製造業のERPに求められるものとは? Dynamics 365でどう運用できるか

 2021.11.03  BizApp チャンネル編集部

製造業に携わる企業にとって、生産体制の最適化は非常に重要な経営課題といえます。そこで重要となるのが、企業の経営資源を統合的に管理する「ERPシステム」の運用です。本記事では、製造業にERPシステムが必要とされる理由を考察するとともに、製造分野の領域にDynamics 365を導入するメリットについて解説します。

製造業のERPに求められるものとは? Dynamics 365でどう運用できるか

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製造業でのERP運用に期待される効果

国内の製造業は少子高齢化に伴う人材不足や就業者の高齢化といった問題が深刻化しており、生産体制の抜本的な変革が求められている業界です。経済産業省の調査(※1)では、ものづくりに携わる企業の約4割が深刻な問題として「人手不足」「人材育成・能力開発が進まない」と回答しており、いかにして効率的な生産体制を構築するかが重要な経営課題となっています。

このような製造現場に変革をもたらすべく、必要とされているのが「ERPシステム」です。「ERP」とは「Enterprise Resources Planning」の略称で、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を統合的に管理するマネジメント手法を指す概念です。そして、このERPを支援するために、財務会計・人事・購買・生産・物流・販売など、企業の基幹業務を一元的に管理するITシステムを「ERPシステム(統合基幹業務システム)」と呼びます。

このERPシステムを製造業のマネジメント領域に用いることで、どのような効果が期待できるのかを見ていきましょう。

製造現場を止めない

製造現場の生産性を高めるためには、生産施設や生産設備の稼働率向上が非常に重要です。ERPシステムの導入によって基幹業務を統合管理できれば、部門を跨いだ情報共有が容易になるというメリットを得られます。たとえば、購買部門や在庫管理部門、販売部門などの管理データと生産部門の製造データを一元的に管理することで、全社的なデータ分析に基づく最適な生産計画の立案が可能です。

従来、基幹部門の業務データは各部署の情報システムに個別管理されているのが一般的であり、それぞれの部門が異なる情報に基づいて業務を進めているケースが多い傾向にあります。このような状態では在庫状況や販売状況をリアルタイムで把握するのは困難であり、過剰在庫によるコストの圧迫、あるいは過少在庫による販売機会の損失を招く原因となるでしょう。

そして、在庫認識の誤りに気づき、生産計画の立て直しを余儀なくされるといった事態に陥りかねません。このような製造現場の遅滞はサプライチェーンの分断にもつながり、結果として組織全体における生産性の低下や財務状況の悪化を招きます。こうした事態を防ぐためにも、基幹部門のデータを統合的に管理するERPシステムの運用が求められているのです。

市場への対応能力を高める

テクノロジーの進歩・発展に伴って市場の変化は加速しており、このような時代のなかで企業が勝ち残るためには、イノベーションの創出や優れた顧客体験の提供が欠かせません。常に変化する市場動向や高度化する顧客ニーズに対応していく必要があり、そのためには的確な経営判断や迅速な意思決定が求められます。

ERPシステムによって組織全体の経営データを一元化できれば、全社横断的な情報共有が可能になるため、定量的なデータ分析に基づく経営判断や意思決定が可能になります。また、ETLツールやBIツールを用いてデータ分析基盤を構築し、ERPシステムと連携することで、ビッグデータ分析による市場動向の把握や高度な需要予測が可能になるでしょう。

導入・運用コストを最小限にとどめる

ERPシステムの本質は経営資源の一元化にあり、基幹業務を統合管理することで経営基盤や生産体制の総合的な強化をもたらします。しかし、オンプレミス環境にERPシステムを構築するためには、莫大な導入費用と管理コストが必要です。たとえば、2009年にNECがERPシステムを全面刷新した際は、システム基盤の構築に約400億円もの費用を投じています。

これは連結従業員数が10万人を超える大企業だからこそのスケールですが、一般的にERPシステムの構築には数百万円から数千万円のコストが必要です。導入後もサーバーやネットワーク機器の保守・管理が必須であり、ITインフラの規模に応じて相応のランニングコストを要します。ERPシステムを生産体制に取り入れるためには、いかにして導入・運用コストを最小限に抑えるかが重要な課題です。

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製造業でのDynamics 365の運用

ERPシステムを選定する際は、自社の事業形態や生産体制に適したソリューションを選定しなくてはなりません。製造分野の領域にERPシステムを導入するのであれば、おすすめしたいのはMicrosoft社が提供する「Microsoft Dynamics 365(以下、Dynamics 365)」です。製造分野にDynamics 365を用いることで、以下のようなメリットを得られます。

  • サプライチェーンを可視化する
  • 障害要素を検出・予防する
  • 顧客のニーズを把握し応える

サプライチェーンを可視化する

Dynamics 365は複数のアプリケーションによって構成されており、幅広い事業領域を支援するERPシステムです。そのひとつに「Supply Chain Management」があり、このソリューションを用いることで、生産にかかわる膨大な在庫の一元的な管理が可能になります。AIによる高精度な需要予測やロジスティックの状況分析といった機能を備えており、サプライチェーン全体の最適化に寄与します。

障害要素を検出・予防する

現代はIoTやAIによる技術革新「第4次産業革命」の過渡期といわれており、製造現場においてもこうしたテクノロジーが浸透しつつあります。Dynamics 365は、IoTやAIの管理基盤としても活用可能なソリューションです。IoTやAIの導入によって生産設備に生じた障害や問題を素早く検出するとともに、労働者の安全を確保することで円滑な生産を維持します。

顧客のニーズを把握し応える

Dynamics 365は基幹系システムでありながら、顧客関係管理に特化した情報系システム「CRM」機能を搭載しているソリューションです。これにより、全社的なデータ分析に基づいて顧客の潜在的ニーズを掘り起こしたり、需要の変化を予測・可視化したりできます。ERPシステムとCRMシステムを2軸で活用することで、スピーディーな経営判断や顧客の潜在需要を捉えた製品開発が可能になり、優れた顧客体験の提供と顧客満足度の最大化に貢献します。

クラウドのDynamics 365でERP運用コストを最小に抑える

Dynamics 365はSaaSとして提供されるクラウド型のERPですが、オンプレミス型にも対応可能なソリューションです。しかし、クラウド型を採用することで導入費用と管理コストを大幅に抑えつつ、経営資源や基幹業務の統合的な管理体制を構築できます。

導入・運用コストを抑えるクラウドの特性

クラウド型はオンプレミス型とは異なり、サーバーやネットワーク機器の導入を必要としません。自社にITインフラを構築する必要がないため、オンプレミス型と比較して初期費用を大幅に削減可能です。システムの保守・管理が不要になるので、IT部門の業務負担軽減や人件費の削減につながる点も大きなメリットです。ITインフラの構築が不要なのでスモールスタートが可能であり、大企業のような資金調達手段をもたない中小企業でも導入しやすいといえます。

Dynamics 365の柔軟なライセンス体系

柔軟なライセンス体系を採用している点もDynamics 365の特徴のひとつです。Dynamics 365は、ERPとしての統一性を保ったまま製品の課金単位を細分化しており、自社に必要な機能だけを利用することでコストの最適化を図れます。また、アクセス権限をもつ人材にのみライセンスを付与することで、自社の要件を満たしつつトータルコストを抑えることが可能です。

まとめ

国内の製造業は人材不足や就業者の高齢化など、さまざまな課題を抱えています。このような時代のなか、製造分野に携わる企業が市場における競争優位性を確立するためには、デジタル技術の活用が欠かせません。ERPシステムは企業の基幹業務を統合的に管理し、生産体制の総合的な強化に寄与するソリューションです。近年はクラウドコンピューティングサービスの普及により、従来よりも安価でERPシステムを導入できる環境が整いつつあります。新しい時代に即した生産体制を構築するためにも、Dynamics 365の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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