製造業のためのMRPとは? ERPとの位置付けについて

 2020.08.20  BizApp チャンネル編集部

ジャストインタイム、セル生産、パラメトリクス生産などなど、製造業では生産方式に関する用語が多く、その中の1つに「MRP(Manufacturing Resource Planning)」があります。生産管理手法として既に幅広く浸透している言葉ですので、改めて「MRP」と耳にする機会は少ないかと思います。しかし一般用語として知っておきたい言葉の1つではあるので、本記事ではこの「MRP」について詳しく解説していきます。

mrp

MRPとは?

MRPというのは「Material Resource Planning/資材所要量計画」の略です。日本語からその意味を読み解くと、「生産活動に所要(必要)とする量の計画を立て、それに基づいた仕入れ・生産を行う管理手法」ということになります。考案されたのは1970年代米国であり、当時は日本やドイツの輸出シェアが上昇する一方、米国のシェアが低下し日本や欧州の製造業が成長する中で米国製造業の国際雇用総力が低下する最中でした。

製造業においてビジネスを成功させる大前提とも言えるのは「在庫を持ちすぎないこと」です。在庫は「現金化されていない資産」であり、極力在庫を持たないことでキャッシュフローを健全に保ち、管理コストの引き下げを手伝います。一方、不足している状態で調達や輸送に問題が生じた場合、欠品によって生産が停止し機会損失を招きますのでそれはそれで企業にとって大きなロスになります。

ですから製造業ではしばしば「在庫とは経営そのもの」と表現されます。しかし在庫を過不足なく適正に管理することは、多くの企業において難しいことも事実です。特に経験と勘によって仕入れ量を決めているような企業においては、十中八九在庫は過剰もしくは不足の状態になってしまいます。

その際に活躍するのがMRPです。MRPは言うなれば「BOM(Bill of Material/部品表)と基準生産計画をもとに資材調達を最適化するための計画」であり、生産する部品や完成品それぞれの部品表を作成して、生産に必要な部品数と調達までにかかるリードタイムを明瞭にします。更に、部品ごとの原価や組み立て手順等を記載し、基準生産計画の基礎にすることで生産活動の効率化を図ったのです。

MRPとジャストインタイムの関係

MRPは耳にしたことがなくても、「ジャストインタイム」と呼ばれる生産方式を耳にしたことがある方は多いでしょう。日本は世界的な製造業大国ですが、そうたらしめるきっかけになったのがジャストインタイムです。

これはトヨタ自動車創業者の豊田喜一郎が合理的経営の観点から導入した生産方式としてよく知られ、日本式の生産方式は米国製造業でも「JIT(ジット)」と呼ばれ取り入れられています。ジャストインタイムの基本概念は「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ調達する」です。

1970年代の大量生産大量消費の時代では、単一製品を大量に生産することで数ヶ月先の生産計画も容易に見通すことができます。一方、多品種少量生産の時代が徐々に到来したことで、生産品目の増加によって資材の種類が増え、資材調達に関わる情報が膨大なものになります。それらの情報を全て人手で管理してしまうと計算や発注のミス・漏れによって企業に多大な損失を与えます。

一方、ジャストインタイムは情報の上流である顧客からの生産依頼をもとに基準生産計画を作成し、更に製品や部品ごとに必要となる資材量を割り出し、「何が、いつまでに、どれくらい必要なのか?」を明確にして調達の最適化を図ることで、効率的な生産活動を支援します。つまり、MRPは今では当たり前のジャストインタイムを実現するために欠かせない管理手法なのです。

MRPシステム導入時のポイント

今では「MRPシステム」という名目でシステムが導入されることは少ないでしょう。ほとんどの場合「生産管理システム」として、MRPの役割に加えて生産の工程管理や品質管理、販売管理や出荷管理など幅広い業務をカバーするためのシステムとして導入・運用されています。では、製造業がMRPシステムないしは生産管理システムを導入するにあたり、注意すべきポイントとは何でしょうか?

ポイント1.BOMの整理

MRPではBOM(部品構成表)に従って生産に必要な部品と資材の数量を計算します。BOMは言わばMRPの生命線なので、MRPシステム導入以前にBOMがしっかりと整理されていなければMRPシステムも機能しません。製造部門において各部品が「いつ、どれくらい必要なのか?」を明確化しましょう。

ポイント2.部門間コミュニケーション

MRPシステムを導入しても生産活動はいつも計画通りに進むわけではありません。特に顧客都合の仕様変更・発注変更・計画変更は常にイレギュラーで発生するものなので、それらへの緊急的な対応が必須です。MRPシステムは変更に弱いシステムと一部では言われていますが、その点は製造・設計・品質管理・在庫管理・資材購買・営業などの部門間で綿密なコミュニケーションを取り、変更を即座に反映させるようにしてカバーしていく必要があります。

ポイント3.在庫管理体制の整備

MRPシステムは現時点の在庫量から、将来的に生産に必要となる在庫量を予測します。しかし、在庫管理体制自体に問題があり、在庫数などを正確に管理できていない状態ではMRPシステムがいくら優秀でも機能しません。それでは在庫に過不足が生じるので、MRPシステムを導入する意義も失われてしまます。だからこそ、MRPシステム導入時はしっかりとした在庫管理体制が重要になります。

MRPからERPへの発展

通説として、MRPという生産管理手法は次に「MRP2」に発展し、最終的に「ERP」へ行き着いたと言われています。MRP2は基準生産計画とBOMによって効率化される生産活動の管理項目を、資材だけでなく「人材・設備・製造リードタイム」など生産に関わる全ての能力に発展させより総合的観点から生産活動を管理します。

更にERPとは、「Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング」の略であり、MRP2の概念を更に発展させ、管理項目を経営全体に行き届かせるための管理手法です。今ではERPといえば、「生産・財務・会計・人事・販売・調達など基幹業務と呼ばれるプロセスを効率化するための統合システム」と認識されています。

ERPで基幹系システムを統合することで、各システムで生成されるデータを統合し、分析することで経営の最適化を図ることが可能です。

いかがでしょうか?本記事ではMRPについて詳しく解説しました。MRPは現在の製造業でも欠かせない管理手法ですし、多くの生産管理システムやERPに機能として組み込まれています。MRPがなければ効率的な生産活動もあり得ません。この機会に、自社内においてどこでMRPが実施されているのか?を考えてみてください。

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