ERP

ERPの価値とは?4つの効果と5つの鉄則

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、企業のバックオフィスを統合的に管理するためのソフトウェアであり、企業の情報資源を一元化することによる業務プロセスの合理化などを目的とした基幹システムです。ERPが日本で普及したのは1990年代であり、当時はSAPといった大手ERPベンダーが市場を占めていました。

ERPを導入すれば企業活動が合理化できるものと信じた日本企業において、実はERP導入が失敗に陥る企業も少なくありませんでした。

その理由は、日本企業と海外企業の商習慣の違いです。日本は世界的に見ても商習慣に大きな違いがあるため、ERP導入によって海外先進企業のベストプラクティスを吸収するはずが、多数のアドオンやカスタマイズが必要になり費用対効果が劇的に下がってしまったのです。

ただし近年のERPは再注目されています。日本企業のグローバル化に伴った商習慣の変化、海外進出への容易性が増したり、あるいは既存業務をERPに合わせることで多大な生産性向上効果があることに気付き始めたことなど、そこには様々な理由があります。

本稿ではそんなERPの価値について紹介していきます。経営にとって、ERPはどのような効果を発揮してくれるのでしょうか?ERPの価値についてあらためてご理解ください。

ERPが発揮する4つの経営効果

ERPはしばしば“経営のためのITシステム”だと言われています。もちろん、経営だけでなく事業部門にも絶大な効果をもたらすのですが、経営視点で考えるとそれ以上の効果があるのです。

経営資産全体を可視化および活用できる

皆さんの会社では経営戦略会議や役員会議等で、どういった経営データをもとに会議を進めているでしょうか?恐らくは売上データが中心になっているかと思います。大方言えることは少ない種類のデータで経営意思決定を下しているということです。

ERPを導入していない企業において、データを収集したり、それをレポートとしてまとめる作業には時間がかかります。理由は各ITシステムが部門ごとにサイロ化され分断しており、マスターデータが違えばフォーマットも違うためです。そのため収集に時間がかかりますし、加工にはもっと時間がかかります。

そのため少量のデータ、しかも過去のデータだけで会議を進めることを余儀なくされているのです。それでも経営全体のデータを参照しているという企業もあるでしょうが、その負担は従業員にのしかかっています。

一般的なERPシステムでは、複数のITシステムが統合されていてもデータベースは一つです。部門ごとに分断しているITシステムが、中央にある一つにデータベースを共有しているとイメージすると分かりやすいでしょう。

なのでデータ収集や加工はスピーディに行え、経営戦略会議や役員会議では常に多数のデータをリアルタイムに参照しつつ経営意思決定を下していけます。例えばMicrosoft が提供するDynamics 365ではPower BIなどを用いてデータをビジュアルに可視化することができます。

管理会計の強化

株主や投資家などの外部ステークホルダーに対し経営情報を開示するための財務会計とは違い、管理会計は経営意思決定のためのデータを提出する会計業務です。そのため管理会計には法律によるルールが無く、各企業独自の基準で会計業務を行っています。

ただしすべての企業に共通して言えることは、管理会計ではリアルタイムかつスピーディに会計情報を提示できる環境を整えることが大切、ということです。極端な話、1ヵ月も前の会計情報を見ながら経営意思決定を下してもそれは最適とは言えません。可能な限りリアルタイムな会計情報を手元に置くことがポイントになります。

その点ERPは統合されたデータベース環境によって経営意思決定に欠かせない会計情報をリアルタイムに提供します。そのため管理会計を強化し、最適な経営意思決定が下せる支援をしてくれるのです。

コーポレートガバナンス(内部統制)の強化

2001年にエンロン事件(米国の多角的大企業エンロン社による巨額の不正会計)が発生したことで、内部統制に関する法令であるSOX法が誕生しました。それを受けて日本でも2006年にJ-SOX法が誕生しています。その中でも特にITの統制が重要視されています。

コーポレートガバナンスを維持することは社会的信用を維持・向上するために欠かせない要素であり、今では企業が取引する際は相手先のコーポレートガバナンスについて確認するほどビジネスに深い関わりを持っています。そのため、コーポレートガバナンスの強化は単純な不正防止のための体制ではないのです。

ERPはこのコーポレートガバナンスの強化に大いに効果を発揮します。一つのデータベースによってデータの重複処理や漏れが無くなりデータの整合性が保たれ、かつITシステムへのアクセス権限や承認権限等と1つの管理コンソールからコントロールできるからです。

業務プロセスの合理化

業務プロセスの合理化は、ERPにおいて最も語られるメリットの一つです。一般的に業務ごとに分断したソフトウェアを導入している場合、業務間のやり取りは人手を介します。そこには労力だけでなくミスや遅延なども発生する確率が高くなります。

ERPを導入すると各業務感のやり取りが連携されるため業務がスムーズに流れ合理化すると言うメリットがあるのです。

以上が経営視点から見たERPの効果です。

クラウドERPが市場を牽引

ERPの重要性を理解しつつも、一体どの製品を導入すればよいのか?と悩む企業は少なくありません。そんな時はまず“クラウドERP”の検討をおすすめします。クラウドERPとは、インターネット経由でERP製品を提供するもので、従来のオンプレミスで構築するERPとはまったく違った効果を持ちます。クラウドERPと、オンプレミスで構築するERPのメリットとデメリットをまとめてみました。

  クラウドERP オンプレミスで構築するERP
メリット
  • サーバー購入やインフラ整備などが無いため初期投資を安く抑えられる
  • インターネット環境で使用するため社外からでもアクセスできる
  • ERPベンダーがシステム運用を行うためユーザー企業は運用負担を低減できる
  • 月単位または年単位でユーザー数やプランに応じた料金を支払うため投資額が確定し予算取りがしやすい
  • 投資額が確定することで投資対効果(ROI)が見やすくなる
  • システムアップデート等に対応しなくても常に最新の状態が保たれている
  • パッケージ製品として導入後、カスタマイズによって企業ごとの業務要件にマッチさせられる
  • 閉じられた社内ネットワークで運用するためセキュリティ性が向上する(ただし、全ては自社責任の元の管理が必要)
デメリット
  • インターネットに接続していない環境では使用できない
  • 信頼性などは提供するベンダーに依存する
  • カスタマイズに制限がある製品がある
  • 初期投資として数千万~数億単位の投資が必要になる
  • パラメータ設定など細かい調整が必要で、導入までに半年以上かかるケースも少なくない
  • 一大プロジェクトになりがちなので途中で頓挫しやすい

このように、総合的に見るとクラウドERPのメリットが多く、そのため近年ではERP市場を牽引しているのはクラウドERPとなっています。“クラウドファースト”という言葉があるように、まずはクラウドERPを検討してみてください。

マイクロソフトのクラウドERP“Dynamics 365”

“Dynamics 365”はマイクソフトが提供するクラウドERPであり、統合的なITシステム環境だけでなく企業ごとの業務要件にマッチできるよう、アプリケーションの開発環境も提供しています。そのためクラウドERP特有のデメリットを解消しつつその効果を最大限に引き出すことができます。

加えてマイクロソフト社製品との親和性が非常に高いため、ExchangeやSharePointといったサーバー製品や、Office 365と連携したさらなる業務効率化をもたらします。

また、ERP導入で失敗しないための5つの鉄則についての資料をご用意いたしました。こちらもあわせてご確認ください。

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