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ERPを基礎から解説 システム導入のメリットや注意点を紹介

近年、経営基盤の強化を目的としてERPを導入する企業が増加傾向にあります。そこで、本記事ではERPの基礎知識や機能について解説するとともに、具体的なメリットや導入ステップなどをご紹介します。ERPの導入を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。

ERPを基礎から解説 システム導入のメリットや注意点を紹介

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ERPとは

まずは入門編としてERPに関する基礎知識を解説します。ERPとは「Enterprise Resources Planning」の略称で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。企業資源計画は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」などの経営資源を一元に管理し、組織全体の最適化を図ることを目的とする経営手法です。製造分野における生産管理手法の「MRP(Material Resource Planning)」を組織のマネジメント向けに発展させた経営手法といわれています。

そして、企業資源計画の実現を支援する業務システムが「統合基幹業務システム」です。統合基幹業務システムは、「財務・会計」「人事」「購買」「生産」「在庫管理」「販売」など、基幹部門の業務データを統合的に管理します。現在では統合基幹業務システムを指して「ERP」と呼称するのが一般化しており、本記事でも以降は「ERP=統合基幹業務システム」と定義して解説します。

ERPの代表的な機能

ERPは、MicrosoftやSAP、OracleやIBMなど、さまざまな企業から多種多様な製品がリリースされています。各社の製品によってそれぞれ異なる特長をもちますが、ERPの基本的な機能として挙げられるのは以下の6つです。

  • 財務・会計管理
    財務諸表の作成、勘定科目や予算実績管理、資金管理など、財務会計や管理会計の業務領域を管理します。

  • 人事・給与管理
    人材の採用や教育、勤怠管理や人事評価、給与・賞与の計算、異動情報の管理といった人事領域の業務を支援します。

  • 購買管理
    仕入伝票や支払書の作成、売掛金や販管費などの入力、発注管理や納期管理など、生産活動における購買の領域を管理します。

  • 生産管理
    生産計画の立案・策定、原材料の仕入れや仕掛品の管理、人的資源の配置など、生産工程におけるプロセスの効率化に寄与します。

  • 在庫管理
    在庫数量の確認や棚卸表への記入、在庫の移動記録やピッキングリストの作成など、在庫管理の業務領域を最適化します。

  • 販売管理
    受注、発注、仕入れ、出荷、納品、代金回収など、商品やサービスの受注から売上の確定に至る販売領域を管理します。

ERPを導入するメリット

冒頭で述べたように、ERPは「財務・会計」「人事」「購買」「生産」「在庫管理」「販売」など、いわゆる基幹部門と呼ばれる業務領域を一元的に管理するソリューションです。ここでは、ERPの導入によって具体的にどのようなメリットを享受できるのかを解説します。ERPの主な導入メリットとして挙げられるのは以下の通りです。

各部署の情報共有により経営と業務を効率化

ERPの導入によって得られるメリットのひとつは、全社横断的な情報共有が可能となる点です。基本的に基幹系システムは各部門で個別に管理されているのが一般的です。このような状態は各部門の業務に最適化された形式でデータが管理されているものの、部門間における情報共有の遅滞やデータの重複といったデメリットが発生します。

たとえば、生産管理システムと在庫管理システムのデータに重複や矛盾があれば、生産計画にズレが生じて過少在庫や過剰在庫を招く原因になりかねません。ERPは基幹部門の業務データを一元的に管理するため、部門間連携の強化に寄与し、組織全体における業務効率化と生産性向上を実現します。

情報を迅速に把握し適切な経営判断につながる

ERPを導入するもうひとつのメリットは、データを起点とした経営判断が可能となる点です。現代はデジタル技術の進歩に比例して企業が取り扱うデータ量も増大しており、事業活動によって蓄積されたビッグデータをいかにしてマネジメントに活用するかが重要な経営課題となっています。ERPは基幹部門の業務データを一元的に管理し、自社の経営状況を可視化してリアルタイムに把握できます。

経営状況を具体的な数値や言語としてタイムリーに把握できれば、客観的かつ俯瞰的な視点からデータに基づく経営判断を下す一助となるでしょう。さらにデータ分析基盤やBIツールなどと連携することで、勘や経験に頼らないデータドリブンな経営体制の構築が可能です。この際、データは迅速かつ正確に処理されます。このため、定量的なデータ分析に基づくスピーディな経営戦略の立案・策定が可能となり、データを起点としたロジカルなマーケティングや臨機応変なプロモーションを展開できます。

ERP導入のステップと注意点

ERPは導入に数億円規模の導入費用と年単位での開発期間が必要になるケースが多く、大企業向けのソリューションという認識が一般的でした。しかし、近年ではERPの性能向上やクラウド型の登場といった背景から導入障壁が下がりつつあり、中小企業の間でも導入が進んでいます。ここでは、これからERPの導入を推進する企業のために、ERPの導入ステップや注意点について解説します。

1.導入目的を明確化

ERPの導入は大規模プロジェクトとなるため、決して失敗は許されません。まずは解決したいハイレベルな課題を定義し、業務要件とシステム要件を具体化するべく導入目的を明確にする必要があります。自社に最適化されたERP環境を構築するためには、経営層と導入担当部署もしくはプロジェクトチームが合意形成するのはもちろん、実際にシステムを活用する現場の声を拾い上げるプロセスも必要です。

2.各部署から推進者を選出し、現状を把握する

ERPの選定に絶対的な正解はなく、企業のビジネスモデルや組織体制によって最適解は異なります。適切なソリューションを選定するためには、まず各部署から推進者を選定し、課題や問題を把握するとともに業務プロセスを整理し、要件を具体化しなくてはなりません。このプロセスを経ることで必要な機能や要求が明確化され、自社に適したソリューションを選定する一助となります。

3.ERPとベンダーを選定、新たな業務フローを構築する

ERPに求める機能や要求が明確化されたなら、次は導入ベンダーの選定です。ERPの導入には基本的に「企画」「要件定義」「設計」「開発」「テスト」「リリース」というプロセスが必要であり、この過程を自社のリソースのみで実行するのは現実的ではありません。導入ベンダーと相談しながら業務要件とシステム要件を明確化し、ERP導入後の業務フローを構築するプロセスが必要です。

4.試験運用・本運用を行う

ERPの実装後はリリースに向けて試験運用を実施します。試験運用は機能が単体で正しく動作するかを検証する「単体テスト」、機能間の連携を検証する「結合テスト」、システム全体が正常に動作するかを検証する「総合テスト」の3ステップによって実施されます。また、リリース前にPDFや動画で操作マニュアルを作成したりするだけでなく、必要に応じ社内外研修を実施するなど、コストをかけてでも万全な運用環境を整備する取り組みが必要です。

Microsoft Dynamics 365なら顧客管理データもシームレスに連携

ERPの導入を検討している企業におすすめしたいのが「Microsoft Dynamics 365(以下、Dynamics 365)」です。Dynamics 365はMicrosoft 365やMicrosoft Azureとの連携性に優れ、さらに顧客情報を統合管理するCRM機能を搭載しているのが大きな特長です。CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、顧客情報を網羅的に管理し、顧客関係管理の最適化を支援します。

これまでERPとCRMは別々で導入されるケースが多く、基幹部門の業務データと顧客情報をいかにして連携するかが重要課題となっていました。ERPとCRMを連携できれば、見積もりや商談といった営業領域と受発注・在庫管理などの業務領域を横断し、各プロセスの自動処理が可能となります。ERPとCRMを1つのプラットフォームで提供しているDynamics 365であれば、システムの連携・統合にリソースを割くことなく、マネジメントと営業戦略の最適化による生産性向上が期待できます。

まとめ

ERPとは「企業資源計画」と呼ばれる経営手法のひとつです。ITシステムとしてのERPとは「統合基幹業務システム」であり、「財務・会計」「人事」「購買」「生産」「在庫管理」「販売」など、基幹部門が扱う業務データを統合的に管理し、全社横断的な情報共有や的確な経営判断を支援します。ERPの導入には莫大な費用と長期にわたる開発期間を要するため、自社に適したソリューションの選定が重要です。経営基盤を強化すべくERPの活用を模索している企業は、Dynamics 365の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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