パイプライン管理をどう構築する?具体的な導入方法とツールを解説

 2022.07.11  BizApp チャンネル編集部

「パイプライン管理」とは、企業における営業活動のフローを管理することです。パイプライン管理によって、属人化しがちな営業活動を可視化できます。この記事では、パイプライン管理の意味やメリット・デメリット、具体的な手法について解説します。

パイプライン管理をどう構築する?具体的な導入方法とツールを解説

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パイプライン管理とは?

はじめに「パイプライン管理」とは何なのか、企業にとってなぜ必要なのか、いつ必要になるのかをご説明します。パイプライン管理というと手法(How)ばかりが注目されがちですが、その前に何のために(Why)いつ(When)やるのかを明確にしましょう。

パイプライン管理はセールスイネーブルメントの一手段

そもそもパイプラインとは、石油や天然ガスを生産地から消費地へ運搬するための管(パイプ)を指します。そこから転じて、何かを処理するための手続き、さらにビジネスにおいては営業活動のフローを意味するようになりました。

営業活動は、アポイント獲得からヒアリング、提案、受注などいくつかのステップに分けられます。この一連のステップを担当者以外にも可視化して管理しようというのが、パイプライン管理の意味です。

パイプライン管理は、営業活動を組織的・計画的に改善する取り組みである「セールスイネーブルメント」の一手段として位置づけられます。営業を各担当者のスキルと努力にゆだねるのではなく、組織ぐるみで改善することを目指しています。

セールスイネーブルメントについては以下の記事をご参照ください。
セールスイネーブルメントの特徴や効果、実施のポイントを一挙解説

パイプライン管理はなぜ必要か

パイプライン管理の存在意義を理解するには、「パイプライン管理がないと営業管理はどうなるか」を考えるのがよいでしょう。

営業活動は、属人化しがちな取り組みです。営業担当者が顧客を直接訪問したり電話したりと忙しく活動していたとしても、管理者からは売上以外の成果や日々の活動内容を正確に把握するのは難しいものです。口頭や日報などの手段で報告を受けていたとしても、それがどの程度正確な内容なのか判断しにくいのではないでしょうか。

また、将来予測も立てられません。受注につながりそうな案件、まだ提案もできていない案件、アポイントを取れただけの案件など、受注確度の大小が分からなければ売上の見込みを立てることは極めて困難です。管理者からすると、これほど困ることはありません。

パイプライン管理は、営業活動の属人化を回避し、売上の見込みを客観的に立てるための考え方にほかなりません。パイプライン管理抜きに、営業組織の生産性を向上させるのは難しいのです。

パイプライン管理はいつ必要になるのか

それでは、パイプライン管理をいつ導入すればよいのでしょうか。ひとつの考え方としては、「管理者だけでは個々の営業担当者や案件の面倒を見切れなくなったタイミング」を挙げることができるでしょう。

起業したばかりでメンバーが少ないときや、営業トップや社長が自ら営業活動を行っているときは、それほどパイプライン管理がないと困らないかもしれません(もちろん、管理がされているに越したことはありません)。人的リソースが少ないので、パイプライン管理を導入する余裕がないケースも多いでしょう。

組織が拡大し営業担当者が増えていくと、一人の管理者が全てを把握することは難しくなっていきます。この段階で、パイプライン管理の仕組みを構築するのが必要になります。

パイプライン管理のメリットとデメリット

パイプライン管理の意義をもう少し具体的に理解していただくために、メリットとデメリットをご説明します。メリットだけではなく、デメリットも意識することによってより効果的な管理体制を構築できるようになります。

メリット:課題の可視化・共有が容易

パイプライン管理の考え方を取り入れることで、営業活動のステップごとにどんな案件がどれくらい存在するのか可視化できます。仮に提案前の段階で大きめの案件が1ヵ月ほど前に進まず止まっている場合、ここに課題があるのではないかとあたりをつけることもできます。

そして、こうした課題感を担当者のみならず、ほかの営業メンバーや管理者も共有しやすくなります。担当者一人で抱え込まず、ほかのメンバーの知恵を借りて課題解決にあたれるわけです。

メリット:中長期的な視野で営業プロセスを検討可能に

パイプライン管理の概念がないと、当月の成約数や売上のような短期的な視点にとらわれがちです。今月多くの案件を受注に持ち込めたのはいいものの、翌月になって受注にまで持っていけそうな案件が存在せず売上が見込めない……といった問題を未然に防ぎやすくなるのです。

受注直前の案件はこれくらいあるから今月の売上のヨミはこれくらい、提案中で確度の高い案件はこれくらいあるから来月はこれくらい、といったように中長期的な視野で営業プロセスを把握できるのも、質の高いパイプライン管理があってこそのものといえるでしょう。

メリット:担当者の指導・育成が容易に

ステップごとに案件を位置づけて可視化できるため、課題の存在が考えられる場合に担当者に対して指導がしやすくなります。「何となく」ではなく、根拠に基づいて指導ができるので管理者・担当者ともコミュニケーションがスムーズです。

営業経験の少ないメンバーに対しても、受注へつなげるために今何をすればよいのか指導しやすく、人材育成の観点から見てもパイプライン管理は役に立つと考えられます。

メリット:マーケティングやカスタマーサクセスなどとの連携が容易に

パイプライン管理によって営業フローをプロセスごとに区切って把握できることで、営業フロー自体もさらに大きなプロセスの一部として位置づけしやすくなり、全体最適に基づく営業活動を検討しやすくなります。

具体的には、営業フローの前段階として、リード獲得や育成のようなマーケティングプロセスが存在します。また後段階として、受注後にオンボーディングやアップセル/クロスセル、離反(解約)抑止などを担うカスタマーサクセスのプロセスが存在します。こうした前段階・後段階と営業フローの連携によって、売上増が見込めると考えられます。

パイプライン管理によって営業プロセスが可視化できていると、営業をマーケティングやカスタマーサクセスを含めた全体プロセスに位置づけることも可能です。営業だけ見ていては発見できなかったボトルネックを、営業以外から発見できるかもしれません。

デメリット:データ入力の意識付けが課題

デメリットとして、データ入力の手間が挙げられます。パイプライン管理の前提として、営業担当者にプレゼンやヒアリングなどの内容・結果、今後の活動予定などを記載してもらわなければなりません。ここが徹底されていないと、管理者としても精度の高い案件管理が難しいからです。

担当者目線で考えると、新たにデータを入力する作業が発生することになります。忙しい日々の業務のなかで、どうしてもデータ入力を忘れてしまう担当者も出てくるでしょう。パイプライン管理の重要性を担当者にも共有し、データ入力を徹底してもらう方法を検討する必要があります。

デメリット:ツールや数字にとらわれマイクロマネジメント化することも

パイプライン管理を導入すると、売上以外の数字も数多く把握できるようになります。受注率はもちろん、商談発生率や提案率など、ステップごとに情報を取れるためです。

これは課題の可視化や人材育成などの面から見てメリットが多いものの、一方で細かい数字や案件の動きに目がいくようになり、細かなところまで担当者に口を出したくなることが往々にしてあります。マイクロマネジメントに陥って営業メンバーのモチベーションを下げることのないよう意識することも管理者には求められます。

パイプライン管理の導入に向けた5つのステップ

パイプライン管理の導入方法を5つのステップに分けてご説明します。導入するためのツール選定に目がいきやすいのですが、それ以前に目標・現状把握・KPI設計などの前準備が重要です。

営業組織としての大目標を明示

パイプライン管理とは直接関係するわけではありませんが、後で提案・商談・ヒアリングなど営業活動の各ステップにおける目標値へ分解するためにも、営業組織としての全体目標を改めて明示するとよいでしょう。売上、粗利、受注件数などが代表的な目標として考えられます。

既存のマーケティング~営業フローを小ステップに分解&可視化

社内でどのようなマーケティングプロセス、営業プロセスをたどっているのか棚卸をしましょう。できれば既存顧客へインタビューし、どのように認知~比較~購入へ進んだのか把握することをおすすめします。

営業プロセスを分解するために、各プロセスの定義を明確にすることも必要です。例えば、「アポイント」というプロセスがあるとして、その定義を「担当者と電話で話す」とするのか、「決裁者と直接ないしテレビ会議で1時間以上話す」とするのかによって、このプロセスの通過条件は大きく異なります。社内で認識をすり合わせましょう。

各ステップの現状実績を可視化

各ステップで現状の実績がどれくらいなのか、できる限り洗い出しましょう。正確でなくても構いません。あくまで目標に対する現状の乖離を明確にすることが目的なので、概算値や推計値でもよしとします。

各ステップの目標値をKPIとして定義

全体目標と現状の実績値を踏まえて、営業フローにおけるステップごとの目標値を算出します。そして、これらをKPIとして定義し継続的にチェックするのです。

この際、できればKPIに優先順位をつけます。全ステップの目標値を均等な優先度で追いかけるのではなく、最もボトルネックになっている部分、あるいは売上向上のために最重要と思われる部分を優先させるとよいでしょう。

進捗を定期的に管理して課題発見~改善を継続実施

後は、パイプライン管理を継続するだけです。導入しただけで継続運用できないのでは意味がないため、定期的に振り返りの機会を設けて実績の推移を把握します。必ず課題が見つかるはずなので、その解決につながる打ち手を考えてチーム内で共有するわけです。

この際、ExcelやSFA/CRMなどのツールを用いることになります。最後に、パイプライン管理の導入・運用を可能にするツールをいくつかご紹介しましょう。

パイプライン管理を可能にするツールの種類

パイプライン管理は、管理職の頭のなかだけで実施できるわけではありません。あくまで「可視化」「データ化」が胆になりますから、ツールを活用するのがおすすめです。営業管理に適したツールもたくさん存在しますので、それらツールの特徴を最後にご説明します。

Excel

パイプライン管理をExcelシートで行うこともできます。ただし一からシートを作り上げるのは大変なので、テンプレートをカスタマイズして使用するほうがよいでしょう。

特にMicrosoftのDynamics 365 Marketingでは、Excelのテンプレートをダウンロードして、パイプラインを分析することが可能となっています。詳細は以下のページを参照してください。

Microsoft 「Excel テンプレートを管理する」

SFA/CRM

Excelだとカスタマイズや管理に難しさを感じる人も多いと思います。作成者個人の感覚でカスタマイズが重ねられると、場合によっては「作成者以外には扱うことができない」というシートになるリスクもあります。

その点を踏まえると、営業管理に役立つツールを導入するのがよいでしょう。SFA(Sales Force Automation)は、ヒアリングや提案、日報など営業担当者の行動を入力・管理するのに適しており、CRM(Customer Relationship Management)は顧客の情報を入力・管理するのに適しています。両者の機能を兼ね備えるツールもたくさんあります。

MicrosoftのDynamics365には、営業用のアプリケーションも存在しており(Dynamics365 Sales)、顧客情報と案件情報をセットで管理できるようになっています。

MA

MA(Marketing Automation)も、マーケティング用ツールではありますが、営業にも役立つものとなっています。見込み客の情報を管理し、営業へパスする条件を設定することで見込み客の数と質をコントロールしやすくなります。営業とマーケティングの連携強化にも最適です。

ツール導入の際は「連携&全体最適」を念頭に

パイプライン管理に役立つツールは数多く存在するため、選定に困ってしまうかもしれません。重要なことは、企業活動の全体最適を念頭に置くことです。「機能が最も豊富なツールを選べばよい」のではなく、「自社の営業・マーケティングに最適なツールは何か」を意識することが重要です。

その点を踏まえると、パイプライン管理を目的としてツールを導入するとしても、機能拡張によってマーケティングやカスタマーサクセス、さらには財務管理やプロジェクト管理など企業活動全体の支援も可能なものを選ぶのがよいでしょう。

先ほどご紹介したDynamics365ですと、SalesやMarketing、Finance、Supply Chain Managementなど、多様な機能を揃えており、自社の業務フローにも合わせやすくなっています。Office365のアカウントがあれば、新規アカウントの作成不要で使用できるのも便利なポイントです。

まとめ

パイプライン管理は、営業管理の取り組みであるセールスイネーブルメントの一手段として位置づけられます。営業活動をプロセスに分解して現状と目標を把握することで、きめこまかな営業管理が可能となります。

いきなりツール選定を始めるのではなく、まず自社の営業プロセスを棚卸を行い、パイプライン管理の設計を行うのがポイントです。

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