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化学業界向けのERPとは?事例も解説

不確実性の高まる現代市場において、化学業界に携わる企業が市場の競争優位性を確立するためには、基幹業務を統合的に管理する「ERP」の導入が不可欠です。本記事ではERPの概要やメリット、化学業界に必要とされる理由や導入事例について解説します。ERPの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

化学業界向けのERPとは?事例も解説

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そもそもERPとはなにか

「ERP」とは「Enterprise Resource Planning」の頭文字をとった略称で、「企業資源計画」と訳されるマネジメント手法を指します。ヒト・モノ・カネ・情報といった企業資源を統合的に管理し、経営基盤の総合的な強化を図ることがERPの目的です。

そして、ERPの実行を支援すべく、組織内の基幹業務を一元的に管理するソリューションを「統合基幹業務システム」と呼びます。本来、ERPはマネジメント手法を意味する概念的な用語ですが、近年では統合基幹業務システムを指して「ERP」と呼称するのが一般的になりつつあります。

企業活動におけるERPの重要性

ERPは財務会計管理・人事管理・購買管理生産管理・物流管理・販売管理など、基幹部門の業務データを統合的に管理するソリューションであり、主に以下のようなメリットを企業にもたらします。

  • 別部門の仕事を統合できる
  • データ分析に必要な情報が集約される

別部門の仕事を統合できる

企業規模や事業形態によって異なりますが、組織の業務データは多くの場合、各部門の基幹システムにて個別管理されています。しかし、それぞれの部門の業務形式に最適化されてはいるものの、部署を跨いだ情報共有や業務連携には不向きなシステム形態といえます。

ERPを導入することで経営状況を一元的に把握できるため、リアルタイムな在庫状況に応じた生産計画の立案や、正確な財務情報に基づく業務処理、購買から販売に至るサプライチェーンの可視化などが可能となります。

またERPは、グローバル市場で事業を展開する企業にとっても不可欠なソリューションです。厚生労働省の調査によると、国内の総人口は2008年をピークに減少し続けており、国内市場は緩やかながらも衰退傾向にあるため、グローバル市場における成長機会を確保すべく、海外に事業を展開させる企業が少なくありません。

ERPを活用することで、国内拠点はもちろん、海外拠点の基幹系情報も統合的に管理できるため、国内外のグループ企業を含む全拠点の経営データを収集・分析できます。

データ分析に必要な情報が集約される

変化の加速する現代市場において、企業が競争優位性を確立するためには、スピーディな意思決定や的確な経営判断が不可欠です。そのためには、組織内に蓄積されているあらゆる業務データを一元的に集約し、経営状況や財務状況を俯瞰的な視点から分析しなくてはなりません。データ分析は「データの収集・蓄積」に始まり、「加工・変換」→「可視化・分析」というステップを経て実行されるため、いかにして組織内のデータをスムーズに集約するかが肝要です。

ところが、従来のように各部門の基幹システムによってデータが個別管理されている状態では、データの収集・蓄積に多大な時間を要してしまいます。データ分析に手間取るほど、意思決定や経営判断の遅滞を招き、ひいては企業業績の鈍化につながるでしょう。

基幹業務を統合的に管理するERPを導入することで、データの収集・蓄積におけるプロセスの迅速化に寄与し、データドリブンな経営基盤の構築が可能となります。

化学業界にERPが向いている理由

化学反応技術を活用して製造を行う化学業界は、古くは染料や化学肥料などの製造に始まり、現代では医薬品や油脂加工製品、合成繊維や電子部品などの幅広い事業領域を対象とする産業です。総務省・経済産業省が発表した「2020 年工業統計速報」によると、化学業界の製造品出荷額は製造業全体の9.1%を占める規模となっており、国内市場における主要産業のひとつといえるでしょう。

しかし、化学業界は石油への依存度が高く、世界情勢や原材料の価格に事業の方向性が大きく左右され、需要と供給の乱高下が激しい傾向にあります。化学物質や有害物質に関する国内外の規制も年々強化されており、競争優位性を確立するためには、市場の変化に柔軟かつ迅速に対応し、イノベーションの創出を支援するソリューションが必要です。

Microsoft Dynamics 365(以下、Dynamics 365)」のようなグローバル標準のERPを取り入れることで、複雑な生産工程や配合表などの管理を最適化しつつ、国によって異なる法規制の変化に対して的確に対応できます。

プロセス製造業の業務特性に対応可能

化学業界の製造分野には多くの業種がありますが、流体・ガス・粉体などを扱う「プロセス系」と、個体を原材料とする「ディスクリート系」に分類されます。プロセス製造業はディスクリート系の製造分野と異なり、1つの原料から複数の製品ができるため、単純なBOMでは生産計画を管理しきれず、製品と同時に連産品や副産物が発生するケースも少なくありません。また、同一製品でも顧客や季節ごとに規格・仕様が異なったり、ロットごとに特性や状態を管理する必要があったりするなど、製造ラインの効率化や標準化も非常に困難です。

このようなプロセス製造業の業務特性に対応するためには、独自機能を追加するアドオン開発が必須といっても過言ではありません。しかし、プロセス製造業の要件に合わせてアドオンモジュールを作成すれば、当然ながら開発費用と工数が膨らみ、さらに保守・運用における管理コストも増大します。プロセス製造業がもつ固有のニーズを満たしつつ、可能な限りコストを抑えるためには、化学業界向けのシステム要件に対応したERPを選定する必要があるでしょう。

たとえばDynamics 365は、営業活動やプロジェクト管理、財務会計や管理会計、顧客対応や物流管理など、さまざまな業務領域に特化した複数のモジュールによって構成されています。そのなかでも、プロセス製造業の業務領域に対応しているのが「Dynamics 365 for Finance and Operations」です。いわゆるDynamics 365の製造業向けテンプレートであり、同製品を導入することでアドオン開発やカスタマイズを極力抑えつつ、プロセス製造業の要件を満たすERPの構築が可能です。

化学業界のERP導入事例

化学分野の製造領域に携わるB社では、各部門の基幹システムのサイロ化が課題となっていました。流体・ガス・粉体などを取り扱う化学業界では、重量や体積、濃度や荷姿、梱包状態などの統合的な管理が不可欠です。しかしB社では、基幹システムのサイロ化によってデータが分断され、事務作業が煩雑化していたのです。

そこでERPを導入し、基幹業務を一元的に管理することで、組織全体の業務プロセスの可視化に取り組みました。その結果、事務作業の業務負担軽減と効率化に成功しています。

化学業界向けDynamics 365 ERP

化学業界向けのERPソリューションとして最もおすすめしたいのが、Microsoft社が開発・販売を手掛けるDynamics 365です。先述したように、Dynamics 365では特有の業務領域に特化したテンプレートが用意されており、Dynamics 365 for Finance and Operationsを選択することで、アドオン開発を行うことなく化学・製造分析に特化したERP環境の構築が可能です。オンプレミス・クラウドの両軸に対応できるうえ、ほかのMicrosoft製品との連携性にも優れるため、さまざまな企業におすすめできるERPです。

まとめ

仕入れた原材料に化学反応技術を用いて新たな付加価値を創出する化学業界は、ディスクリート系の製造分野よりも、生産計画の策定やロットの管理が困難な傾向にあります。そのため、効率的な生産体制を構築するうえでは、全社横断的な情報共有を支援するERPの存在が不可欠といえるでしょう。効率的な生産体制と安定的な品質を確保するためにも、ぜひ「Dynamics 365」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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