製造業でのIT活用のポイント

 2019.04.01  Dynamics 365編集部

「マーケティング近眼論」の論 で知られるマーケターであるセオドア・レビットは、同著にて「昨年、4分の1インチ・ドリルが100万個売れたが、これは人びとが4分の1インチ・ドリルを欲したからでなく、4分の1インチの穴を欲したから」と説明し、マーケティングにおける着眼点の重要性について提唱しています。

確かに、一般消費者や企業が何が製品を購入するときは、よほど高いロイヤリティが無い限り「その製品が欲しい」という以前に「この問題を解決したい」というニーズがあります。

たとえば運動会でお父さんが「1年に1度の運動会、プロ並みの綺麗な写真を残したい…」と思って一眼レフカメラを購入した場合、それは一眼レフが欲しかったのではなく、あくまで綺麗な写真を撮りたいのです。こうしたニーズに着目してみると、「良い製品を作って売る」ことがベストとは一概には言えません。

何が言いたいかというと、製造業に“サービス化”の波が押し寄せており、すべての製造業がその波に備えなければいけないのです。今回はそんな製造業でのIT活用のポイントをご紹介します。

製造業のサービス化とは?

製造業のサービス化とは従来のように単に製品を作って売るのではなく、その後のサービスも含めて顧客に新しい価値を提供するというビジネスモデルです。前述のように顧客には製品が欲しいと思うよりも前に、この問題を解決したいというニーズがあり、そのニーズに着目して製品やサービスを提供することでビジネス的価値を高めようとする取り組みです。製造業のサービス化が求められるようになった理由は、主に2つあります。

性能や機能の向上では顧客に響かない

従来のビジネスモデルでは今ある製品の性能や機能を向上させて、より高品質な製品を作り、かつそれを短いサイクルで繰り返すことで収益を最大化していました。これは性能や機能を向上することで、顧客にとっての価値もそれに比例して向上していたからです。

しかしハードウェア技術の成熟化や顧客ニーズが多様化したことに伴い、単純な性能や機能向上では顧客に響かないようになり、こうしたビジネスモデルの限界が到来しつつあります。

その中で「製品もサービスも含めて顧客に最高の価値を提供すること」に着目し始めた企業が増え、製造業にサービス化の波が押し寄せています。

課金モデルの妥当性に顧客が気付き始めた

主にソフトウェア製品で進んでいる“クラウドサービス化”が製造業でも見え始めています。クラウドサービスとは使用頻度やユーザー数等に応じて料金が発生するサービスの総称であり、最初に高額なシステムを導入しなくてもよいということからその妥当性が認められています。

基幹システムに関するお役立ち資料

製造業においてもこうした課金モデルの妥当性に気付き始めた顧客が多く、将来的には製品は売らずにサービスとして提供し収益を得るビジネスモデルが中心になると言われています。

以上の理由から、製造業のサービス化が活発になっており、現在では様々な企業がサービス化に取り組んでいます。

製造業のIT活用実態

製造業のサービス化を実現するために欠かせないのが広範囲にわたるIT活用です。ITシステムの構築無くしてサービス化は不可能であり、そのため製造業における今後のIT活用が注目されています。

それに対して、現時点での製造業のIT活用は設計システムや生産システムの強化に注力しがちです。つまり設計や生産を最適化することで、より良い製品をより素早く製造しようという考えが強い傾向にあります。

確かに設計と生産は製造業にとって要になる部門であり、最適化は必要です。しかし製造業を取り巻く環境は刻一刻と変化しているため、従来のビジネスモデルに頼る方法では、いくら高性能・高機能な製品を設計製造しても、顧客からそっぽを向かれる可能性が高いでしょう。

顧客が今求めているのはモノではなくコト。製品を手にすることよりも、如何に問題を解決できるかに重点を置きつつあるのです。

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製造業のサービス化を実現するIT活用とは?

では、どういったIT活用なら製造業のサービス化を実現できるのでしょうか?まずはどんなITを導入するかを考えるよりも、自社が顧客に提供できる体験価値について考えることが大切です。

そのためには自社製品の販売やコールセンターといった接触点だけでビジネスを考えるのではなく、顧客の製品使用場面等まで踏み込んでトータル的に顧客体験を描きます。たとえば前述した一眼レフカメラの例では、顧客がカメラを使ってどういった問題を解決したいのかというニーズに着目します。

一眼レフカメラを販売したいターゲットが、20代~30代で小学生の子供が1人以上いるお父さんだとしたら、どういったシーンでカメラを使用したいのかが見えてきます。今の時期ならば運動会や学芸会、さらに旅行など様々なシーンが想定できますね。

さらに顧客が持つ問題に踏み込んでみます。一眼レフカメラを購入したは良いものの、運動会や学芸会では遠くから撮影する場合がほとんどなので、カメラに備わっているズーム機能では不十分であり望遠レンズの必要性がニーズとして発生します。しかし、日常的に使用する分には望遠レンズは必要ないため、なかなか購入に踏み込まない顧客が多いはずです。そこで自社の一眼レフカメラを購入したユーザーを対象に「望遠レンズレンタルサービス」を提供します。

欲しいけど使うシーンが限られている望遠レンズをレンタルすれば、顧客はそのニーズを満たしつつ最高の体験を得ることができます。こうした製品とサービス含めてビジネスを展開し、顧客にとって最高の体験価値を創ることが製造業のサービス化です。

これを実現するためにはどんなITを導入するかを考えるより先に、自社が提供できる顧客体験を考えることが大切なのです。

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IoT活用が製造業の未来を変える

近年製造業での活用が盛んになっているのがIoT(Internet of Things)です。これは「モノのインターネット化」といった、あらゆるものにネットワークに接続可能なセンサーを取り付けて、ビジネス価値や生活の利便性を向上しようという取り組みであり、それらを実現する製品のことです。近年、このIoTを活用したサービス化が製造業で多く見られています。

具体的に保守運用のサービス化です。たとえば産業機械を製造するメーカーでは、販売した機械を定められた規約に従って保守運用を行ったり、あるいは問題が発生した際に顧客から呼び出されて対応するというのが一般的でした。しかし近年では、この保守運用をサービスとして提供するメーカーが増えています。

販売した産業機械にIoTを埋め込みそこから様々なデータを取得します。メーカーはネットワークを通じてそのデータを収集し、BI(ビジネスインテリジェンス)等でデータを高速で処理し、機械の状態を常にリアルタイムで監視します。それによって問題の予兆が発生すればすぐに対応し、顧客側の業務停止時間を無くしたり、極力短い時間で機械が再稼働できるよう対応します。

この保守運用サービスを利用するにあたって顧客側にはコストが発声しますが、実際に問題が発生してから対応してもらうよりも圧倒的に早いスピードで問題を処理できるので、双方にとってメリットの高いビジネスモデルになっています。

このように、製造業のサービス化を実現するためのIT活用について考えることで、製造業のビジネスモデルは大きく変わっていくでしょう。

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