日系企業の海外進出における課題とは

 2021.01.22  BizApp チャンネル編集部

多くの企業が中国やタイなどの新興国へ進出し始めています。しかしながら、現地の商習慣への順応や、言語の壁など、ビジネスを行ううえで課題がたくさんあることも事実です。本記事では、海外進出する日系企業が抱える経営課題やこれらの課題を解決するための対策について、詳しく解説していきます。

日系企業の海外進出における課題とは

日本の海外進出企業は新興国を中心に増加傾向

外務省発表のデータによると、日本の企業が海外に進出する事例は増えていることがわかっています。進出ランキングは1位が中国、2位がアメリカ、3位がインド、4位がタイ、5位がインドネシアとなっておりますが、特に近年伸びているのは東南アジア諸国などの新興国です。

中国やアメリカは10年以上前から高い水準で進出数を保っていますが、インドやタイに関しては、ここ数年間で急激に進出数を伸ばしていることが明らかになっています。

北米・西欧に関しても進出数は増加しているものの、増加割合はアジアのほうが数倍高く、今後もアジア諸国への進出数が伸びることが予想されています。
(参照元:https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000368753.pdf

日系企業の海外進出における課題

日系企業が海外進出するとき、国内でビジネスを展開する場合とは異なる問題が生じます。企業の性質や業種によりその問題の内容は異なりますが、その中でもよくあるものを以下で紹介していきます。

海外市場の情報不足

課題の1つは、海外市場の情報が十分に収集できていないということです。
現地での市場規模、競合、消費者に関する調査ができていなければ、事業の成功確率は下がってしまいます。実際に進出してから調査を行うのでは、あまりにもリスキーです。事業を開始したところ、思うように売り上げが伸ばせず、結局、退却せざるを得ないという状況になりかねません。進出国での自社ビジネスの可能性について考慮もせずに進出するのでは、先が見えています。

進出前には、政府や信頼できる国際機関が発表している統計情報などの市場情報を集め、当地における自社ビジネスの可能性を探りましょう。競合についても調査し、自社に勝算があるかどうかしっかり分析します。より詳細に現地の状況を把握するためにも、定量的なデータに加え、現地の人の趣向・習慣などが把握できるような定性的情報も活用しましょう。

それによりニーズに即した商品・サービスの提供が可能になります。

言語の問題

日本語での対応には限界があります。海外でビジネスを行う場合、英語や進出国の言語を話せる人材が欠かせません。海外進出となると、日常会話ができるだけでは不十分です。現地の言葉だけではなく、高いレベルの日本語能力を備えた現地の人材は、商談や顧客対応において、必要不可欠になるでしょう。

導入事例:株式会社クララオンライン
導入事例:旭化成株式会社 繊維事業部

このような人材は、上述の情報収集を行ううえでも貴重です。企業間のコミュニケーションやマーケティングにおいては特に、文化的なバックグラウンドなど、その国ならではの微妙なニュアンスを理解できる人材が欠かせません。

海外進出ではコミュニケーションギャップが付き物です。そのため、進出の準備段階から高度な通訳・翻訳能力を持つ人材を確保することが重要になるでしょう。

販売チャネルの問題

海外に進出すると、自社ビジネスの認知度がまるでない状態からスタートすることになります。販売チャネルの問題です。すでに、世界的に認知されている大企業であれば問題にならないかもしれませんが、多くの場合は取引先や販売経路の構築に苦労します。情報収集や言葉の面で壁があるため、特に進出当初は労力もコストも要することになるでしょう。

ただし、海外へ進出して事業を成功させるには、こういった現地の企業とネットワークを築くことが不可欠になるため、このステップを省略することは不可能です。現地の窓口となる代理店候補とコンタクトをとるなどして、少しずつ下準備を進めるようにしましょう。

これらのプロセスを実行するにあたっては、自社商品・サービスの認知度調査も同時に行うとよいでしょう。その結果により、とるべき対策を具体化して、効果的に、効率的に計画を進めることが大切です。

グループ全体の連結決算

ここまでで挙げた課題は、企業とその外部との関係において生じるものでした。しかし、企業の内部において生じる課題もあります。その代表例が会計です。例えば決算は、日本の決算に合わせてグループ全体での連結決算とする必要があります。しかし、現地法人の情報不足やフォーマット結合のナレッジが不足するなど、諸問題があるため、多くの企業が苦労しているのが実情です。

現地法人と情報共有が十分にできていないと、決算期に必要な情報が得られず、親会社側に大きな負担がかかってしまいます。しかし、無理にフォーマットを合わせようとすると、現地で不都合が生じたり、負担が増えてしまったりするので避けたほうがよいでしょう。

そのため、このようなグループ間の差異をなくすためのシステム構築も、海外進出時には取り組むべき重要な施策だといえます。

海外進出における課題解決策

海外進出では様々な課題が伴うことをご説明してきましたが、もちろん解決策がないわけではありません。海外進出における課題の解決には、以下のような方法があります。

海外調査エージェントに調査を委託

情報の不足という課題は、調査を海外調査エージェントに委託して解決を図るとよいでしょう。

ノウハウもない一担当者が現地のことを調べるよりもスピーディに、的確なデータが得られます。このようなエージェントの場合、特に日本企業の海外進出が盛んな国や都市であれば、デスクリサーチのほか、駐在スタッフによる詳細な調査も請け負っている場合があります。

ただし、費用対効果も無視できません。特に海外でのリサーチは間に入る業者が多く、費用が跳ね上がってしまう場合があります。調査エージェントに依頼するなら、少なくとも数十万円、大規模に至らなくても数百万円はかかることを覚悟しましょう。

専門の通訳・翻訳会社を活用

言語の壁は専門の通訳や翻訳会社を積極的に活用することで乗り越えましょう。上述のとおり、ただ文章が読めるだけ、日常会話ができるだけでは不十分です。重要なビジネスの機会を逃してしまう可能性がありますし、高いレベルでの意思疎通ができなければ相手方からも信用されません。

サイトやメールの翻訳はもちろん、商談にも対応できなければなりません。自社に高い言語能力を有する人材が数多くいる場合を除いては、通訳・翻訳サービスの利用を検討しましょう。ビジネスの内容によっては、数人の現地言語に長けたスタッフだけでは手に負えないこともあります。

会計システム導入で会計基準を統一化

会計上の問題に関しては、日本と進出エリアの双方のルールを熟知している人材も重要ですが、スムーズに業務遂行できるシステムの整備がさらに重要です。そこで会計システムを導入し、会計基準を統一化することを検討しましょう。

近年、ERPの導入により、比較的容易に経営データの共有基盤が構築可能になっています。製品によっては海外通貨にも対応しているため、素早く統合ができるでしょう。実際に業務を担当する者の負担も軽減されます。

現地法人のシステムは、国内の会社で稼働するERPに連結する形で導入するとよいでしょう。手間もコストも少なくて済みます。また、製品の選定においては当然、多言語・多通貨への対応可否を確認しなければなりません。これらの最低条件を満たしたうえで、自社に適した機能を備えているかどうか、効率的な会計業務が可能かどうか、チェックしていきましょう。

まとめ

海外進出は国内展開に比べて難易度が高く、会計基準など、各国の制度にも違いがあるため苦労が絶えません。そこでERPの導入を検討しましょう。世界的に知名度があり、導入実績も豊富なものとして、マイクロソフトの「Dynamics365」が挙げられます。会計基準統一にも貢献しますし、多数の言語・通貨にも対応しています。


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