ERP

現地法人向けERP選定で必須となる機能とは?

大企業・中小企業と事業規模を問わず、日本企業の海外進出が活発になっています。特に最近では、M&A(吸収合併)や事業拡大により急速に海外市場を開拓する日本企業が多く、今後も日本企業の躍進が期待されています。

しかし、現地法人の経営情報管理に苦慮している企業も多く、重大な経営課題として解決に取り組んでいる企業も多くあります。本稿では、そうした課題を解決するために、現地法人向けのERP(Enterprise Resource Planning)選定において、必須となる機能について解説します。

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現地法人にERPが必要な理由とは?

ERPは、経営活動に欠かすことのできない基幹系システムの数々を統合しつつ、その他の情報系システムを統合することにより、組織の隅々まで存在している情報の一元管理を実現するための業務管理ソフトウェアです。このERPが現地法人に必要とされている理由とは何でしょうか?

一つの理由として「情報資源の集約管理とリアルタイムな共有」が挙げられます。現地法人にERPを導入することにより、統合的なICT環境によって、現地法人の経営状況をリアルタイムに可視化することができます。それにより、グループ全体を通じて一貫した経営活動を行いつつ、国・地域の特性に合わせた事業戦略を組むことも可能です。

また、プロセスを一元化することによる生産性の向上、業務をシステムで統合することによるガバナンスの強化も大きな理由の一つです。

現地法人のERPに必要な機能とは?

現地法人に導入するERPは、どんな製品でも構わない、というわけではありません。

現地法人へERPを導入する目的は、プロセスの合理化、リアルタイムな情報共有、ガバナンスの強化なので、現地法人に特化したERPでは本社側システムとの整合性が取れず、その目的を達成することができません。では、どんな機能が必要されるのでしょうか?

1.クラウドサービス

現地法人に導入するERPとして一番大切な機能が「クラウドサービスであること」です。

もちろんオンプレミスの製品で本社と連携でいるものであれば問題ありませんが、ITコストのみならず人材コストなどが発生するため、よほどの予算がない限り難しい場合がほとんどです。貴重なリソースを消費するわけにはいかないため、ここではクラウドサービスを積極的に検討することが大切です。

クラウドサービス型のERPならば、本社と現地法人はインターネット回線というオープンなネットワークで繋がります。もちろん、セキュリティ対策はクラウドERPベンダーが実施しているので、企業側で特別な情報セキュリティ対策は必要とされません。

2.多言語・多通貨

現地法人に導入するERPはやはり「多言語・多通貨」が基本です。特に、多通貨は会計データの処理を迅速に行うために欠かせません。週次レポート、月次レポートによって売上情報等を共有する際は、ERPが多通貨に対応していると既存のデータから必要な売上情報などを為替を意識しながら瞬時に円に切り替えることができます。為替情報も取り込みつつなので、常にフレッシュな売上情報などを把握できるでしょう。

もちろん現地スタッフは、その地域の言語、通貨に慣れ親しんでいるためこの機能は必要不可欠と言えるでしょう。

3.豊富なインターフェース

現地法人にERPを導入する際に注意したいのが、本社側のICTシステムとの連携や、現地法人ですでに稼働しているICTシステムとの連携についてです。例えば中国などでは会計ソフトウェアである用友などと連携したいという要望はよくある話です。ERPを導入しても、すべてのICTシステムが不要になるわけではなく、時には既存のICTシステムを稼働し続けることも大切であり、その際は、ERPと既存ICTシステムとの連携性がとても重要になります。

そのためにはクラウドERPが他システムと連携しやすいアーキテクチャーである必要があります。

4.世界基準のエクスペリエンス

現地法人に導入するERPは、世界基準で使いやすいエクスペリエンスを提供している製品でなくてはいけません。本社、支社、グループ企業、現地法人のすべてが同じようにERPを扱えるからこそ、全体での情報活用が促進します。

5. 商習慣・法令への準拠

ERP特に会計領域においては本社側では連携決算処理などが行えれば良いと言えます。そして、それぞれの地域ではその国に応じた税制に対応する必要があります。そのためクラウドERPが、各国の税制対応ができている必要があります。これは、そのERPが持っている機能に場合もありますしパートナーソリューションで対応する場合もあります。

6. 伸縮性の高いシステムであること

これはクラウドERPと関係する部分ですが、海外展開をする場合、迅速な立ち上げや現地法人での採用の加速などに柔軟に対応する必要があります。そのためサブスクリプションモデルで提供されるクラウドERPが拡張性高く対応できるでしょう。

また、急な撤退も余儀なくされるケースもあります。その場合にも契約解除だけですむクラウドERPはリスクを最小化できるメリットもあるのです。

2層ERPという手法

海外現地法人にERPを導入するパターンとして以下の3つが考えられます。

  1. 本社のクラウドERPを現地法人にそのまま展開
  2. 本社のオンプレミスERPを現地法人にそのまま展開
  3. 本社のERPと現地法人のクラウドERPを連携(2層ERP)

1のクラウドERPの現地への適用はライセンスの拡張だけなので一番楽なパターンと言えます。

問題は2です。本社ではオンプレミスのERPが稼働している場合には、そのERPを同じように展開するのはコスト的にもリソース的にも見合わないケースが多々あります。その場合、3のように現地法人にはクラウドERPを導入して本社のERPと連携する仕組みが考えられます。

つまり、現地法人に導入するERPに必要な「クラウドサービス」「多言語・多通貨」「豊富なインターフェース」「世界基準のエクスペリエンス」を組み込んだICT戦略が「2層ERP」です。

2層ERPとは、2000年代後半から米ガートナー社等によって提唱されてきた概念であり、本社で稼働しているSAPやOracleといった大規模なERPを「コアERP」と位置付けて、それとは別に事業単位・拠点単位でビジネスニーズに柔軟な対応ができるERPを選定・導入し、コアERPとのデータ連携を図るというICT環境です。

現地法人にERPを導入する際に、本社で稼働しているコアERPと同じICTシステムを構築することは、現実的ではありません。現地法人にとっては費用面でも運用面でも、多大な負担を被ることになるからです。本社側の利己的な考えで同じICTシステムを現地法人やグループ企業にも構築しようと取り組むケースもありますが、大方失敗に終わっています。その理由は単純なもので、「コアERPがグループ企業や現地法人に適用するとは限らないから」です。

そこで、現地法人にもフィットするようなERPを選定して、現地法人に導入した上で本社側のコアERPとデータ連携を図り、それぞれの環境に合わせたERPを構築していきます。

2層ERPの基本はクラウドサービスとして導入することです。そのため、従来のオンプレミス型ERPに比べて導入が迅速であり、企業同士の連携も非常に簡単なため、急速に海外進出を行う日本企業にとっても、大変メリットの高いICT戦略と言えるでしょう。

2層ERPを実現するDynamics 365

Microsoftが提供する「Dynamics 365」は、世界中の企業に採用されているクラウドサービス型のERPであり、2層ERPとしても広く活用されています。Dynamics 365は多言語・多通貨によって世界中の企業との連携を実現するERPです。世界百数十ヵ国で導入されており、世界でトップと呼ばれるような企業も、Dynamics 365で統合的な情報資産管理を実現しています。

Dynamics 365には「セールス」「カスタマーサービス」「フィールドサービス」「タレント」「ファイナンス&オペレーション」「プロジェクトサービスオートメーション」「マーケティング」「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」「MR(Mixed Reality:複合現実)」「ビジネス管理」といったアプリケーションが統合されており、それぞれが重要な役割を果たしています。

もちろん、各アプリケーションは互いに連携し、すべてのデータは一元的に管理されるので現地法人の経営状況を把握するのも簡単です。アプリケーション単位で導入・共有することも可能なので、環境に合わせた最適な共有環境を整えることができます。現地法人へのERP導入を検討する際は、ぜひDynamics 365をご検討ください。

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