中国からベトナムへの生産移管の前に知っておきたいベトナム事情

 2020.02.25  BizApp チャンネル編集部

中国の人件費高騰が著しく、2011年から2019年の9年間では主要都市における最低賃金が約2倍に上昇しています。首都北京では2011年1月1日時点で1,160元(約18,130円)/月だったのに対し、2019年7月1日時点で2,200元(約34,375円)/月にまで上昇しました。その他の主要都市においてもほぼ同様の結果であり、おおむね1.5倍~2.1倍の幅で最低賃金が変化しています。

参考:東京三菱UFJ銀行『中国主要都市の最低賃金推移』

現地に生産拠点を持つ日系企業において生産コストは増大し、中国における生産活動での意義が年々薄れています。そこで多くの日系企業が検討しているのが、「中国からベトナムへの生産移管」です。人件費がまだ安いベトナムに生産拠点を移管することで、以前同様に低賃金生産でのコスト削減を狙っています。

そこで本記事では、ベトナムへの生産移管の前に知っておきたい、ベトナム事情を紹介します。

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ベトナムの基本情報

まずは、JETRO(日本貿易振興機構)が公表しているベトナムの概況から、基本情報を整理します。

<一般情報>

国・地域名

ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic of Viet Nam

面積

33万1,690平方キロメートル(日本の0.88倍)

人口

9,367万人(2017年、出所:ベトナム統計総局(GSO))

首都

ハノイ 人口 742万人(2017年、出所:同上)

言語

ベトナム語、ほかに少数民族語

宗教

仏教(約80%)、そのほかにカトリック、カオダイ教、ホアハオ教など

公用語

ベトナム語

<基礎的経済指標>

実質GDP成長率

7.1(%)

名目GDP総額

245.21(10億ドル)

一人当たりの名目GDP

2,590(ドル)

鉱工業生産指数伸び率

△1.1(%)

消費者物価上昇率

3.5(%)

失業率

3.1(%)

輸出額

243,697(100万ドル)

対日輸出額

18,851(100万ドル)

輸入額

236,869(100万ドル)

<政治体制>

政体

社会主義共和国

元首

グエン・フー・チョン国家主席(書記長兼務)
Nguyen Phu Trong(2018年就任、1944年4月14日生まれ)

議会制度

一院制 一党
(ベトナム共産党、書記長:グエン・フー・チョン)

議会概要(定員数、発足年、任期)

議員数 500名(2016年5月22日総選挙実施)任期5年
国会議長:グエン・ティ・キム・ガン

<日本との関係>

日本の主要輸出品目

電気機器(26.4%)

一般機械(17.1%)

化学製品(10.7%)

鉄鋼(9.2%)

輸送用機器(4.7%)

備考:2018年、カッコ内は構成比

日本の主要輸入品目

電気機器(24.2%)

衣類・同付属品(19.6%)

食料品(7.2%)

一般機械(6.0%)

家具(3.9%)

備考:2018年、カッコ内は構成比

日系企業進出状況

企業数:1,848社

企業名:キヤノン、パナソニック、ホンダ、トヨタ、富士通、日本電産、ブリヂストン、富士ゼロックス、マブチモーター、イオン、ファミリーマート、ルネサンスなど

備考:

  • ベトナム日本商工会(ハノイ、ハイフォン、北部ベトナム)723社(2018年12月)
  • ホーチミン日本商工会 998社(2018年12月)
  • ダナン日本商工会 127社(2018年12月)

引用:JETRO『ベトナム概況』

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日本とベトナムの関係

日本のベトナム進出が始まったのは1990年頃です。大手商社の日商岩井(現、双日)と住友商事の2社による日系企業向け工業団地建設に始まり、その後は大手製造業が続々とベトナム進出を果たしています。

そのきっかけになったのが1986年の「ドイモイ制作」です。ドイモイ(DoiMoi)とは日本語で「刷新」を意味する言葉で、1976年の南北ベトナム統一以降、社会主義国家として運営してきたベトナムが新しい国づくりにおいて社会主義体制が障害になると考え、ベトナム共産党大会にて「社会主義路線の見直し」「産業政策に見直し」「市場経済の導入」「国際協力への参加」という4つのスローガンが策定されます。

このうち最も大きな効果を発揮したのが「市場経済の導入」です。国営・公営以外に私企業や私有財産を認め、これによって国民の意識が大きく変わります。その結果、2002年には実質経済成長率が7%になり、中国に並ぶ経済急成長国家として知られるようになります。

日本とベトナムの繋がりとしてはまず、2009年にEPA(Economic Partnership Agreement)が発行されています。EPAは「経済連携協定」といって、特定の国や地域間での関税やサービス貿易の障害等を削減・撤廃し、さらに投資規制の撤廃や知的財産制度の調和などh場広い分野で共通ツールを定めることによって、貿易自由化や投資及び人の行き来をしやすくし、経済的結びつきを強めるための協定です。EPAが発行されたことで日本とベトナムの経済的結びつきが強まり、より多くの日系企業がベトナム進出を果たすきっかけとなりました。

また、2019年1月にはベトナムにてTPPが発効しています。TPPは「Trans-Pacific Partnership」の略であり、日本語では環太平洋パートナーシップと呼びます。これはアジア太平洋地域においてモノの関税だけでなく、サービスや投資の自由化を進め、さらには知的財産や金融サービス、電子商取引、国有企業の規律など幅広い分野で新しいルールを構築する経済連携協定です。

日本2013年3月15日に安倍内閣総理大臣が交渉に参加することを表明し、同年7月23日から交渉に参加しました。2018年7月6日に協定の寄託国であるニュージーランドに対して国内手続き完了の通報を行い、ベトナムも同年11月15日に完了。2019年1月より日本とベトナムを含む7ヵ国でTPP11が発効されました。

ベトナム進出のメリットと壁

ベトナム進出のメリットは何といっても、中国よりも低い人件費によって生産コストを抑えられる点です。さらに、ベトナムの平均年齢は28歳と非常に若く、人口増加も進んでいることから労働力に恵まれています。更に、ベトナム人は勤勉であり手先も器用なので、日系企業との相性が良い点も大きなメリットです。

しかしながら、日経企業とは異なり「転職率が非常に高い」という壁があります。日本人以上に仕事に対してシビアな目線を向けますし、人とのコミュニケーションを重視するため「自分には合わない」と感じれば簡単に転職するのがベトナム事情です。そのため、言語の壁を乗り越えてしっかりとしたコミュニケーションを取り、現地従業員との信頼関係を築いていくことがとても大切です。

ベトナム進出を図る前には、基本情報や情勢を十分に理解した上で、適切な進出を図れるようにしましょう。

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