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今さら聞けない運用と保守の違いについて

現場でしばしば混同されがちな「運用」と「保守」。これらの違いをすっきりと分けることで、日々の業務効率が向上することもあります。知っているようで意外と知らない運用と保守の違い。今回は両者の違いを明確にして、日々の運用・保守業務を見直すきっかけとしていただければ幸いです。

今さら聞けない運用と保守の違いについて

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運用と保守の違い

それでは早速、運用と保守の違いをご紹介します。定義は企業によって若干異なるところもありますが、一般的な解釈としては「日常的な管理やメンテナンス」が運用、「イレギュラーに発生する出来事への対処」が保守と呼ぶことが多いでしょう。

では、製造業を例に挙げてみましょう。

生産現場では製造ラインの機械や設備の微調整(メンテナンス)を行って不良率を低減し、研磨機などにおいては消耗品を交換したりといった作業が日常的に発生します。これは「運用」に分類される作業です。また、定期的に機械・設備の稼働状況を確認するようなメンテナンス項目も「運用」に含まれます。

一方で、製造ラインの機械・設備に何らかの出来事が起こり、正常通り動作できない、あるいは動作できなくなる可能性が高い場合において原因を究明し、対処するのが「保守」ということになります。

IT業界においては、システムを正常に動作させるために日常的なハードウェア・ソフトウェアの管理が「運用」となります。例えばシステムパフォーマンスを随時チェックしたり、マルウェアの感染や不正アクセスを監視するのも「運用」のうちです。ECサイトなど直接的に収益を生み出すような事業の場合、ユーザーが常に快適にサイトを利用できるように24時間365日体制で運用を続けます。

これに対し「保守」とは、やはりイレギュラーに発生する事象への対処を意味します。突然のマルウェア感染や不正アクセス、あるいはシステム障害によってダウンしたサーバーなどを復旧させるための作業です。

運用と保守を切り分ける必要はあるのか?

それでは企業は運用と保守をどう切り分ければ良いのでしょうか?

結論から言えば、「企業のリソース状況に応じて運用と保守を切り分けるのが正解」です。運用と保守の違いについて前述しましたが、多くの企業は明確な境界線を持っていません。このため、運用と保守を混同したままの状態で事業運営を行っています。これは、リソースが限られている中小企業等では特に問題視されないでしょう。機械設備やシステムの利用範囲も限定的なので、わざわざ運用と保守を切り分けなくても十分に機能することが多いのです。

一方、一定のリソースが確保されている中堅・大企業の場合は運用と保守を切り分けて考え、それぞれの部門またはチームを設置することが大切です。同じように思えて実は運用と保守とでは求められるスキルが異なるため、十分なリソースが確保できている場合は運用部門と保守部門を分けることが望ましいでしょう。

ちなみに運用に求められるスキルというのは、機械・設備やシステムに対する基本的な知識と、運用マニュアル通りに管理を実施する正確性です。そしてもう1つ、現場とのコミュニケシーション能力も求められます。

実際に機械設備やシステムを利用しているユーザーの声を積極的に聞いて、ちょっとしたパフォーマンスの低下も見逃さないためには日々のコミュニケーションが重要になります。

それに対して保守を手掛ける人材は、機械・設備の内部構造やプログラム、システムのデータベースやネットワークなどに関する専門的な知識とスキルが求められます。また、トラブルが発生した際に原因を速やかに究明し、暫定対策を即座に講じてその間に恒久対策を考案するような論理的思考も重要です。

「1人情シス」問題を解消するには?

中堅・中小企業の間で問題視されている「1人情シス」とは、たった1人の従業員が情報システムの運用・保守を担当している状況を指します。しかもその大半が専門的な知識やスキルを備えている人材ではなく、「ちょっとパソコンに詳しい」くらいで情報システム担当者として任命されているのですから、問題が無くなりません。

前述のように運用ならば一般的な知識とスキル、そして誠実な性格と高いコミュニケーション能力があれば活躍できる分野です。しかし保守に関しては違います。システムに関する深い知識と特別なスキル、そして論理的思考が求められるため「ちょっとパソコンに詳しい」くらいでは負担が重すぎるのです。特に従業員数が100名を超えるような企業での「1人情シス」では、地獄と言えるほど多忙な日々を過ごすことになります。

「1人情シス」状況にある第1の問題は「情報システム担当者の負担が計りしれない」ことです。ネットワークが遅い、エクセルが動かない、プリンターが紙詰まりしている、サーバーにアクセスできない、こうした声が日々大量に寄せられ、複数の部門を飛びまわらなくてはいけません。正直それだけで手一杯にもかかわらず、日々の運用業務もこなさなくてはいけないのですから、多忙中の多忙です。「1人情シス」によって不眠症やうつ病を患う人もいます。

そして第2の問題は、「積極的なIT投資による事業展開ができない」ことです。「1人情シス」状況にある企業は単純にリソースが不足しているというよりも、ITに対して消極的な姿勢の経営者が多いでしょう。つまり、「システムが正常に稼働しているから現状のままで構わない」という考えが「1人情シス」問題に発展しています。

しかし、IT環境の現状維持は様々なトラブルを引き起こす引き金になる可能性が高く、あるいはビジネスの成長性を止めて競合他社に市場シェアや顧客を奪われることになるでしょう。

運用と保守の違いについてご紹介しました。両者の違いが理解できたら、次にそれを切り分けることができるか?社内リソースで対応できるか?などを考え、クラウドサービスの利用をご検討ください。

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