海外拠点のERP導入手法 2層ERPについて

 2020.03.25  BizApp チャンネル編集部

ERP(Enterprise Resource Planning)は、複数の業務アプリが事前統合されたパッケージソフトウェアによって、連携性の高いシステム環境を効率的に構築するための製品の総称です。ERPは1990年代後半から普及が進み、当時は莫大なコストがかかることから大企業と一部の中堅企業が導入するモノだと考えられていました。時代が進むにつれ、クラウドサービスの台頭で徐々に中小企業等にもERPの有効性が認めらえていきます。今ではグループ全体においてERPを運用し、経営状況可視化や業務フロー最適化に取り組んでいる企業も存在します。

本記事でご紹介するのは、グローバル化が進む現代ビジネスにおいて海外拠点へERPを導入するにあたり、何を選択するのが正解なのか?についてです。昨今注目されている2層ERP(2 Tier ERP)という新しい導入手法を中心にご紹介しますので、興味のある方はぜひご一読ください。

海外拠点のERP導入手法 2層ERPについて

グローバル化と統合的な経営管理へのニーズ

事業の成長と技術の発展、そして日本市場の成熟を受けてビジネスフィールドを海外のビッグマーケットや未開拓市場に求める企業が増えています。JETRO(日本貿易振興機構)によると日本企業の海外進出意欲は長年横ばいで維持状態にあるものの、中国と米国に関しては上向きとなっています。

参考:2018年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

グローバル化に伴い、当然のことのように発生するニーズが海外拠点を含めた統合的な経営管理です。グループが成長していくと経営管理業務は高度化・複雑化していき、ましてや海外拠点を含めるとその複雑性はさらに増大します。本社企業としては、日本各地・世界各国に展開した拠点の経営データをリアルタイムに監視し、グローバルレベルでの経営環境変化に反応しながらビジネス戦略やリソースの最適化を図っていきたいと考えていることでしょう

しかし、そのニーズとは裏腹にグローバル規模で拠点が増えるたびに経営データの収集は困難になり、経営管理に欠かせないデータフォーマットを統一するだけでも膨大な時間がかかります。仮にフォーマットを統一してもマンパワーによる対応にリソースを割かれ、タイムリーな経営状況可視化も難しくなります。

グローバル規模でのERP課題を解決するために、SAPなど大規模製品を導入している大企業や多国籍企業では本社企業が導入している製品をグループ全体で統一するという方法が一般的でした。

従来のERP統合がもたらす問題

SAPなどのERPをグループ全体で統一することにより、グローバル規模での経営管理が可能になったことは確かです。しかしその反面、いくつかも問題が浮上しました。第一に、本社企業からグループ全体の経営状況をタイムリーに確認できるようになる半面、一部の拠点では業務効率が著しく低下する恐れがあることです。

本社企業に導入しているERPは、その環境に適応するためのカスタマイズやアドオンが加えられています。海外拠点などのグループ企業に導入するERPも当然ながら、本社企業での運用を通じて得たノウハウ等を適用するため、本社企業とは決定的に異なる事業展開や商習慣を持っている拠点の場合は、業務とERPのギャップが生じやすくシステム外運用が増え、業務負担が大きくなってしまうのです。

そしてもう1つの問題は投資対効果です。グローバル事業によっては、市場変化や経営戦略変更によって早期撤退をしなければならない場合もあります。拠点が増える度に本社企業と同等のERPを導入するのには時間と費用が膨大にかかるため、経営判断としてのリスクが高く費用対効果も低下する恐れが大いにあります。

基幹システムに関するお役立ち資料

海外拠点の経営管理に最適な2層ERP

前述した問題を解決しながら海外拠点の経営管理のためにERPを導入する方法はないのか?という点を模索した結果、2000年代後半から世界有数のITアドバイザリ企業である米ガートナー社が2層ERPとう新しいモデルを提唱します。2層ERPは本社企業で運用しているSAPなどの大規模製品をコアERPと位置付けて、海外拠点やグループ企業には各拠点単位で異なるビジネスニーズに対応できる柔軟なERPを選択し、コアERPとの連携を図るという方法です。コアERPとサブとなるERPの2層構造になっていることから2層ERPと呼びます。

2層ERPの利点は、拠点が持つ事業・エリアごとの商習慣にマッチしたERPを選択できることであり、本社企業で稼働している大規模ERPによる業務効率化の低下を防ぐことができます。コアERPと2層目ERPはデータやプロセスで連携するため、海外拠点における経営管理をタイムリーに行うことも可能です。

2層ERPではコアERPとの連携性さえ考慮すれば、さまざまな選択肢の中から拠点に合わせたERPを選択できます。経営環境の変化やビジネスリスクを予測して、クラウド対応やローコストなERPを導入することも可能なので正しい経営判断が下せるでしょう。

クラウド型ERPが2層ERPを牽引

2層ERPが注目されるようになった背景に、2000年代後半から急速に進化・発展したクラウドがあります。クラウドはリソース提供、グループウェア、メールサービスなど情報基盤系・情報共有系ソリューションにおいて先行発展を遂げてきました。2010年台に入るとクラウドが持つセキュリティ信頼性やデータ処理パフォーマンスが向上し、クラウド適用の範囲が基幹業務・基幹データにも及び、クラウド型ERPが市場での存在感を増していきました。

クラウド型ERPはハードウェア購入や新しいIT技術者の雇用など従来ネックだったコストをかけずに、低費用・短納期での導入が可能です。事業規模に応じてスモールスタートを切り、事業・組織の成長に合わせて柔軟性良く機能を拡張したり、システムパフォーマンスの増強を図ったりすることもできます。ビジネスリスクが高い海外拠点では、2層ERPを選択することでリスクを最小限に留めながら、本社企業での経営管理やガバナンスコントロースが行いやすくなるのです。

また、海外モデルのクラウド型ERPならば多言語・他通貨対応によって現地スタッフの負担を軽減しながらのERP導入もできます。現地システムを避けることでグループ全体での統合的な経営管理を実現し、本社企業が中心となってグループ全体の統制を利かせやすくなるのも大きな利点です。

このように、クラウド型ERPを採用した2層ERPでは従来のERP連携には無かった利点をもたらし、特有の問題を解決してくれます。海外拠点とのERP連携を検討する際は、ぜひ2層ERPを考えてみてください。

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