダー各社の機会学習を取りれた製品・サービス一覧≫

企業名

機械学習を取り入れた代表的な製品・サービス名

概要

Microsoft

Dynamics 365

2016年11月に提供開始したERP「Dynamics 365」に機械学習を中心としたAIを活用する機能を搭載。「リレーションシップインサイト」「需要予測」などの機能が過去の同様の機能と比較して高い精度で利用できるようになった

SAP

SAP Clea

機械学習を取り込んだアプリケーションのブランド名として「SAP Clea」を2017年1月に発表。会計、採用、マーケティングなどの領域で機械学習を取り入れたアプリケーションを提供予定

Oracle

Adaptive Intelligent Application

クラウドサービスの利用データに加え、SNSやPOSといった社外のデータを分析し、ERPやCRMなどのアプリケーションに組み込んで提供する。第一弾製品としてコンバージョン率の向上を支援する「Offers」を今後、提供予定

SalesForce.com

Salesforce Einstein

SaaSにAIを組み込むコンセプト「Salesforce Einstein」を2016年9月に発表。営業支援やマーケティングなど8領域のアプリケーションで、2017年春のバージョンアップからAIを取り入れた機能の提供を本格的に始める

引用:日経BP ITpro「「基幹系」と「AI」の意外な関係

基幹システムに関するお役立ち資料

特にMicrosoftが提供するERP・CRM統合型システムのDynamics 365は、多数の機能に機会学習を活用しています。米Microsoftでクラウド&エンタープライズ マーケティング担当のコーポレートバイスプレジデントを務める沼本健氏は、Dynamics 365が提供するAI機能について、次のように話しています。

「これまではDynamics AXのリードのスコア付け機能にのみAIを利用していたが、Dynamics 365では既に10種類以上の機能でAIを活用できるようになっている」

引用:日経BP ITpro「ERPでもCRMでもない、MSが新業務アプリ「Dynamics 365」を提供開始

機械学習とERPは相性が良い?

なぜ、ここまで多くのERP関連製品に機械学習が活用されているのでしょうか?その理由の一つが、「機械学習とERPは相性が良い」ということです。

そもそも機械学習というのはAIの研究分野の一つで、大量のデータから規則性を見つけたり、過去のデータから将来の事象を予測することに活用されます。機械学習を活用した代表的な機能といえば、ウイルス対策ソフトの「スパムメール検出」や、オンラインショッピングの「レコメンド機能」でしょう。

スパムメール機能は、コンピュータに「スパムの特徴」というデータを大量に読み込ませることで、新しく届いたメールのスパム率を照合します。これにより、自動的にスパムメールを検出し、セキュリティ対策を強化できます。

レコメンド機能はユーザーの属性データや購入履歴といったデータによってグループ分け、しそのグループで最も購入されている商品などをおすすめします。

こうした機械学習を活用した機能に共通しているのは、いずれも「大量のデータを必要とすること」です。

ここでERPの特徴についておさらいすると、ERPは複数の業務システムを統合して提供するため、組織全体の情報を一つのデータベースで管理できます。今までは分断化されたシステム環境で、データの一元管理は難しい課題でした。

しかしERPは、この課題を容易にクリアし、組織全体の情報を一つの「ビッグデータ」として扱うことができます。これはつまり、機械学習機能を活用する条件である、「大量のデータ」を有するものであり、多数の機能に機械学習を取り入れられることを意味します。

このため機械学習とERPは相性が良く、様々なシーンで活用されているのです。

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将来、定型業務はAIに代替される

よく「数十年後にはほとんどの業務がAIに代替され、仕事が無くなる」という言葉を耳にします。しかし正確には「定型業務はAIに代替される」であり、すべての仕事が無くなるわけではありません。

むしろ、定型業務が無くなることで業務効率は飛躍し、人や「企画」や「マネジメント」といった、人ならではのインスピレーションや臨機応変な判断が必要な仕事に没頭できるようになります。

例えば経理システムでは、すでに「自動仕分け」という機械学習を取り入れている製品が多数存在します。人は必要なデータを入力していくだけで、「勘定科目の仕訳」という手間のかかる処理は、コンピュータが行ってくれるのです。

現在では「勘定科目の仕訳」という作業に限定されていますが、将来的にはデータ入力もAIに代替される時代が到来するでしょう。そうした時、「仕事が無くなる」ではなく、コア業務により注力できると考えると、機械学習の重要性の高さを理解できるのではないでしょうか。

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まとめ

今後、ERP導入を検討する際は、機械学習を取りれた製品にぜひ着目してみてください。AIの力をビジネスに積極的に取り入れれば、業務効率や飛躍的に伸び、生産性を高められるはずです。ただし、製品によって機械学習の活用シーンが異なるので、その点を十分に考慮した上で、自社にとって最適な製品を選びましょう。

 AI × 人のビジネス革新

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