マイグレーション/モダナイゼーション

レガシーERPにおける具体的な弊害とは?

日々新しいITが生まれていく中で、古くなったシステムを刷新し、まったく新しい環境でさらなる業務効率化や顧客対応力を身に付けたいと考える企業は多いでしょう。中でも、長年アップデートが施行されずに古いままの環境を維持している「レガシーERP」が多方面で問題になっています。

レガシーERPに明確な定義はありませんが、米調査・コンサルティング会社のガートナーはレガシーの定義について「変化するビジネスのニーズに適応する柔軟性がないシステム」と述べています。

一般的な認識では、2000年以前か2000年初頭に海外で人気を博したERPシステムを導入し、日本企業の商習慣や要件に合わせるためにアドオン開発が膨らむ、アップデートが難しくなったものをレガシーERPといいます。

こうしたレガシーERPをいつまでも抱えていることは、企業にとって大きな損失になることをご存知でしょうか?今回は、レガシーERPが生む弊害についてご紹介します。

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レガシーERPが生む弊害とは

弊害1. 「塩漬け状態」でビジネスの変化に対応できない

レガシーERPの多くはその導入に莫大なコストがかかっています。それは、日本企業の商習慣や要件に合わせるために、大量のアドオン開発により都度アップデートに対応することが難しくなったためです。

アドオン開発によって追加したアプリケーションは、基本的にERPベンダーの保証対象外です。そのためアプリケーションの動作保証が取れておらず、アップデート後にもそのアプリケーションが正常に動作するかは分かりません。

万が一アプリケーションが正常に動作しなかった場合はさらなるアドオン開発が必要になるので、現状維持を選択してアップデートを行っていないERPが多いのです。これがいわゆる「ERPの塩漬け状態」です。

たとえ塩漬け状態を免れていても、レガシーERPでは近年のビジネス環境変化に対応できない可能性があります。その結果業務プロセスに変革を起こすことはできず、ビジネススピードもどんどん鈍化していって労働生産性も低下します。

弊害2. データ活用が促進しない

ここ最近のERP市場動向では、単に統合的なシステム環境を提供するものではなく、「データ活用」を視野に入れた製品展開を行っています。そのため、ERPにデータ活用のためのツールが備わっていたり、あるいはAIの統合によって素早いデータ活用が行えるERPも登場しています。

しかしながらレガシーERPの多くはデータ活用等のツールが搭載されていないため、データ活用が促進しません。もちろん、データ活用ツールを連携したりと方法は考えられますが、そもそもERP内のデータ収集に時間がかかってしまいます。

現代ビジネスではデータを基準にしたリアルタイムな経営意思判断が強く求められているため、レガシーERPではそうしたニーズに対応できない傾向にあります。

弊害3. システムパフォーマンスが低下し、同時に生産性が低下する

レガシーERPの弊害はシステムパフォーマンスにも影響します。10年以上前にリリースされたERPでは現代のビジネススピードに対応できないほど低いシステムパフォーマンスによって、ユーザーのストレスを増幅させています。最近では、システムのインターフェースまで評価するユーザーもいるので、古い画面のままではユーザーのモチベーションを維持できないでしょう。

システムパフォーマンスはソフトウェアのバージョンとサーバー環境に大きく依存しているので、レガシーERPのままでは低いパフォーマンスによって業務効率が低下するでしょう。

弊害4. ベンダー都合での移行が必要になる

ERPに限らずどんな製品にもサポート期限が定められています。もしもサポート期限を過ぎてしまうと、セキュリティ更新に関するアップデートまでされなくなってしまうため、サイバー攻撃リスクが増加し、情報漏えい等のセキュリティ事件やシステムストップに陥るような事態が発生するかもしれません。そうなると、ユーザー企業はベンダー都合での移行を余儀なくされるため、その対応に多くのコストがかかります。

実際に大手ERPベンダーでは、古くから提供してきたERPシステムのサポート期限が完全に終了するため、ユーザー企業の多くに早急な対応が求められています。

これが、レガシーERPの弊害です。いずれの項目も企業にとって問題になる点が多く、激しいビジネスの変化に対応するという面で、競合他社に大きく後れを取る可能性があります。

「レガシーERP=悪」ではない?

多くのERPベンダーやコンサルティングは「レガシーERP不要論」をとなえています。確かに、常に新しいシステムを提案する側からすればレガシーERPを肯定的に評価することは少ないでしょう。また、弊害も多いことも事実です。これに加えて経営層は、競合他社がスマートにビジネスを実践していることに焦りを感じたり、ERPシステムを実際に利用するユーザーからは「インターフェースが古臭い」や「操作性が悪く使いづらい」といった不満の声が上がってくと「レガシーERP=悪」というレッテルが貼られてしまいます。

しかしながら、必ずしもレガシーERPが悪なのではありません。現在のビジネスを問題を抱えながらも安定運用していることを考えると良い面もあります。そういった点を考慮すると本当に新しいシステムを導入することで事業はうまく回るのかということを真剣に議論する必要があるでしょう。その結果、「あえてレガシーERPを運用する」という選択肢もあるのかもしれません。

従ってレガシーERPを長期利用するための方策をCIO(最高技術責任者)やITリーダーを中心に関係者が真剣に議論する必要があるでしょう。

レガシーERPからの脱却にクラウドERP

レガシーERPを継続的に利用することでビジネスメリットが得られるという企業は、そう多くありません。なので多くの企業が最終的にはレガシーERPの刷新を検討することかと思います。その際に、積極的にご検討いただきたいのが「クラウド型ERP」です。

クラウドERPとは、文字通りクラウドサービスとして提供されるERPシステムのことであり、従来のレガシーERPとは大きく違う特徴があります。

まず、クラウドERPは社内インフラを必要としません。どういうことかというと、ERPシステムを導入(構築)する際は通常、サーバー調達から始まり大規模な統合システム環境を社内に入れるためのインフラ環境を整えます。その際に多大なコストがかかるわけですが、クラウドERPはインターネット経由でシステムを利用するため、インフラ整備は不要ですしそれに伴うコストを大幅に削減できます。

さらに、クラウドERPならば運用負担を大幅に軽減できるという特徴もあります。レガシーERPではネットワークパフォーマンスを監視したり、サーバーの稼働状況を監視したりと色々な運用項目がありますが、クラウドERPではERPベンダーがシステムの保守運用を行っているので、ユーザー企業には運用負担がほとんどかからないのです。従って情報システムリソースに余裕が生まれ、ビジネスに直結するようなIT戦略に注力することができます。

この他にもクラウドERPには様々な特徴があり、レガシーERPとはまったく違った利用、運用環境を取り入れることが可能です。それは企業にとってビジネスを躍進するきかっけになり、さらにはシステムが継続的にアップデートされることから、変化の激しいビジネス環境へ瞬時に対応し、二度とレガシーERPを抱えないことを意味しています。

レガシーERPからシステム環境を刷新する際は、クラウドERPであるDynamics 365をぜひご検討ください。

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