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Microsoft Project OnlineとMicrosoft Dynamics 365 for Project Service Automationの比較

プロジェクト管理ツールとして世界シェアNo.1といえば、ご存じMicrosoft Projectです。1984年の発売以来、長い歴史を持ち、システムインテグレーター、製造業、建設業など多くのプロジェクトサービス企業で利用されているツールです。 

Microsoft Projectは、ポートフォリ管理、プロジェクト管理、リソース管理、レポートの作成に至るまで、プロジェクト管理のあらゆる場面において非常に有効なツールであり、利用することで世界標準のプロジェクト管理手法であるPMBOKに準拠したプロジェクト管理が可能になります。

プロジェクト管理ツールとして欠かせないMicrosoft Projectですが、Office 365ファミリーの一部としてクラウド版Microsoft Project Onlineとして提供されていることをご存じでしょうか?

これにより、これまでオンプレミス環境を準備するための関連コストの負担がなく、月額利用で手軽にMicrosoft Projectの利用が可能になりました。

一方、プロジェクトサービス企業向けのCRM/ERPソリューションとして提供されているMicrosoft Dynamics365 for Project Service Automation(Dynamics 365 for PSA以下)をご存知でしょうか?

こちらは、Microsoft Dynamics 365のCRMファミリーにおいてプロジェクト管理に特化した機能が提供されているソリューションです。

今回は、Microsoft Project OnlineとDynamics 365 for PSAの違いとその使い分けについてご紹介していきます。

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プロジェクト管理に特化したMicrosoft Project Online

まずは、Microsoft Project Onlineについて整理していきます。Microsoft Project Onlineでは、大きく「ポートフォリオ管理」「プロジェクト管理」「リソース管理」の3つの管理が可能になります。

ポートフォリオ管理

ポートフォリオ管理は、組織で実行されている全プロジェクトの状況を横断的に把握し、戦略的にプロジェクトのポートフォリオを最適化することができます。プロジェクト状況を横断的に把握することで、組織内でのリソース配分の最適化を可能にします。

あるプロジェクトではリソース不足で問題化しているにも関わらず、他のプロジェクトでは余剰人員がでている場合に、組織的なリソースを再配分することで、問題プロジェクトを解決し、プロジェクト収益と組織の収益の最大化を図ることができます。

また、全てのプロジェクトの状況から今後発生する必要なリソースの予測を立てることができ、あらかじめリソースの準備をしておくことが可能です。

リソース調整を各プロジェクトのマネージャーを集めて実施しているところが多いと思いますが、こちらの機能で各プロジェクトが、いつ、どのタイミングで、どんなリソースが必要になるかを把握することが可能なため、リソースの調達遅れによるプロジェクト遅延を防止することにつながります。

プロジェクト管理

プロジェクト管理の機能については、ご存知の方も多いのではないでしょうか?プロジェクト管理の機能はプロジェクト計画から、プロジェクト実績の把握、予実の管理までをサポートし、プロジェクトが計画通りに着地するための管理機能を豊富に提供しています。

プロジェクトマネージャーはプロジェクト管理機能を用いてプロジェクト計画を策定し、管理するためのベースラインを設定します。プロジェクト計画では、WBS、リソース、スケジュール、マイルストンを設定し、これらをもとプロジェクトコストを算出します。

プロジェクト計画の後は、プロジェクトメンバーが進捗実績、稼働実績を投入することでプロジェクトの状況を把握できるようになります。どのタスクが遅れいていて、遅れの原因を分析し、アクションプランの策定、実行によってリカバリを実施します。

予実を比較するレポート機能も充実しており、現在ではクラウド型の分析ツールであるPower BIともシームレスに連携されプロジェクト分析が視覚的に可能です。

リソース管理

リソース管理では、プロジェクトメンバーによる作業時間の報告をもとにした稼働状況の管理、リソースの稼働率を管理することが可能です。特定のプロジェクトメンバーに負担が偏っていないか、計画した稼働よりも時間がかかっていないかを把握することで、リソース状況を最適化することが可能です。

顧客管理を中心としたMicrosoft Dynamics 365 for Project Service Automation

次にDynamics 365 for PSAについてご紹介します。Dynamics 365 for PSAでは、Dynamics 365のCRMファミリーということもあり、プロジェクトを顧客視点、営業視点から把握できる特徴をもちます。

顧客管理

CRMの機能として、顧客管理の機能が提供されています。プロジェクト管理機能で登録されたプロジェクトと顧客を紐づけることで、顧客ごとのプロジェクト管理が可能となります。顧客ごとに過去にどのようなプロジェクトが実施されており、それぞれのプロジェクトの収益率はどの程度であったかを把握することができます。

プロジェクト営業案件管理

こちらも、CRMファミリーとしてSFAの機能が備わっております。プロジェクトサービスに特化したSFA機能になっており、営業案件の品目明細として、プロジェクトベースの明細行を登録することが可能です。プロジェクトベースの明細行に登録した情報は、営業プロセスが進むにつれてプロジェクト見積もり、プロジェクト契約、請求書と情報が引き継がれます。

「CRMとSFAの違いを解説!」の記事で詳しく調べてみましょう!

プロジェクト見積もり管理

見積もり、提案フェーズにおいて、顧客に提示するプロジェクト見積もりを管理する機能が提供されています。こちらの機能で、プロジェクト積算をベースに見積もりを作成していくことが可能です。また、プロジェクトコストに営業利益を積み上げた予定売上額を設定することで、見積もり段階での利益率についても自動的に計算してくれます。

プロジェクト契約管理

受注後のプロジェクト契約情報を管理します。最終的な受注金額、請求予定などを把握し、プロジェクトと紐づけることで契約とプロジェクトの紐づけ管理が可能になります。

プロジェクト管理

プロジェクト管理機能については、Microsoft Project Onlineと類似した、プロジェクトの計画から作業実績の投入、予実の比較する機能を提供しています。

請求管理

請求管理については、お客様との契約形態によって固定金額と稼働実績ベースの請求の2つが用意されており、それぞれ固定金額はマイルストンの完了をもって金額を請求し、稼働実績ベースの請求では、リソースの販売単価を設定して請求額を設定することが可能です。請求実績はプロジェクト管理に反映され、各プロジェクトの収益を把握することが可能になります。

リソース管理

リソース管理では、どのプロジェクトに誰がいつまでアサインされているかをスケジュールボードで把握することが可能です。またリソースの稼働率の把握や、プロジェクトのリソース予約を行うことが可能です。

Dyamics 365 for PSA とMicrosoft Projectの使い分け

2つのツールの特徴をまとめてきましたが、それではプロジェクトに特化した2つのクラウドアプリケーションをどのように使い分ければよいのでしょうか?

管理部門、営業、プロジェクトマネージャーの情報連携はDynamics 365 for PSA

Dyamics 365 for PSAの「顧客中心の管理」という特徴から、管理部門、営業、プロジェクトマネージャーとの情報連携をサポートするツールとして有効です。

管理部門では、顧客ごとの利益率や顧客内でのプロジェクト利益率を把握することで、顧客への戦略を立案していくことに活用できます。また、プロジェクトを中心としてサービス提供を行っている企業では、営業とプロジェクトマネージャーの情報連携は、顧客関係を構築するうえで大変重要な要素です。

営業側は、プロジェクトの状況を把握したうえでお客様対応が必要ですし、プロジェクトマネージャー側も営業がお客様と握っている情報については常に把握しておく必要があります。

プロジェクト実施フェーズでのプロジェクト管理にはMicrosoft Project Online

プロジェクト管理の機能については、歴史が長いMicrosoft Project Onlineが充実しています。これまでの豊富な導入実績をもとにしたテンプレートが提供されており、プロジェクト管理を行う上で計画からレポーティングまでをトータルで支援してくれるツールです。プロジェクトマネージャー、プロジェクトメンバーにとっては、プロジェクト状況を共有するうえで非常に有効な手段になります。

Dynamics 365 for PSAとMicrosoft Projectクライアントとの連携

Dynamics 365 for PSAでは、Microsoft Projectクライアントの連携Add-inが用意されています。こちらのアドインを利用することで、例えばMicrosoft Projectで作成したプロジェクト計画をDynamics 365 for PSAにアップロードすることも可能です。

両社のいいところを合せた使い方も可能ですので、プロジェクト管理と顧客管理を統合して管理していきたい場合に有効な手段となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

Microsoft社が提供しているプロジェクト管理に特化したクラウドアプリケーションであるMicrosoft Project OnlineとDynamics 365 for PSAの特徴について整理し、2つの使い分けについてご紹介してきました。

2つのツールの導入を検討するうえで重要なのは、導入目的を明確にすることです。ツールを導入すれば課題が解決されるわけではなく、導入効果を得るためには何の目的でどのツールのどの機能をどのように使うかをできるだけ具体化していくことが重要です。

とはいえ、プロジェクトを中心にサービス提供を行っている企業にとっては、2つとも非常に有効なツールとなりますので、両者の特徴を把握したうえで導入を検討していく必要があります。

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