注目度の高いRPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)市場にて、2020年4月にいよいよマイクロソフトが本格的に参入し、「Power Automate(パワー・オートメイト)」をワールドワイドでリリースしました。Power Automateはどのような特徴を持ち、他のRPAと何が違うのか?本記事ではその概要を解説していきます。

Power Automateとは?
まずは、Power Automateの前身となったサービス「Microsoft Flow(マイクロソフト・フロー)」の概要をおさらいます。Microsoft Flowは同サービスがサポートしているコネクタ(マイクロソフト製品を含む様々なアプリケーション)を組み合わせて、ユーザーが独自に自動化処理を構成し、タスクの自動化を実現するサービスです。豊富なコネクタが存在し、GmailやEvernoteなど馴染みのアプリケーションやSQL Serverなどのデータベースもコネクタとしてサポートされていました。ちなみにサポートされているコネクターはこちらからご確認いただけます。
では本題に戻ります。Power Automateは、上記に説明したMicrosoft Flowの繰り返し作業の自動化を支援するRPA機能「UI Flow(ユーイー・フロー)」を追加し、新しいブランドとして生まれ変わったRPAです。UI flows を用いれば、Robotic Process Automation (RPA: ロボットによるプロセスの自動化) 機能が Windows および Web アプリケーションで繰り返し発生するタスクを自動化できます。 UI flows は、使いやすい API やAPI が使用できないアプリケーションのために、ユーザー インターフェイス アクション (クリック、キーボード入力など) を記録して再生します。また、多様なアプリケーションとクラウドサービス間の自動ワークフローを作成し、ファイルの同期や通知の受信、データ収集などを気軽に行うことができます。
Power Automateはデータの収集から解析、予測まで最小限のコーディングで可能にするマイクロソフトのビジネスプラットフォーム「Power Platform(パワー・プラットフォーム)」を構成するサービスでもあります。
Power Automateの特徴
マイクロソフト製品は色々と使いやすいものが多い中、Power Automateはどのような特徴を持ち、私たちにどのようなベネフィットを提供してくれるのでしょうか?
特徴1. テンプレートを活用して自動ワークフローを素早く作成
日本では続々とRPA製品が誕生していますが、あるようで無かったのがテンプレート機能です。RPAは通常、パソコン上の作業手順を記録してプログラムを自動生成するため、ユーザーが自動ワークフローを作成する環境によってソースコードが変化します。そのため、テンプレート機能の実装が難しいのです。一方、Power Automateはアプリケーションやクラウドサービス間の連携に特化しているため、テンプレートがいくつか用意されておりそれを活用すると自動ワークフローを素早く効率的に作成できます。
特徴2. 直感的な操作で非エンジニアでも作成できる
マイクロソフト製品のUI(User Interface:ユーザー・インターフェース)の特徴といえば、ExcelやPowerPointのような直感的操作によって学習コストを低減できることです。もちろん、Power Automateもその例に漏れず、直感的な操作によって非エンジニアでも気軽に自動ワークフローが作成できるようになっています。
特徴3. クラウドネイティブサービスによるコストの最適化
Power Automateはクラウドプラットフォームである「Microsoft Azure(マイクロソフト・アジュール)」上でサービスが提供されています。このため、必要なリソースを必要な時に合わせて利用できるため、RPAのコスト最適化を実現します。また、Microsoft Azureのセキュアな環境をそのまま反映しますので、セキュリティ性も高められます。
特徴4. サービス間連携に強く信頼性の高いワークフローが完成する
Power Automateで現在連携できるコネクタの数は335種類です(2020年4月時点)。前年末では275種類だったものが、半年未満で60種類増えています。Dynamics 365やOffice 365などのマイクロソフト社製のクラウドサービスはもちろん、SlackやGitHubなどエンジニアに人気のサービス、FacebookやTwitterなどのSNS、BoxやSalesforceなどビジネスで一般的に利用されているサービスも連携できます。コネクタの種類は今後も順次拡大していく予定です。
特徴5. プログラミング・データサイエンス知識ゼロでもAIが利用可能
マイクロソフトは2019年6月に、プログラミングやデータサイエンスなどの専門知識が無くても誰でも簡単にAIを利用できる、「AI Builder(エーアイ・ビルダー)」をリリースしています。AI Builderを利用することで集計したデータを自動的に分析し、レポート出力まで行えます。
特徴6. モバイルからの操作も可能で自由度の高い自動化を実現
Power AutomateではWindows Phone、Android、iOSのモバイルアプリケーションが用意されています。つまりモバイルデバイスからでも自動ワークフローの作成や管理、アクティビティの監視などが行えるため、場所や時間にとらわれずにPower Automateが利用できるようになります。
Power Automateのプランと価格
以上のように、Power Automateは他のRPAには無い特徴があり、様々なベネフィットをもたらしてくれます。このPower Automateを利用するための価格はいくらなのか?気になる方も多いでしょう。
ユーザー別のライセンス
特定のユーザーにPower Automateでの自動ワークフロー作成権限を付与して、自由に活用させたい場合はこちらのライセンスが最適です。
ユーザーごとのプラン
個々のユーザーが独自のニーズに基づき、無制限にフローを作成することを許可する
1,637円/ユーザー/月
手動RPAを含むユーザーあたりのプラン
個々のユーザーに無制限のフロー作成、またはロボットプロセスの自動化(RPA)とAIを使用したレガシーアプリケーションの自動化を許可する
4,365円/ユーザー/月
フロー別のライセンス
組織単位で作成する自動ワークフローを管理し、全体を統制しながらPower Automateを活用したい場合に最適です。
フローごとのプラン
組織全体で無制限のユーザーに提供される予約容量を持つフローを実装する
54,555円/5つのフロー/月
Power Automateのアドオン探索
AI Builder
自動ワークフローにてAIを使用する
54,555円/ユニット/月
自動RPAアドオン
ロボットプロセスの自動化(RPA)を使用して、ユーザーとの対話を必要とせずにバックエンドプロセスを自動化する
16,367円/ロボット/月
※フローあたりのプラン、手動RPAを含むユーザーあたりのプランが必要
フリートライアルで自動ワークフローを始めてみよう!
Power Automateはユーザーごとのプランにおいて無料で試用できるフリートライアルが用意されています。連携可能なコネクタは限定されますが、Power Automateの自動化を体感できるので、この機会にまずはフリートライアルから自動ワークフロー作成をスタートしてみてください。
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