プロジェクト会計は一般の会計と何が違う?

 2018.05.29  BizApp チャンネル編集部

一般的な会計は、会社の収支を記録し、最終的には財務諸表などで一定期間(会計年度)の経営状況をステークホルダー(株主や投資家など)に開示するための業務です。また同時に経営者自身が会社の経営状況を把握して、適切な舵切りをするための材料とします。

つまり会計には、決められたルールに従って情報を開示する役割と、経営判断のための材料とする役割の2つの側面があります。前者を財務会計、後者を管理会計と呼んで区別することもあります。

ではプロジェクト会計とは何でしょうか?まず上記どちらの役割に該当するかというと後者の経営判断のための材料のひとつに分類されます。ただしプロジェクトごとの会計なので、経営というよりも「プロジェクト」という単位で意思決定を下していくための判断材料になることが多いでしょう。

今回はプロジェクトマネージャーやシステムエンジニアなどプロジェクトにかかわる人には欠かせないプロジェクト会計について詳しく解説していきます。

プロジェクト会計は原価計算とほぼ同じ

プロジェクト会計を簡潔に言い表すなら、それは「プロジェクトの原価計算をすること」です。原価計算を徹底すればプロジェクトにどれくらいの費用がかかっているかを把握し、それに応じて都度必要な意思決定をしていくことができます。プロジェクト会計には他にも次のような目的があります。

もっと見る:原価計算って何?その目的と種類について

目的①原価を常に意識して赤字プロジェクトを阻止する

プロジェクト会計を実施していない現場では、プロジェクトが完了して蓋を開けてみると赤字だったというケースが少なくありません。特にソフトウェア開発では原価のほとんどが人件費なので、原価を常に可視化していないとあっという間に予算を超過してしまいます。

目的②メンバー全員にプロジェクトの利益を意識させる

会社が経営していくための資金はプロジェクトからの収益で調達します。人件費をはじめとする販売管理費も当然そこから捻出されることになるので、確実に利益が出るプロジェクトにしなければなりません。メンバー全員がプロジェクトの利益を意識できるようになれば、より利益率の高いプロジェクトになります。

目的③適切な会計処理を行うために

プロジェクトにかかった費用や得た利益は最終的に会計処理をして計上していくわけですが、プロジェクトごとに会計を実施していないと正確な会計情報にならない可能性があります。適切な会計処理を行うためにもプロジェクト会計は欠かせません。

この他にも会社によってプロジェクト会計の目的は多岐にわたるでしょう。

基幹システムに関するお役立ち資料

プロジェクト会計の仕訳勘定科目

一般会計と違ってプロジェクト会計の仕訳勘定科目は限られています。ここでは原価計算基準の「費目別計算における原価要素の分類」より抜粋してご紹介します。

①直接材料費

製造業において商品を製造するために直接的にかかった材料費を指します。主要材料費(原料費)、購入部品費が該当します。

②直接労務費

製造ラインに投じた人件費など、商品を製造するにあたって直接的にかかる労務費を指します。

③直接経費

外注加工費など、商品を製造するにあたって直接的にかかる経費を指します。

④間接材料費

直接的ではないにしろ、商品を製造するにあたって不可欠な材料費を指します。補助材料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費が該当します。

⑤間接労務費

賞与や福利費など製造には無関係なところで人材にかかった費用を指します。間接作業賃金、間接工賃金、手待賃金、休業賃金、給料、従業員賞与手当、退職給与引当金繰入額、福利費(健康保険料負担金等)が該当します。

⑥間接経費

機械設備の減価償却費など、商品の製造に間接的に関わる費用を指します。福利施設負担額、厚生費、減価償却費、賃借料、保険料、修繕料、電力料、ガス代、水道料、租税公課、旅費交通費、通信費、保管料、たな卸減耗費、雑費が該当します。

引用:原価計算基準

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プロジェクト進行中の財務会計について

プロジェクト会計を実施する際に必ずと言っていいほどつまずく点は「プロジェクト進行中の財務会計は費用が計上されない」ということです。財務会計上は一定の会計期間内にどれくれいの収入と支出がありどれくらい利益が出たか、資産や負債はどのようになったかという情報を記載します。そのため、プロジェクトにかかった費用は当然このなかで計上されることになります。

しかし、プロジェクト進行中は一般的には費用が計上されず正確な財務会計が行えない可能性があるのです。プロジェクトは完成時に収益と費用をまとめて計上することがあり、途中は仕掛品として資産計上しておくことがあります。たとえば2018年4月から2019年3月の12か月間にわたったプロジェクトにおいて、エンジニアの給料が毎月300,000円だとすると、貸借対照表(B/S)の資産に該当する「仕掛品」として毎月積み上がっていきます。毎月の仕訳は次のようになるでしょう。

  • 2018年4月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年5月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年6月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年7月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年8月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年9月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年10月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年11月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2018年12月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2019年1月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2019年2月 仕掛品 300,000 / 現金300,000
  • 2019年3月 仕掛品 300,000 / 現金300,000

以上のように仕掛品が積み上がっていくので12ヵ月間で360万円が資産として計上されています。そして2019年3月にこの成果物が400万円で引き渡されると、ようやく売上が計上され、仕掛品(B/S科目)から製造原価(P/L科目)として振り返られ費用が立つことになります。

  • 2019年3月 現金4,000,000 / 売上4,000,000
  • 2019年3月 人件費3,600,000 / 仕掛品3,600,000

なので財務会計上は2019年3月に360万円の製造原価がかかったという状態になります。

しかしこれでは毎月の費用を計上していないので適切な財務諸表を作成することはできません。たとえば会計年度末が12月であった場合には、それまでの費用は計上されず、仕掛品の270万円が資産として計上されているのです。さらに管理会計の側面から見ても経営者はプロジェクトにどれくらいの費用がかかっているかを正確に把握できないため、有効な意思決定が下せません。

そこで管理会計上の収支とは別に毎月の仕掛金発生額を参考情報として帳票に埋め込み、毎月の費用を正確に把握できるようにします。収支とは無関係な参考として費用発生額を提示するため、財務諸表のルールを変えずに経営者はプロジェクトに対して適切な情報を入手することもできます。

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プロジェクト会計に欠かせないソリューションとは

では、こうしたプロジェクト会計に欠かせないソリューションとは何でしょうか?それは会計業務に特化したシステムではなく、プロジェクト管理や財務会計など複数のシステムを統合したERPソリューションではないでしょうか。

たとえばMicrosoftが提供するDynamics 365では、基本となる財務会計システムに加えてプロジェクト管理のためのシステム、営業支援システムなど複数のシステムがあらかじめ統合されています。もちろん、利用したいシステムを任意に選択して自由に組み合わせることも可能です。

最低でも財務会計システムとプロジェクト管理システムが統合されていれば、プロジェクト会計の難易度はグッと下がることでしょう。そうすれば、適切なプロジェクト会計を実施して進捗を具体的に把握したり、原価に応じた意思決定を下していくことが可能です。

プロジェクト会計を徹底した赤字プロジェクトを根絶したいと考えている方は、Dynamics 365の導入をぜひご検討ください。

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