レガシーシステムのモダナイゼーションのポイントと対策

 2019.07.01  BizApp チャンネル編集部

日本企業のビジネスは長らく「レガシーシステム」によって支えられてきました。そして、2000年問題と2007年問題、これまで2度の課題をモダナイゼーションによって乗り越えています。

○2000年問題

西暦が「99」から「00」に変わることによるシステム障害に対応した大規模改修が一斉に行われた、第一次モダナイゼーション

○2007年問題

メインフレーム技術者の定年退職に始まる技術力不足による、第二次モダナイゼーション

多くの日本企業はこれまで2度の転換点を経験し、モダナイゼーションによって乗り越えてきました。そして、現在、かつてないほど大きなモダナイゼーションの必要性に迫られています。本稿では、現代ビジネスを生きる日本企業に欠かせない、レガシーシステムのモダナイゼーションのポイントについて解説しています。日本企業固有の問題から、近代システムへ変貌を遂げるまでの道筋を確認していきましょう。

レガシーシステムは何がいけないのか?

レガシーシステムとは、「システムの維持コストが高止まりしており、かつ最新技術(主にクラウドコンピューティングなど)の恩恵が受けられない状態」だとされています。しかし、中にはレガシーシステムでも十分稼働できているから、費用対効果を向上することに専念すれば問題ないだろう、と考えている経営者もいるようです。では、レガシーシステムを稼働し続けることで、企業は何を失っているのでしょうか?

  1. 膨大なアドオンによりベンダーロックインが起き、高額な保守・運用費用を支払い続けている
  2. 老朽した既存資産の延命にかかる維持コストが高い
  3. 技術者の高齢化・定年退職にともない、要員不足とノウハウの喪失が発生しつつある
  4. ベンダーからのサポート切れのシステムや技術を継続的に利用することで、運用リスクが高まる
  5. 市場動向にマッチしないシステム導入スピードで、ビジネスサイドからの要件を満たせていない
  6. クラウドコンピューティングやオープンソースソフトウェアなど、新しいIT活用に遅れが生じ、売上貢献度が低いままになっている
  7. 規制やコンプライアンス要件への対応に遅延が発生し、さまざまなビジネスリスクが高まっている
  8. 使い勝手の悪いアプリケーションで構成されていることで、ユーザーの生産性向上を阻害している
  9. 変化したビジネスプロセスにマッチしないシステム機能により、人手負担が多くなっている
  10. ユーザー満足度が非常に低く、システムを利用するにあたってのモチベーションが一向に向上しない
  11. テレワーク等の「働き方改革」へ対応が遅れ、優秀な人材確保や労働生産性向上のチャンスを逃している

いかがでしょうか?パッと考えられる限りでも、レガシーシステムを稼働し続けることで企業は多くのものを失っています。ビジネスにおける基幹システムの重要性は日々高まっていますし、統合的なシステム環境によるデータ活用も実用段階に入っています。また、クラウドコンピューティングやオープンソースソフトウェアといった新しいITは、考えられないスピードで発展しており、現代ビジネスを勝ち抜くカギにもなっています。

基幹システムに関するお役立ち資料

日本企業のモダナイゼーションはなぜ失敗するのか?

モダナイゼーションとは「近代化」という意味であり、レガシーシステムを近代的システムに刷新または移行するための方法を指します。しかしながら、そのモダナイゼーションに失敗(プロジェクト破綻など)する日本企業が後を絶ちません。その理由は、以下の2点に集約されているでしょう。

①無謀過ぎるモダナイゼーション計画

レガシーシステムのモダナイゼーションプロジェクトでは、社内稟議を通すために投資対効果を過大評価して見積もったり、移行プロセスの予測が甘かったり、無謀なモダナイゼーション計画によってプロジェクトが破綻するケースが決して少なくありません。

特に「現場仕様の担保が前提」「ITコスト削減に向けた機能の統廃合」「業務効果を生み出すための新機能」「新しいITの活用」といった要件を盛り込む際は、モダナイゼーションの難易度が劇的に上がるので注意が必要です。

②日本型基幹システムへの理解不足

生産管理システムや販売管理システムのモダナイゼーションは、標準プロセスを重視して例外処理を排除すれば、ERPパッケージによるリプレースが簡単に行えます。しかしながら、多くの日本企業は基幹システムに例外処理を求め、顧客ごとの個別要件に対応できる基幹システムを構築しようとします。

個別要件とは、顧客ごとの個別契約や関係性を重視して、仮設定による単価発注や契約締結前の生産着手など、イレギュラーで発生する業務への対応のことです。こうした基幹システムではSoR(System of Record:記録のためのシステム)とSoE(System of Engagement:顧客との関係強化のためのシステム)、2つの要素を混在しているため、標準化が困難になります。

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このケースでは、ERPパッケージへのリプレースが難しく、アドオン開発を含むモダナイゼーション方法が選択されるため、移行対象の膨大さが失敗の原因になります。

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モダナイゼーションを実行する3つの方法

レガシーシステムのモダナイゼーションを実行するための、具体的な方法についてご紹介します。

1.リプレース<新しいシステムへの刷新>

既存のスクラッチシステムやパッケージソフトウェアから構成されるレガシーシステム環境を、新しいパッケージソフトウェアへ移行します。新しいIT資産を構築するためのコストと負荷はかかるものの、環境変化により業務プロセスを見直し、抜本的な業務改革が可能です。

メリット

IT資産を抜本的に見直すことで、新しいビジネスモデルへの対応や、今までにはなかった新しい業務プロセスを構築し、高い生産性向上効果と業務効率化が得られる。

デメリット

IT資産の抜本的に見直しに伴う初期投資の増大および、業務プロセスの見直しによるプロジェクトの長期化。

2.リライト<既存のITリソースを活かす>

古い開発言語を新しい開発言語に書き換え、レガシーシステムの既存機能や仕様はそのままに、新しい開発環境に移行することでリプレースにかかるコストと負荷を抑えることができます。最新技術への対応も可能になり、大量のアドオン開発を有しているレガシーシステムに有効です。

メリット

既存のITリソースと技術者を活かしつつ、まったく新しいIT資産を構築でき、リプレースよりもコストを抑えて新しいビジネスモデルへの対応が可能。

デメリット

安全性の高いリライトのためには、既存レガシーシステムのドキュメントを整理・管理し、高い技術力が求められる。

3.リホスト<最新ITへの移行>

サーバー・OS・ミドルウェアといったITインフラ基盤を刷新したり、仮想化技術に対応したりすることで、レガシーシステムの延命措置として採用される方法です。保守サポート切れに対応できるため、コストを抑制でき、有効な選択肢となります。特に、クラウドコンピューティングを活用したリホストは、最大時のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)にもなり、有効な選択肢となります。

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メリット

クラウドコンピューティングにおけるITインフラの調達は非常に容易かつ迅速なため、柔軟性の高いITインフラをスピーディに用意し、コスト適正化にも貢献する。

デメリット

レガシーシステムそのものを刷新する方法ではないため、ソフトウェア面の資産は古いままになり、ケースによっては新しいビジネスモデルや最新技術に対応できない。

このように、レガシーシステムのモダナイゼーションは大きく3つの方法があります。ビジネスの目標や、既存環境によって最適な方法は異なるため、事前の検討を十二分に行ってからモダナイゼーションへ取り組んでいきましょう!

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