経営ダッシュボードに表示すべきKPI

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 2017.07.27  Dynamics 365編集部

中小企業のERP活用が増加しています。その追い風となっているのが“クラウドERP”の存在です。矢野経済研究所の調査によると、パブリッククラウドでのERP導入率は4.7%ですが、次回更新時には12.5ポイント上昇すると予測されています。

引用:プレスリリース ERP/業務ソフトウェアの導入実態アンケート調査を実施2016年

そのことから多くの企業がオンプレミスERPではなくクラウドERPに注力していることがわかります。クラウドERPを導入するメリットとして、ERPの短期導入と低コスト導入、運用管理の簡素化という3つの大きなものがあります。自社インフラを持たないサービスだからこそ、導入期間を大幅に短縮し、さらにはコストまで削減できるのです。また、運用管理は基本的に提供ベンダーが行うためバージョンアップによるERP塩漬けという本末転倒なことは起こりません。

こうした理由から中小企業での導入が増加しているクラウドERPですが、重要な機能が一つあります。

経営ダッシュボードとは?

それが“経営ダッシュボード”です。経営ダッシュボードとはERPを構成する各システムから生成されるデータを統合管理し、BI(ビジネスインテリジェンス)で処理した上で、経営ダッシュボードにそのデータを表示します。

経営者はこのダッシュボードに表示されるデータをカスタマイズでき、意思決定に必要な情報のみを獲得できます。経営ダッシュボードではこうした指標を「KPI(重要業績評価指標)」と言います。

KPIは事業やプロジェクトの進捗を確認するためのものであり、かつ意思決定を迅速化するためのものでもあります。従って、経営ダッシュボードにどのようなKPIを表示させるかによって、クラウドERP活用の成否が決まると言ってもいいでしょう。

今回は、経営ダッシュボードに表示すべきKPIについて考えていきます。

経営ダッシュボードに表示すべきKPIとは

ソフトウェアベンダーSAPが発行している「SAPインサイント9月号(2011年版)」では、経営ダッシュボードに表示するKPIとして、使用頻度の高いものを次のように紹介しています。

  • 営業キャッシュフロー
  • 手許現金回転期間
  • 売掛金回収期間
  • 現金化サイクル
  • 売上高総利益
  • 営業利益率
  • 純利益率
  • 資産収益率
  • 負債比率

予め断っておきたいのが、これらはあくまで“使用頻度の高い指標”というです。従って、経営ダッシュボードに表示すべきKPIではありません。では、表示すべきKPIとは何でしょうか

第一に、経営ダッシュボードを活用して“何をしたいか”という部分を考える必要があります。意思決定のために必要な情報というのは業種や、企業のビジネスモデルによって異なります。このため、他社の経営者が好んで使用しているKPIが、自社にとって重要なKPIとは限りません。

次に、経営ダッシュボードを活用する目的を決めたら、どんな情報が必要かを考えます。ここで注意したいのが、特定の情報に偏るのではなく、多軸分析が行えるように情報を厳選するということです。

例えば営業パフォーマンスを追跡して管理したいのであれば、成約獲得率や商談数など、そこに関わる情報だけでは足りません。時にマーケティング部門や生産管理部門も取得することで、営業パフォーマンスを向上できない原因を突き止めることができます。

上手く活用できていない経営ダッシュボードの特徴

現実問題として、クラウドERPの経営ダッシュボードを活用しきれているという経営者は、そう多くありません。

その特徴としてまず、重要度の低いKPIばかりを表示していることが挙げられます。クラウドERP導入以前に「あの情報を可視化したい」「この情報をリアルタイムで見たい」というニーズは、ほとんどの経営者が持っています。

しかし、そのニーズが果たして正しいものなのかこの答えを追求する経営者は少なく、多くの場合意思決定において重要でないKPIを表示してしまっているのです。

一方では経営ダッシュボードに表示させる情報があまりにも多すぎて、何をどう活用したいのかわからない経営ダッシュボードも見受けられます。可視化したい情報が多すぎて、それらすべてを表示したはいいが、結果として活用しきれていないというのです。

こうした経営ダッシュボードを野放しにしていると、間違った意思決定をしてしまったり、最後にはまったく活用されない経営ダッシュボードを生んでしまいます。これでは、なぜ手間とコストをかけてまでクラウドERPを導入したのか、その意味が無くなってしまうでしょう。

経営ダッシュボードにもPDCAサイクルを取り入れる

昨今のクラウドERPが提供する経営ダッシュボードでは、実に豊富なKPIを表示させることができます。また、独自にアプリケーション開発できるクラウドERPならば、表示できるKPIはさらに多くなります。

こうした環境に対し経営者に求められるのは“取捨選択の能力”です。経営ダッシュボードに何を表示して、何を表示しないのか、この判断を正確に行う必要があります。

しかし、これまでデータを基にした経営判断を下したことがない経営者にとって、経営ダッシュボードに表示するKPI選択は難しいでしょう。そこで、PDCAサイクルを取り入れ、継続した改善を加えることで正しいKPI表示を目指すという方法があります。

解決した特定の課題があれば、それに必要な情報に“アタリ”をつけます。アタリをつけた情報をKPIとして表示して、その後の経過を追いましょう。表示した情報により意思決定が迅速化したり、課題解決につながれば上々です。しかし、ほとんどの場合、最初から成功することはありません。

そこで表示したKPIを評価して、何が良くて何がダメなのか、を判断します。こうして経営ダッシュボードに表示する情報を試行錯誤していくことで、自社にとって最適なKPIを探るのです。

クラウドERPとはいえ慎重な導入を

クラウドERPはオンプレミスで導入するERPよりも、導入期間も導入コストも低く、従来よりも簡単に導入できるというイメージがあります。しかし、あくまでそうしたメリットがあるというだけで、導入ステップが簡単になったわけではありません。

インフラ関連に関する作業はなくなりますが、業務プロセスの設計や構築の部分は通常のERP導入と変わりませんのでそこを理解しておく必要があります。

従ってクラウドERPだからといって、運用を軽視するのではなく、経営ダッシュボードにおいても慎重にPDCAサイクルを回していきましょう。そもそもERPは経営のための統合ソリューションです。経営者がそれを活かせずに、何のためのERPでしょうか。

まとめ

最近ではクラウドERPだけでなく、CRMといった一部の業務に特化したITソリューションでも、経営ダッシュボードを提供しています。概要は同じなので、どの情報を表示するかによって、経営者による活用の成否が決まるでしょう。経営ダッシュボードを表示する際は、独断で決めるのではなく、現場責任者や導入パートナーと相談することも大切です。

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