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基幹システムを構築するメリットと進め方について

テクノロジーの進歩に比例してデジタル化が加速する現代において、企業が市場の競争優位性を確立するためにはITシステムの活用が欠かせません。なかでも、事業活動を展開する上で不可欠となるのが「基幹システム」です。本記事では、基幹システムの概要や種類、導入するメリットおよびデメリットについて解説します。

基幹システムを構築するメリットと進め方について

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基幹システムとは

基幹システムとは、事業活動の根幹を支えるITシステムを指します。会計システム・人事給与システム・購買管理システム・生産管理システム・在庫管理システム・販売管理システムなど、企業経営の中核に関わる業務システムの総称が基幹システムです。その名の通り、財務会計部門や人事部門、販売管理部門といった販・財・給に関わる基幹業務のデータ管理を目的とします。

基幹システムはデータの管理領域が主に後方支援の部門となるため、別名「バックオフィス系」とも呼ばれます。しかし、主にバックオフィス系の業務データを管理するとはいえ、事業活動の中核となるソリューションであり、システムやネットワークに障害が発生すると事業活動そのものに多大な影響を及ぼします。このようなリスクを回避し、事業継続性を確保するためには、いかにして基幹システムの可用性を高めるかが重要なポイントです。

基幹システムの種類

基幹システムは特定のソリューションを指す固有名詞ではなく、組織の基幹業務を管理するITシステムの総称です。そのため、何をもって基幹システムとするかは事業形態や組織体制によって異なります。基幹システムの代表例としては「会計システム」「人事給与システム」「購買管理システム」「生産管理システム」「在庫管理システム」「販売管理システム」の6つが挙げられます。

会計システム

企業の会計業務をシステム化し、帳簿や決算書の作成、伝票入力、予算実績管理、原価管理など、財務会計や管理会計の業務領域を管理します。

人事給与システム

人事評価や人事考課、人事異動、人員配置、労務管理、給与形態に応じた賞与の計算など、人事部門の業務領域を管理します。

購買管理システム

原材料や部品の調達、事務用品や消耗品の仕入れ、取引契約や発注管理など、事業活動に必要な資材や物品の購買業務を管理します。

生産管理システム

製品番号や製造工程、工程実績、生産設備の稼働状況、人的資源の投入量など、製品の生産に関わる業務領域を管理します。

在庫管理システム

入出庫管理、検品作業、棚卸管理、ロット管理、返品管理、出荷処理など、製品や商品の入庫と出庫情報を総合的に管理します。

販売管理システム

製品や商品の受注管理、原材料の仕入管理、請求管理、債券管理、売掛管理、売上管理など、販売に関わる業務領域を管理します。

基幹システムを導入するメリット・デメリット

ここからは、基幹システムの導入によって得られるメリットとデメリットについて見ていきましょう。

基幹システムを導入するメリット

基幹システムを導入する大きなメリットのひとつが業務プロセスの効率化です。たとえば、購買管理システムと販売管理システムを導入したと仮定しましょう。この場合、原材料や部品の調達、製品や商品の受注管理といった業務プロセスをデジタル上で管理できるのはもちろん、それらのデータを連動させることで、より効率的かつ生産的な在庫管理が実現します。

また、会計システムを活用することで決算書や総勘定元帳、売掛帳や買掛帳といった必要書類を自動的に作成することも可能です。こうした基幹業務をデジタル上で管理することで作業を効率化できれば、人為的なミスやエラーの削減につながります。その結果、業務プロセスの標準化に寄与し、属人的な業務体制を脱却できるため、組織全体における生産性の向上と経営基盤の総合的な強化に貢献します。

基幹システムを導入するデメリット

あらゆる物事には必ず二面性があり、メリットの裏には相応のデメリットが存在します。基幹システムを導入するデメリットとして挙げられるのが、導入障壁の高さです。たとえば、生産管理システムや販売管理システムを導入する場合、選定するソリューションによって異なりますが、基本的には1,000万円単位の予算が必要となります。大企業のように多様な資金調達手段をもたない中小企業にとって、容易に捻出できる金額とは言い難いのが実情でしょう。

また、オンプレミス環境で基幹システムを運用する場合、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアの継続的な保守・運用管理コストが必要です。ITインフラの保守・運用管理に人的資源と資金を割く必要があるため、コア業務に投入するリソースの減少を招きます。さらにシステムの運用成果を最大化するためには、従業員を育成する教育コストが必要です。その他にも、事業の継続性が基幹システムの稼働状況に依存するといったデメリットもあります。

加えて、単体の基幹システムを各部門で個別に導入した場合、業務プロセス全体でのシームレスな連携ができないという問題もあります。ただし、この課題についてはこの後にご紹介する内容で解決可能です。

基幹システム構築の進め方

基幹システムの構築は基本的に「企画」→「製品・ベンダーの選定」→「要件定義」→「設計・開発」→「テスト」→「運用開始」というステップに沿って展開します。

企画

基幹システムの構築における最初のステップは導入プロジェクトの立案・策定です。まずは何のために基幹システムを導入するのかを明確化し、どの業務領域をシステム化したいのかを具体化します。このプロセスを踏破しなくては必要な製品や要件を定義できません。まずは導入の目的を明確化し、導入プロジェクトの企画案を策定します。

製品・ベンダーの選定

基幹システムの運用成果を最大化するためには、自社の事業形態や組織体制に適した製品を選定しなくてはなりません。また、自社のリソースのみで基幹システムを実装できる企業は多くはないでしょう。そのため、基幹システムの設計・開発から運用・保守などを総合的にサポートするベンダーを選定する必要があります。

要件定義

要件定義は、基幹システムに求める要求を定義する設計・開発の土台となるプロセスです。このフェーズでは、システム化の対象となる業務プロセスを明確化する「業務要件」と、基幹システムに求める機能や性能などの「システム要件」を定義します。

設計・開発

定義された業務要件とシステム要件に基づいて基幹システムを設計・開発するフェーズです。基幹システムの設計・開発は基本的にベンダーの担当領域であり、実装には数週間から数ヶ月の開発期間を要します。この期間に操作マニュアルの作成や研修を実施し、組織内における基幹システムの環境整備に取り組むのが望ましいといえます。

テスト

実際に基幹システムを運用する前に動作性を検証するステップです。基本的には機能単体の動作性を見る「単体テスト」、機能間連携における動作性を見る「結合テスト」、そして最後にシステム全体の動作性を検証する「総合テスト」の3ステップにてテストを実施するのが一般的です。

運用開始

ここまでのプロセスに問題がない場合、基幹システムの運用を開始します。しかし、基幹システムの導入はゴールではなくスタートでしかありません。運用効率を最大化するためには、「計画(Plan)」→「実行(Do)」→「評価(Check)」→「改善(Action)」のPDCAサイクルを回し続ける継続的な改善が必要です。

近年は基幹システム→ERPへ移行する流れに

基幹システムは基本的に各部門に最適化された形式でデータが保管されており、それぞれの部署で個別に管理されているのが一般的です。しかし、この状態では部門間のデータに重複やエラーが発生する可能性を孕んでおり、さらに情報のサイロ化を招くリスクもあります。このような問題を解決すべく、近年さまざまな分野で導入が進んでいるのがERPです。

ERPは「統合基幹業務システム」と呼ばれる業務システムであり、その名の通り財務会計・人事・購買・生産・在庫管理・販売といった基幹業務を統合的に管理するソリューションです。基幹システムを1つのプラットフォームで一元管理することで、より迅速かつシームレスな部門間連携や円滑な情報共有を可能にします。経営基盤の総合的な強化を目指す企業にとってERPは不可欠なソリューションといえるでしょう。

まとめ

基幹システムとは、会計システム・人事給与システム・購買管理システム・生産管理システム・在庫管理システム・販売管理システムなど、企業経営の中核に関わる業務システムの総称です。近年では基幹業務を統合的に管理するERPを導入する企業が増加傾向にあります。基幹システムの刷新やクラウド移行を推進している企業は、Microsoft Dynamics 365の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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