脱ハンコが進まない理由と進め方

 2021.04.19  BizApp チャンネル編集部

近年、脱ハンコを進めようと考える企業が増えています。しかし、実際に進めようとするとさまざまな問題に直面し、実現できないケースも少なくありません。本記事では、日本におけるハンコ文化の特徴や脱ハンコが進まない理由、脱ハンコの実現により得られるメリットなどについて解説します。

脱ハンコが進まない理由と進め方

日本のハンコ文化の特徴

日本には当たり前のようにハンコ文化が根付いています。宅配便の荷物を受け取るときや賃貸物件、携帯電話の契約など、さまざまなシーンにおいて押印が必要です。

企業においても、申請や承認のプロセスにおいて書類に押印することが当たり前になっています。日本ではごく当たり前の光景であるため、海外でも同じようなものだと考えている方も多いのではないでしょうか。

実は、ハンコ文化が根付いている国はそれほど多くありません。欧米ではサインが一般的であり、アジア最大規模の経済圏を誇る中国でも同様です。いまだにあらゆるシーンで押印が求められるのは、日本を含むごく一部の国だけなのです。

近年では、在宅勤務下でも押印のためだけに出社する必要がある、わざわざ文書を印刷する手間やコストが発生するなど、押印にデメリットを感じる場面が増えたことにより、脱ハンコを目指す企業が増えてきました。今後、脱ハンコを目指す企業はますます増加すると考えられます。

脱ハンコのメリット

実際に脱ハンコを実現すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。脱ハンコには、コスト削減や業務効率化、多様な働き方の実現などさまざまなメリットがあります。詳しく見ていきましょう。

コスト削減

コスト削減の取り組みにはさまざまな方法がありますが、脱ハンコもそのひとつです。なぜなら、文書への押印廃止はペーパーレス化に繋がるからです。

ビジネスに使用する文書をデジタル化し、電子印鑑システムも採用すれば、印刷用の紙を購入する必要がありません。つまり、複合機のリース料やインク代、紙代などのコストを大幅に削減できるのです。また、文書の管理が容易になるため、それまで費やしていた人員を別の業務へ注力させられます。

また、大量の文書を保管するにはスペースが必要です。企業によっては、保管専用の部屋を用意しているかもしれません。ペーパーレス化を実現し、押印を廃止すれば、このようなスペースも不要です。オフィスを縮小化でき、大幅なコストダウンも見込めるでしょう。

業務の効率化

文書に押印してもらいたくても、担当者がいないとそれもできません。このようなとき、押印を求める方は承認者を探す必要があり、席を外しているのなら戻るまで待つ必要があります。その結果、業務を次のプロセスへ移せず、業務効率の低下に繋がります。

こうした問題も、脱ハンコが実現すれば解決します。電子承認システムを導入し、オンラインで申請から承認までのフローを実現できれば、ひとつの案件にかかる時間を短縮できます。文書の作成や印刷の手間も省け、担当者を探しまわる必要もありません。一人ひとりの社員が本来の業務に集中できるため、生産性向上にもつながります。

さらに、電子契約システムを導入すれば、契約のフローを簡略化でき、業務効率化を図れます。従来のように、取引先や顧客へ書類を郵送する、手渡しするといった手間が減り、オンラインで契約を締結できるのです。ただし、企業間の取引であれば先方が電子契約を認めていることが前提となります。

また、一部の契約は書面での締結しか認められていないため、注意が必要です。たとえば、定期建物賃貸借契約や、定期借地契約などが該当します。法に触れないよう、あらかじめ確認しておきましょう。

場所や時間を選ばない働き方の実現

近年では、在宅勤務やモバイルワークなど、多様な働き方を導入する企業が増えてきました。多様な働き方の実現は、企業だけでなく社員にもメリットがあるため、導入を進める企業は今後も増えていくと考えられます。

ただ、多様な働き方を実現するには、脱ハンコの壁をクリアしなくてはなりません。なぜなら、押印のシステムが残ったままでは、在宅勤務をしている社員がハンコをもらうためにわざわざ出社しなくてはならないケースも発生するからです。

企業におけるハンコ文化をなくせば、このような問題も解決します。社員は出社する必要がなくなり、より自由で柔軟な働き方ができるでしょう。紙の書類を確認したり、管理したりする必要がなくなるというメリットもあります。

多様な働き方ができる企業となれば、優秀な人材を確保しやすくなり、社員の満足度向上にもつながります。

コンプライアンス・ガバナンスの強化

紙の書類を扱う場合、紛失や盗難などのリスクが生じます。重要な書類を取引先や顧客に渡すため、封筒に入れて外出し、どこかへ置き忘れてしまう、盗まれてしまうといったことが発生する可能性があります。

文書の内容によっては、企業に大きなダメージを与えかねません。また、取引先や顧客に迷惑がかかる可能性もあります。さらに、紙の書類は改ざんや偽造などの不正が容易であり、知らず知らずのうちに企業が大きな損失を被るおそれもあるのです。

脱ハンコとペーパーレスが実現すれば、このようなリスクを軽減できます。文書は電子化して管理できるため、紛失や盗難などのリスクを回避できるのです。

変更履歴などのデータも記録されるほか、改ざんや偽造に関してもアクセス権限を強化すれば問題ありません。きちんとセキュリティ対策を施せば、文書の改ざんや偽造を防ぐことができます。

脱ハンコを進めるには

脱ハンコを進めるのは、それほど難しいことではありません。具体的な方法としては、電子承認ワークフローシステムや電子印鑑などを導入すれば、脱ハンコは可能です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

電子承認ワークフローシステムを導入

承認のワークフローを電子化するシステムを、電子承認ワークフローシステムと呼びます。申請から承認、最終決定までのプロセスを自動化、電子化できるシステムで、脱ハンコの実現には欠かせません。

システムを導入すれば、オンラインで申請や承認の処理が可能です。申請者はわざわざ承認者を探したり待ったりする必要がなくなり、承認者は外出先でもスマホやノートパソコンなどのデバイスから申請状況をチェックできます。

外出先でも申請状況の確認と承認ができるため、業務効率化を図れます。意思決定スピードが早くなり、業務をスピーディーに進められるのもメリットです。

紙の書類で申請や承認を行うケースでは、管理者のデスクに書類が大量に溜まることも珍しくありません。その結果、紛失や確認ミス、漏れなどが生じるおそれがあります。ワークフローシステムを導入すれば、こうした事態も回避できるのです。

脱ハンコを実現する「電子印鑑」に注目

電子印鑑とは、電子データ化された印鑑を指します。PDFやExcelをはじめとする電子文書に押印できるため、脱ハンコを進めるのなら導入を検討しましょう。

電子印鑑はパソコンソフトを使って簡単に作成できますが、外部の有料サービスを利用する方法もあります。有料サービスの場合、個人認証や押印時間の記録が可能なものもあり、偽造や改ざんを回避できます。

導入にあたっては、取引先企業が認めているかどうかを事前に確認しなくてはなりません。脱ハンコは急速に進んではいるものの、企業によっては電子印鑑の使用を認めていないところもあります。確認を怠ると、電子印鑑を導入しても活用できないため注意が必要です。

まとめ

企業が脱ハンコに取り組めば、ペーパーレス化や業務効率化が進み、大幅なコストダウンや社員の満足度向上にもつながります。さまざまなメリットを得られるため、この機会に脱ハンコを目指してみてはいかがでしょうか。

また、脱ハンコを実現するにあたり、電子印鑑やワークフローシステムの導入が必須であることも覚えておきましょう。


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