製造業の生産管理とERP

 2019.08.05  BizApp チャンネル編集部

ものづくり大国とも呼ばれる日本。その製造業では、従来品質と納期を重視し、顧客満足度が高ければ多少の過剰在庫や材料費の増加、人件費のかさみ、無理な出荷スケジュールには目をつぶる傾向がありました。ただし、現状はそうもいかない問題が発生しています。

消費者は自分が購入・利用する商品を今まで以上に見極めるようになり、すべての世代でモノ離れが起きています。特に若年層でのマイカー離れなどは深刻で、世界的な価格競争の波が押し寄せています。

これからの製造業では、品質も納期も維持しながら生産コストを極力下げ、経営やビジネス資源の最適化を実現する必要があるのです。経営戦略に生産管理を組み込み、分離した運営ではなく一体化させた運営によって、双方を改善していくことが求められています。これを可能にするのがERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズリソースプランニング)です。

本稿では、製造業における生産管理とERPの関係についてご紹介します。

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生産管理とは?目的と課題を整理する

生産管理は生産計画に始まり、調達計画、工程管理、品質管理、在庫管理、原価管理など多岐にわたる業務を総合したものです。企業によっては販売工程までの管理を含めて生産管理を呼ぶこともあります。生産ラインのトラブルを未然に防ぎ、一定品質を保った製品を生産するプロセスだけを管理するのが生産管理ではありません。一般的には、以下のような業務が発生します。

  • 経営計画や販売計画にもとづき、出荷計画と生産計画を立てる
  • 生産に必要な能力(生産能力)を算出・提出し、予算を得る
  • 予算に応じた治工具の手配、並びに仕入先選定を行う
  • 生産能力に応じて人員を手配し、生産の段取りを立てる
  • 受注に対する納期回答を行う
  • 生産に応じた資材調達を手配する
  • 品質管理と連携し、品質の維持と改善を行う
  • 生産状況全体の進捗を管理し、問題があれば都度対応する
  • 標準原価の設定と、実際原価との差異分析を行う
  • 生産の可視化と業務負担の平均化によるリソースの有効活用

基幹システムに関するお役立ち資料

日本では古くから製造業が営まれており、品質や生産数などの実績も世界的に評価されています。どの企業でも生産管理が当たり前に行われていますが、その認識と管理の対象が、現代ビジネスに即していない可能性があります。そのため、一度生産管理について定義をし直し、自社の生産管理と照らし合わせてみると、どんな問題が発生しているかが明確になります。現代製造業がよく抱えている課題は次の通りです。

  • 製造ラインや部門ごとの生産負荷を標準化することが難しく、生産性が低下し従業員に格差が生まれる
  • 手作業が多く介入することで手配漏れや誤発注が発生し、仕入先や顧客に迷惑がかかることが多い
  • 不良率管理が適切にできず、「ムダ」が無くならない
  • データをもとに生産計画や調達計画を立てたつもりが、状況に即していない
  • 部署間が対立関係にあり調整が難しく、生産管理担当者が各部署の板挟みになっているケースがある
  • 各部署とのコミュニケーションが円滑に行えないことで生産性が低下し、顧客満足度も低下しつつある

生産管理システムとERP

多くの製造業では、多岐にわたる生産管理業務を効率化し、生産情報を統合的に管理するために生産管理システムを構築しました。調達計画、工程管理、品質管理、在庫管理、原価管理などをシステム上で行うことで生産性向上を目指します。ただし問題は、多くの製造業が生産管理システムを導入時のまま使用しており、生産機械や工程とのデータ連携が取れていなかったり、計器類のデータは目視で確認する必要があり生産工程が徐々に肥大化したりしていることです。

近年製造業で話題になってインダストリー4.0やスマートファクトリーは、こうした生産管理の課題を解決するためにITを駆使した事例です。生産管理システムと生産機械や生産工程のデータを連携させることで、生産管理に必要な大量のデータを効率良く収集し、調達計画、工程管理、品質管理、在庫管理、原価管理などの業務を効率良く実行することで生産性を向上させます。

さらに、そうしたモダン(近代的)な生産管理に欠かせないとされているITがERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズリソースプランニング)です。直訳すると経営資源計画、意訳すると統合基幹システムとなります。

ERPは生産管理に必要な機能だけでなく、財務会計、人事管理、購買管理、販売管理に至るまで必要な機能を一気通貫で提供しています。要するに、今まで部署ごとに分断していた基幹システムが1つに統合されているシステム基盤ということです。

製造業では販売部門の計画や販売予測にもとづき、生産計画が決定していきます。そこから調達計画、仕入管理、在庫管理とさまざまな業務に派生していくわけですから、生産管理だけを最適化すればよいわけではありません。

ERPがある環境ではロット数の確定からそれに見合った部品の調達、適正在庫の保管料に至るまですべてがERP上に情報として反映されます。これらの情報を各部署で共有することで、生産と販売の足並みをそろえて、営業部門との会議や結果の見直しにかける手間を削減できます。

さらに、最新ERPを導入しモダンな生産管理の仕組みを構築すれば、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)との連携による、インダストリー4.0やスマートファクトリーを実現することも視野に入れられます。近年のERPはIoTやAIとの連携インターフェースを持ち、中にはAIが組み込まれている製品もあります。

企業が目指す生産管理の理想像を明確にした上で、適切なERPを選択・導入することで生産管理の効率化や生産性向上など、さまざまな効果を得つつ事業拡大に向けた取り組みを進めることが可能です。

生産管理に効くERPの選び方

一般的に、生産管理の効率化等を主体としてERPを選択する際は、製造業に特化したERPを選ぶというのが定着しています。ただし、生産管理の性質を見つめ直すと、そうした選び方が適切ではないことが分かります。

前述のように、生産管理は生産管理で発生する情報だけで成り立っているのではありません。販売管理や購買管理、はては財務会計や人事管理などあらゆる情報と連結することで、初めて生産管理の利点を最大化し、効率化と生産性向上を実現します。従って、生産管理に特化したERPだけに目を向けるのではなく、総合的視点から生産管理の理想像を実現するERPを選択することが大切です。

このことを念頭に置いておけば、生産管理を起点として効率化や生産性向上が行いやすくなります。さらに、独自のプラットフォームを提供して業務アプリケーション作成を支援するERPにも注目しましょう。細かい機能要件を満たすことで、より生産管理の理想像に近づくことができます。

この機会に、生産管理のERPの関係についてぜひ見つめ直してみてください。

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