なぜ製造業はERPが必要なのか?

 2020.02.05  BizApp チャンネル編集部

日本、中国、ドイツ、米国における各国の実質GDPのうち、製造業が占める割合は以下のようになっています。

  • 日…22%
  • 独…24%
  • 中…40%
  • 米…11%

出典:経済産業省『我が国ものづくり産業が直面する課題と展望』

最も割合が高いのは中国で、製造業への依存度が大きいことが分かります。中国は「世界の工場」として発展してきた経緯があることから、製造業大国と呼ばれる日本・ドイツの約2倍にも及んでいます。一方、日本はというとドイツよりの2ポイント少ない22%ですが、米国の2倍の水準を保っています。総生産から考えると米国製造業の方が値は高いものの、日本の方が米国よりも製造業が盛んに営まれていることが分かります。

そうした製造業において、今「ERP(Enterprise Resource Planning)」の必要性が大きく叫ばれています。なぜ製造業にERPが必要なのか?本記事ではその理由について解説します。

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製造業にERPが必要な理由

日本の製造業では1990年代中ごろより、生産・購買・販売・会計・人事・給与といった基幹系システムの統合管理に対するニーズは徐々に大きくなっていきました。ただし、技術的・経済的要件によって全ての業務をERPとして統合管理するのではなく、会計と販売はERP、生産管理は個別のシステム(MES等)で対応するといったシステム環境を構築した企業が少なくありません。

いわゆる個別最適化を進めてきたことにより、一部では高い生産性を手にしましたが、一部では製造情報やその他情報の統合管理という利点を犠牲にしていました。実はこうしたシステム環境が、今になってボディブローのように効き、現代製造業の膝を崩してしまう原因になっています。

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製造業の課題

では、現代製造業が抱える課題とは何か?まずは代表的な課題から、製造業にERPが必要とされている理由を明確にしましょう。

1.二重・三重のデータ入力作業が発生している

基幹系システムの個別最適化が進められてきたことで、製造現場が抱える課題の1つが、データ入力作業の際に二重・三重の作業が発生していることです。たとえば、営業担当者が受注した製品情報を生産管理システムとは異なるシステムに入力しても、それらのデータは生産管理システムへ反映されません。生産部門では営業担当者が入力した製品情報を参照しながら、数量・生産リードタイム・予定金額・納期・顧客情報などを生産管理システムに転記しなければいけないのです。

二重・三重のデータ入力は当然ながらミスが発生しやすくなります。一度ミスが発生すると以降の処理を中断しなければいけなかったり、余剰生産になったり、後になって数字の不一致を手作業で追跡しなければいけないなどの手間が生じて生産性が著しく低下します。

2.在庫管理が非常に複雑化し適正在庫が保てない

生産工程にて使われる原材料・部品、仕掛け品の在庫以外に、それら資材から作られた製品の在庫はすべて生産管理システムで管理されています。ところが、製品在庫を受注に引き当てたり、営業担当者が在庫状況を確認したりするためには生産管理システムではない基幹系システムでも、同じ在庫情報を管理しなければいけません。

ここでも二重・三重のデータ入力が発生することから、営業担当者に正確な在庫情報が伝わらない可能性が高く、次第に基幹系システムにおけるデータの信憑性が下がっていきます。また、この時の在庫情報のズレが生産と営業を含めた混乱を招き、正しくない数量の受注等が起きることによって在庫管理はさらに複雑化し、適正在庫が保てなくなる可能性があります。

3.原価管理が煩雑になり効果的な原価低減活動に取り組めない

製品原価は仕入額だけで算定されるわけではないため、生産管理システムとその他の基幹系システムから情報を集める必要があります。しかし、各システムが個別最適化されているため自動的なデータ収集ができず、原価算定のために必要な情報を手作業で集めているのが実情です。

原価計算は期末の忙しい時期に行われることが多いため、基幹系システムが個別最適化された環境では生産管理システム・会計システム・調達システムと何度も行き来してようやく原価算定が完了するといったケースが少なくありません。その途中で計算ミスが起きれば、それまでの苦労も水の泡というものです。

4.トレーサビリティが無く品質管理問題が多発している

原材料や部品のロット番号、完成品のシリアル番号などを徹底管理できれば、仕入から製造、製造から販売までを完全にトレース(追跡)して、不良や欠品が発生した際の原因究明を素早く行うことができます。しかし、基幹系システムが分断されている現状においては、そうしたトレースが機能しない製造業は多いでしょう。

これにより品質管理問題が多発しているのにかかわらず、原因究明が遅れ、その途中で新たな品質問題が起こるという状態が続くことから顧客満足度が一向に上がらないという負のサイクルが生まれます。

5.経営情報を含めた生産情報のリアルタイム性が欠如している

生産情報をリアルタイムに更新できれば、柔軟性の高い生産計画と調達計画によって生産性を大幅に高めながら、コストの最適化が図れます。それに販売・売上といった経営情報も含めて更新されていると、組織全体の情報の流れを見ながら生産計画を立てていくことができます。

しかし、例によって生産管理システムとその他の基幹系システムが分断化されていることから、そうしたリアルタイム性は実現しません。

海外製造業の積極的なIT活用への焦り

日本の製造業に限らず、非製造業においてもIT活用の面で世界から遅れを取っていることは皆さん周知のことかと思います。日本は国民性として保守的な面があるため、レバレッジをどんどん効かせて経営を回していくような欧米企業とは違いますし、そもそもITに対して懐疑的な意見を持つ人も少なくないことから、IT活用が遅れています。しかしそれが、製造業がERPを必要としている背景にも繋がっていきます。

たとえば国という最大単位で見ても、ドイツでは第4次産業革命の実現に向けてAI(人工知能)技術とIoT(モノのインターネット)技術を駆使して、完全なるデジタル工場を目指す「インダストリー4.0」政策を打ち出したのは2011年のことです。その後、2012年には米GE(ゼネラル・エレクトリック)が「インダストリアル・インターネット」戦略を打ち出し、2015年には中国政府が「中国製造2025」を打ち出しています。日本がAI技術とIoT技術を使った製造業改革のための政策を打ち出したのは、その更に2年後の2017年です。

日本では製造業が多国と比べて発展しているのにもかかわらず、IT活用の面で大きな遅れを取っていることから日本製造業の強みを市場で活かしきれない現状が続いています。製造業にERPが必要とされているのは、単に製造業が抱える課題が深刻化してきただけでなく、世界的に見てデジタル競争に巻き込まれ、かつその市場で生き残れない可能性が大いにあるからなのです。

以上が、製造業にERPが必要とされている理由です。こうした状況は今度も深刻さを極めていくと考えられているため、多くの製造業で早急な対策が必要と考えられています。これからの日本製造業を明るく照らすためにも、1社1社がERPの導入はその他の方法での基幹系システムを統合することが大切です。

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