保全業務はDXでどう変わる?設備保全業務のこれから

 2022.04.21  BizApp チャンネル編集部

設備保全業務は、日本の産業を支える欠かせない仕事です。しかし昨今では、人材不足による作業員の負担増加などの問題も多く、業務効率化が重要課題となっています。こうした課題を解決するために、設備保全業務でも「DX」が注目されています。

DXとは、デジタル技術を活用することでビジネスを変革する取り組みのことです。本記事では、設備保全業務の基礎知識からDXが求められる背景、DXによる変化まで解説します。

保全業務はDXでどう変わる?設備保全業務のこれから

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設備保全業務の概要

設備保全業務の「保全」には、「保護して安全にする」という意味があります。よって設備保全業務とは、設備を安全に利用するための保護に関わる業務全般のことです。設備保全業務には、主に2種類の業務内容があります。

  • 事後保全
  • 定期保全

事後保全

「事後保全」とは、設備のトラブルが発生してから対応することです。数ある設備の中で1つでもトラブルがあれば製造ラインは停止し、企業に甚大な損失を与えることもあります。そのため、事後保全は緊急性が高いケースが多く、スピード感のある対応が求められる業務です。

具体的には、設備が正常に動作しない原因を実地調査し、その結果に応じて適切な修理を行います。設備の破損があれば部品の交換、異物が稼働の妨げになっているなら除去作業など、修理の内容はケースバイケースです。

とはいえ、品質水準の高い日本の設備でトラブルが発生することは、それほど多くないでしょう。簡易的な対応で済むトラブルが予想される場合は、コスト削減のために事後保全を選択することも有力です。反対に、大規模な製造ライン停止など大きなリスクの場合は、トラブルの発生自体を防止することが求められます。

定期保全

「定期保全」とは、トラブルの有無とは無関係に、一定のサイクルで保全業務を実施することです。設備が正常稼働しているうちにリスクを排除することで、将来的なトラブルの発生を防止するのが目的となります。自動車を例に出せば、「車検」が定期保全にあたる業務です。

設備には部品の経年劣化など、目には見えづらい故障のリスクが潜んでいます。設備を定期的に点検することで、こうしたリスクを事前に検知し、予防策を検討・実施するのが主な業務内容です。劣化した部品の交換などは、外部業者への依頼が必要となる場合もあります。

定期保全は、多くの調査や分析を必要とする業務であり、事後保全と比べてコストが高くつきやすい面はあります。しかし、大きなトラブルが発生してから甚大な被害が及ぶことを防止するためには、欠かせない業務です。

設備保全業務のDXが求められる背景

昨今では、業種を問わず多くの日本企業がDXに取り組んでいます。そして、冒頭でもお伝えした通り、設備保全業務も例外ではありません。設備保全業務にDXが求められる背景には、「2025年の崖」への懸念があります。

2025年の崖とは、「日本企業がDXを実現できなかった場合、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる」という懸念事項です。経済産業省が2018年に発行した「DXレポート」で、この言葉が登場したことから話題となりました。

このように大きな懸念があるため、日本政府は全国的にDXの導入を推進しています。2025年の崖は特定企業だけの懸念ではなく、設備保全業務も責任の一端を担っているのです。すぐそこまで迫っている2025年の崖を防ぐために、設備保全業界でもDXへの意識が高まっています。

また、製造業が盛んな日本には、古くから稼働している製造ラインも数多くあります。こうした設備の老朽化は全国的に進み、保全業務の負担増加も大きな課題となっているのです。設備保全業務の課題を解決するうえでも、DXの取り組みが重要となるでしょう。

設備保全業務はDXでどう変わるのか

DXにより設備保全業務がどう変わるのか、イメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。ここでは、設備保全業務にDXを取り入れることによる主な変化を3つご紹介します。

  • 予知保全の実現
  • 高度な分析の実現
  • 作業員のサポートの充実

予知保全の実現

DXによって「予知保全」が可能となります。予知保全とは、設備の故障などを事前に予知し、リスクを排除する保全業務のことです。トラブル発生前に対処する点では定期保全と同様ですが、定期保全では「予知」ができません。だからこそ、リスクを把握するための調査などに多くのリソースを割く必要があるのです。

その点DXを取り入れると、作業員が点検・調査しなくてもリスクを迅速に把握できるようになります。具体的には、機器設備をインターネットに接続できる「IoT」が有力なソリューションです。IoT設備に組み込まれたセンサーが異常を検知すると、インターネットを介して関係者に素早く情報共有されます。

また、設備の稼働時間や温度、角度といった様々な情報を収集・管理することも可能です。作業員の負担軽減はもちろん、適切なタイミングで保全作業が行えるようになり、コスト最適化にもつながります。フィールドサービスである設備保全業界でも、こうした予知保全システムを収益化する企業が登場しています。

高度な分析の実現

設備の点検データを、紙やExcelで管理している企業も多いのではないでしょうか。紙での管理だと、データを活用しづらいうえに、ミスも発生しやすくなります。またExcelでの管理についても、ファイルを開いたり該当セルを探したりする作業が発生し、必要なデータにアクセスしづらいなどの難点があります。

その点DXを導入すれば、前述のIoTにより収集したデータをクラウド管理でき、ペーパーレス化や脱Excelを実現可能です。設備データの活用効率が飛躍的に向上し、作業員の負担軽減やコスト削減につながります。また、AI(人工知能)を活用することで高度な分析もでき、人間では発見できない知見が得られます。例えば、過去の故障データをもとに最適な点検時期を予測する、といったことが可能となるでしょう。

作業員のサポートの充実

設備保全業務はフィールドサービスという性質上、どうしても現地に出向いて点検や修理を行う必要が生じます。この時、経験の少ない作業員だとスムーズに対応が進まないこともあるでしょう。とはいえ、紙の作業手順書を片手に作業するのでは効率が悪く、顧客を待たせることになってしまいます。

昨今では、作業員のサポート充実につながる「MRデバイス」の導入が進んでおり、こうした課題の解決策となっています。「MR(Mixed Reality:複合現実)」とは、現実世界の空間に仮想空間を組み合わせる技術です。「HoloLens」などのMRデバイスを頭部に装着すれば、作業中の設備のまわりに3Dホログラムのガイドを表示できます。

MRデバイスを通して閲覧できる3Dマニュアルを作成すれば、現地で紙の作業手順書を使う必要がなくなります。両手をふさがずに適切な作業手順を確認でき、若手作業員でも高い成果が出せるのです。結果として、顧客満足度の向上につながるでしょう。

まとめ

今回は、設備保全業務の基礎知識からDXが求められる背景、DXによる変化まで解説しました。

設備保全業務とは、設備を安全に利用するための保護に関わる業務全般のことです。「2025年の崖」や設備の全国的な老朽化などによって、設備保全業務にもDXが求められています。具体的にはIoTによる予知保全、AIによる高度な分析などがDXによって可能です。

今後は、MRデバイスを用いたマニュアルの3D化による、人材育成の効率化も期待されています。設備保全業務に関わらず、こうしたDXソリューションの活用が欠かせない時代はすぐそこまで来ています。これからDXを取り入れる設備保全会社には、フィールドサービスを支援する「Microsoft Dynamics 365」もおすすめです。


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