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DX時代に必要な人材・スキルとは?

経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」が差し迫っており、さまざまな分野でDXの実現が喫緊の経営課題となっています。DXを実現するためには優れたデジタル技術を導入するだけでなく、高度なスキルを有する人材が不可欠です。本記事ではDXの概要をおさらいしつつ、DX時代に求められる人材やスキルについて解説します。

DX時代に必要な人材・スキルとは?

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DXとは?意味をおさらい

DX時代に求められる人材やスキルを明確化するためにも、まずはDXの定義について再確認してみましょう。DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称で、「デジタル技術の活用による変革」を指す概念です。余談ですが、「DT」ではなく「DX」と略されるのは、英語圏では「交差する」や「越える」といった意味合いをもつ「trans」を「X」の一文字で表すことに由来します。

DXには「社会的なDX」と「事業領域のDX」という2つの意味合いが存在します。DXという概念は2000年代の前半に誕生したものであり、当時ウメオ大学の教授だったエリック・ストルターマン氏によって提唱されました。教授は論文「INFORMATION TECHNOLOGY AND THE GOOD LIFE」のなかでDXを「デジタル技術の浸透が人々の生活をあらゆる面で豊かにしていく」という社会的な変革を意味する概念として定義しています。

一方、経済産業省は2018年に公表した「DX推進ガイドライン」のなかで、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること(※1)」と定義しており、近年の国内ではこの事業領域で語られるDXが広く浸透しています。

(※1)引用元:DX推進ガイドライン(p.2)|経済産業省

なぜDXが注目されているのか

多くの企業でDXの実現が重要課題となっている背景には、さまざまな要因が挙げられますが、注目を集める大きな契機となったのは経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」です。経済産業省は2018年に公表した「DXレポート」のなかで、レガシーシステムを抱え続ける危険性について言及しており、2025年以降に最大で年間12兆円規模の経済的損失が生じると予測しています。

経済産業省はこの問題を「2025年の崖」として警鐘を鳴らし、デジタル技術の活用による組織改革の重要性が広く知れ渡るようになりました。また、近年は働き方改革の推進や新型コロナウイルスの感染拡大の影響からテレワーク制度が普及しつつあり、市場やビジネス環境の変化が加速しています。変化の加速する現代市場において、企業がイノベーションを創出するためにはデジタル技術の活用が不可欠といえるため、さまざまな分野でDXが大きな注目を集めているのです。

DX時代における日本企業の課題

DXの本質的な目的とは、デジタル技術を駆使することで経営体制に変革をもたらし、市場における競争優位性を確立することです。しかし、日本企業は一般的に保守的で変化や不確実性を嫌い、先進諸国と比較してITリテラシーが低い傾向にあります。DXを実現するためには優れたデジタル技術を導入するのはもちろん、保守的な企業文化を打破し、イノベーティブな経営体制を推進していく人材が必要です。

ところが、日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに下降し続けており、総人口に占める高齢者の割合も29.1%と世界で最も高い水準となっています。このような社会的背景から生産年齢人口の減少と就業者の高齢化が進み、多くの分野で人材不足が深刻化しているのが国内市場の実情です。DX時代に企業が長期的に発展していくためには、ITリテラシーの低さや変化を拒む組織体制、深刻な人材不足などをいかにして乗り越えるかが重要な課題となります。

DX時代に求められる人材

DXの重要性を理解しつつも、いわゆるIT化の領域に留まっている企業が少なくありません。DXを実現するためには最先端のデジタル技術を導入するだけでなく、その技術を活用することで組織を変革していくDX人材が必要です。たとえば、DXを推進するビジョンや意義を打ち出し、プロジェクトチームを牽引するリーダーシップとマネジメント力を備えたDX人材を「プロデューサー」と呼びます。

その他にもプロデューサーを補佐し、ビジネスモデルや事業戦略を描く「ビジネスデザイナー」、システム要件の定義や仕様の設計といった領域を担当する「アーキテクト」、定義された要件に基づいてコーディングを実行する「プログラマー」などが代表的なDX人材として挙げられます。このようにマネジメントやマーケティングの領域に深い知見を有する人材や、最新のデジタル技術に精通する人材をいかにして確保するかがDX時代における重要な経営課題です。

DX時代に必要なスキル

DXは一人で実現し得るものではなく、組織全体がビジョンを共有しながら同じ方向に進まなくてはなりません。そして、デジタル技術の活用による変革を推進していくためには、ITシステムの設計や開発に関する深い知見だけでなく、市場の動向を見通す先見性や人を動かすリーダーシップ、あるいは柔軟な発想力やアイデアを具体化する創造力など、多種多様なスキルが求められます。なかでもDX時代に必要なスキルとして挙げられるのが以下の3つです。

ITリテラシー

DX時代において必須のスキルといえるのが、コンピューターネットワークや情報セキュリティに関するITリテラシーです。DXを実現するためにはAIやIoT、クラウドコンピューティングなど、最先端のデジタル技術を活用するスキルが欠かせません。自社の事業形態に適したソリューションを選定する知識やシステムの運用効率を最大化する設計への深い理解、情報資産を保護するセキュリティ体制の整備など、ITに関する高度な知見が求められます。

UI / UXをデザインするスキル

現代はテクノロジーの進歩に伴って市場の成熟化が進み、モノやサービスが飽和する時代となりつつあります。このような時代のなかで顧客に選ばれるプロダクトを創出するためには、いかにして優れた顧客体験を提供するかが重要な課題です。DX時代にユーザーが求めているのは「どのような体験価値を得られるのか」であり、それが競合他社との差別化につながる重要な要素となります。モノやサービスが溢れる時代だからこそ、ユーザー目線でUI/UXを開発できる高度なスキルが求められます。

データサイエンスの知識

情報爆発時代と呼ばれる現代では、企業が取り扱うデータの総量は指数関数的に増大しており、経験や勘に頼る意思決定では市場の変化に対応するのは困難です。変化の加速する市場動向や高度化する顧客の需要に対し、迅速かつ的確に対応していくためには、定量的なデータ分析に基づく経営判断と意思決定が欠かせません。統計解析や情報科学などを用いて収集・蓄積された膨大な経営データを分析し、それを経営戦略に活用するデータサイエンスの知識が求められます。

まとめ

DXとは、「デジタル技術の活用による変革」を意味する概念です。国内では少子高齢化や生産年齢人口の減少といった社会問題が深刻化しており、企業経営の領域においても多大な影響が生じつつあります。このような時代に競合他社との差別化を図り、競争上の優位性を確立するためには、デジタル技術の活用による経営体制の抜本的な変革が不可欠です。競合他社にはない付加価値を生み出し、イノベーションを創出するためにもDXの実現に取り組んでみてください。

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