ERP

ERPの導入プロジェクトの進め方

ERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング)で解決される経営課題は多く、最近ではクラウドERPの台頭により大企業だけでなく中小企業でも幅広く浸透しています。今や、ERP無くして高い競争力を手にするのは難しい、と言って過言ではないでしょう。

<ERPで解決される経営課題の一例>

  • 膨大な時間がかかったデータ収集や加工をリアルタイムに行える
  • 組織全体で整合性の取れた信頼あるデータを管理及び活用できる
  • ITの複雑化により肥大化した運用費用と運用負荷を同時に削減できる
  • 全社的なシステムログの取得が容易になり内部統制をコントロールできる

ERPによって数々の経営課題が解決されれば、組織の労働生産性は向上し、顧客満足度に貢献でき、ひいては利益拡大へと繋げていくことができます。しかし、そうしたERP効果を最大限に引き出すためには、正しい手順で導入プロジェクトを推進することが大切です。

本稿では、ERP導入プロジェクトの進め方についてご紹介します。

ERPの導入プロジェクトの進め方

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オーソドックスなERP導入プロジェクトの進め方

近年では、ERPのような基幹システムを構築するにあたりゼロからフルスクラッチで開発するという企業は非常に稀です。9割以上の企業は既存のERPパッケージから自社にとって最適な製品を選び、導入しています。ERPほど大規模なシステム製品になると、ERPパッケージを活用する方がイニシャルコストと導入期間を抑えられるためであり、業界のベストプラクティスを取り入れられるというメリットもあります。

そして多くの企業では、ERP導入プロジェクトを以下のようなプロセスで進めていきます。

ERP導入プロジェクトのプロセス

No.

フェーズ

詳細

1

分析調査

既存のシステム環境を含めて現状調査を実施し、業務課題と経営課題を整理します。この時点でERP導入の目的を明確にし、候補となるERPをいくつかピックアップします。

2

提案

RFP(Request for Proposal:提案依頼書)とRFQ(Request for Quotation:見積依頼書)を各ERPベンダーに提出し、その返答を受けます。

3

選定・契約

各ERPベンダーから受けたRFPとRFQの返答をもとにしながら、比較検討を実施して導入するERPを選択し、ERPベンダーと契約を締結します。

4

キックオフ

社内関係者とERPベンダーの担当者を含めてキックオフを実施し、今後のERP導入プロジェクトの方針を決定していきます。

5

要件定義

業務課題や経営課題からERPに必要な機能要件等を定義していきます。RFP作成段階で十分に要件が洗い出されていると、要件定義との見積金額の増加を抑えられるでしょう。

6

設計・開発

ERPベンダーが中心になりERPの設計と開発を進めていきます。ERPの標準機能で対応できる業務プロセスも多いですが、カスタマイズやアドオンが必要になる可能性も高いため、それを含めて設計及び開発します。

7

テスト

設計及び開発したシステムが正常に稼働するかどうかを、ERPベンダーが独自にテストします。

8

設置

テスト基準をクリアしたERPはクライアント企業のインフラ環境に設置されます。

9

現地テスト

現地(クライアント企業)で簡単なテストを実施し、移行後の環境でも正常通り稼働するかを確認します。

10

トレーニング

ERPの概要や使い方などについて、ERPベンダーがクライアント企業のエンドユーザー等にトレーニングを実施します。

11

移行・受入テスト

ERP移行後、受入テストと称してERPを問題無く運用できるかをテストします。

12

カットオーバー

晴れてカットオーバー(本格稼働)に至ります。

一般的なERP導入プロジェクトは以上のような流れで進んでいきますが、実際のプロジェクトでは各フェーズの規模が大きく、責任範囲も大きくなります。なので、ERP導入プロジェクトは組織的に取り組むことが重要とされており、必ず現場従業員を巻き込むことが大切です。

ERP導入プロジェクトを成功させるポイント

ERP導入プロジェクトを手順通りに進められたとしても、失敗しては元も子もありません。ゴールはあくまでERP導入の成功です。ここでは、ERP導入プロジェクトを成功させるポイントをご紹介します。

1.調査分析の徹底

企業が現在抱えている業務課題や経営課題とは何か?そして、ERPを導入することでどのような効果が期待できるのか?を、可能な限り具体的に示していきます。具体的には現場で使用している帳票を調べ、本当に必要なものなのかを検討したり、部門ごとに日々どのようなシステムを利用しているかなどを調査したりします。

調査分析を徹底することでERP導入プロジェクトのコンセプトが固まりやすくなり、かつ要件定義をより細かく実施できることから、ERP導入プロジェクトの成否に直接つながっていきます。正確なRFPやRFQを提出するのもここから始まるので、調査分析に十二分の時間をかけてください。

2.社内ステークホルダーを巻き込む

ERPの導入効果は、経営者には理解しやすいものの現場部門のエンドユーザーからすれば「わざわざ業務プロセスを変更する理由ってなに?」と考えるほど、理解しにくい傾向にあります。この感情をそのままにERP導入プロジェクトを推し進めると現場部門が反発するケースも少なくありません。

大切なのはERPを導入する本質を経営者はもちろん、従業員までもが理解し、組織的にERP導入プロジェクトトを推進することです。社内のステークホルダー(関係者)を必ず巻き込み、彼らの意見を吸い上げながらERP導入プロジェクトを進めていきましょう。

3.カスタマイズ及びアドオンを最小限に

すべてのERPパッケージは標準機能が備わっているため、理想としては標準機能を全面的に採用してカスタマイズ及びアドオンの必要性を排除することです。しかしそうもいかないのが実情であり、多くの企業はERPにカスタマイズやアドオンを加えます。その結果、保守管理が複雑になりアップデート対応が不能になったりと、デメリットもあります。

このことを忘れずに、カスタマイズ及びアドオンを最小限にとどめるために、既存の業務プロセスをERPパッケージに合わせるという考え方も必要です。

4.業務改革を伴わせる

ERPを上手く導入できたにも係わらず、業務改革が実施されないまま運用されているケースも多いでしょう。ERPはあらゆる情報を一元的に管理できることから、企業の業務改革を成功させるために欠かせません。

5.ERP導入成功の定義を持つ

ERP導入プロジェクトを成功させるために欠かせないのが「何をもって成功とするのか?」という定義を決めることです。ERP導入後、しばらく運用しても成功しているのか失敗しているのか判断できないという企業は少なくありません。彼らは、ERP導入成功の定義を持たないが故に、迷い続けた運用を実施します。

ERP導入が成功だったと判断するための、成功の定義を持ちましょう。

まとめ

ERP導入プロジェクトは企業独自に実施するのではなく、やはりパートナーからの支援が必要です。ただし、主体となるのはあくまでクライアント企業なので、自主性を持ってERP導入プロジェクトを積極的に推進していきましょう!

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