急激に移り変わる小売業界 ─ 荒波に負けないデジタルトランスフォーメーション

 2020.02.26  BizApp チャンネル編集部

本記事ではマイクロソフト主催セミナー「消費者行動をオフラインからオンラインに繋げる!
デジタルシフト・OMO顧客戦略最前線」を記事化させていただきました。


本セミナーでは、デジタルで“つながる”小売業―DX(デジタルトランスフォーメーション)が企業変革の最優先課題となる中、どのような取り組みが進んでいるのか、日米小売業の最新のDX戦略を具体的な事例と、最先端のテクノロジートピックを交えてご紹介されました。

急激に移り変わる小売業界─荒波に負けないデジタルトランスフォーメーション

講演者

日本マイクロソフト株式会社
マーケティング&オペレーションズ ビジネスアプリケーション事業本部
プロダクトマーケティングマネージャー
兼城ハナ氏

日本マイクロソフト株式会社
マーケティング&オペレーションズ ビジネスアプリケーション事業本部
坂口勇磨氏

日本マイクロソフト株式会社
マーケティング&オペレーションズ ビジネスアプリケーション事業本部
野村圭太氏

株式会社日立ソリューションズ
産業イノベーション事業部 ポストモダンERP推進センタ 主任技師
林由紀雄氏

変わる消費者と変われない企業

小売業ほど、めまぐるしく移り変わってきた業界はないかもしれません。デパートでの買い物が一大イベントであった昭和の時代も、後半になると多数の店舗が入る大型商業ビル(ビッグボックスストア)が立ち並び、21世紀初にかけてインターネットとEコマースが急速に普及しました。Eコマースが一般的になると、ネットとリアルの融合を目指すオムニチャネルが流行。最近はAIやIoTなどを積極的に活用する「インテリジェント・リテール」が注目されています。

日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ ビジネスアプリケーション事業本部の兼城ハナ氏は、「小売業ほどITを活用している業界はありません」と評します。オンラインショッピングが生活の一部になり、2,000億ものIoTデバイスが消費者を取り巻く時代。現代の小売事業者にとって、データは貨幣と同等の価値を持つものと言えます。

ただモノを売る時代は過ぎ去り、OMO(Online Merges with Offline)でパーソナライズされた“購買体験”を提供する「コネクテッドコマース」の時代に入っています。ある調査によれば、モバイルなどのカスタマージャーニーを把握している企業は20%に止まるのに対し、70%の消費者はそうしたデータを実店舗でも把握しておいてほしいと考えているそうです。

「すでに消費者は、実店舗でモバイルのカスタマージャーニーを把握しておいてほしいと考えるようになりました。店舗スタッフは、多様な顧客のニーズに多様な接点で応えることが期待されています。ところが多くの現場では、いまだに紙とペンを持って、電話とPOSのみで顧客対応に追われているのです。60年前(のデパート)からまったく変わっていないのです」(兼城氏)

基幹システムに関するお役立ち資料

こうした企業のニーズに対して、膨大な数のマーケティングテクノロジー/ツールが提供されています。しかし、それらを1つにつなぐことは非常に困難です。多様な大量のデータを手に入れられたとしても、それらをまとめて理解する術がないのです。

マイクロソフトが理想とするのは、“統一”されたカスタマーソリューションの姿です。パーソナライズを実現するデータプラットフォームと機械学習を組み合わせて、多様なデータからその意味を引き出すものなのです。一塊の巨大なソリューションではなく、モジュラー型でモダンなビジネスアプリケーションとして提供されます。データがサイロ化することなく、意味づけ・関連付けされたデータをAIで分析することができます。共通のデータモデルを持つため使いやすく、統合されたUI/アプリケーションとしてさまざまな用途に活用できます。

「ツールとデータで強化されたスタッフは、顧客の購買体験を大幅に向上します。モバイルデバイスの貸与によって、売上が77%も向上したという例もあります。不慣れなジュニアスタッフも、分析データの提供によってアクションに気づきをもたらすことができ、大幅な売上増につながったという例もあるほどです」(兼城氏)

MR技術でスタッフを強化する

小売業の業務をサポートするツールとして、マイクロソフトではMR(Mixed Reality)技術に着目しています。店舗運営にパソコンを用いるのは一般的で、最近ではスマートフォンを用いるシーンもよく見られるようになりました。スマートフォンは確かに軽量小型で便利ですが、画面が小さいという欠点もあります。

「旧来のデバイスの制約を取り払い、(目に見える)すべての空間をスクリーンとして活用できるのがMRです。『Microsoft HoloLens』は、あたかもそこに存在するかのようにデジタル情報を3Dで表示できるMRデバイスです。例えば、英国のある大型家具販売店では、HoloLensで3D表示された部屋に家具を置いて形や色味を試すサービスを開始しています。顧客の80%がHoloLensの体験を通じて購買を決めており、コンバージョンレートは30%向上、購入を決めるまでのリードタイムは半分に短縮されました」と、日本マイクロソフト マーケティング&オペレーションズ ビジネスアプリケーション事業本部の坂口勇磨氏は説明します。

マイクロソフトでは、このほかにもさまざまなアプリケーションを提供しています。例えば飲食店では、調理器具の使い方をHoloLensを通じてリモートでレクチャーできます。自動車のディーラーでは、HoloLensにマニュアルを映すことでスピーディな修理・メンテナンスを実現できるようになります。家具店の例と同様に、すでに検討されたり実証実験されたりしている使い方で、各社が実サービスに向けて積極的に取り組みを進めているとのことです。

Microsoft Dynamics 365に含まれる「Product Visualize」もMRを技術を使ったアプリケーションです。タブレットなどを用いて現実の映像に3Dの製品モデルを表示することができます。大型の製造機械などを実際に設置したときの状態を見ることで、使い勝手や問題点などを正確に把握できるのです。

小売事業者に力を与えるMicrosoft Cloud

冒頭で述べたように、小売業界には大きな変革の波が押し寄せています。消費者のほとんどがデジタルデバイスで商品を調査する“デジタルショッパー”となり、コネクテッドコマースとパーソナライズされた購買体験を重視するようになりました。しかし一方で、小売取引のほとんどはいまだ実店舗で行われているという事実もあります。

「小売事業者の経営者・マネジメント層は、こうした波にしっかりと乗るための新たなツールを必要としています。顧客、現場スタッフ、リーダーに向けて最新のストアエクスペリエンスを提供するため、マイクロソフトはインテリジェントな小売──“顧客を知る”“従業員に力を与える”“インテリジェントサプライチェーンの提供”“小売業の再考”という4つのパワーを実現します」

Microsoft Cloudは、オフィスソリューションの「Microsoft 365」、クラウドインフラの「Microsoft Azure」、そしてビジネス支援の中核となるMicrosoft Dynamics 365で構成されます。Dynamics 365は、MRやモバイルといったモダンな技術に対応し、あらゆるデータを統一的に連係、AIやアナリティクスなどのインテリジェントな機能が統合されており、カスタマイズ性やスケーラビリティなど変化するニーズへの適応力に富んでいます。

特に小売業向けのソリューションとしては、「Dynamics 365 Retail / Commerce」が用意されています。オムニチャネルに対応し、モダンなカスタマーエクスペリエンスを提供できるようになります。従業員を支援する機能が豊富で、高品質なサービスの提供に役立ちます。業務レポートや在庫管理など日々のオペレーションはアプリで簡素化され、統合されたデータで戦略とマーチャンダイジングが強化されます。費用対効果の高いサプライチェーンを構築し、あらゆるチャネルで統一的なビジネスプロセスを適用できるようになります。

小売事業者に力を与えるMicrosoft Cloud

クラウドサービスとして提供されるDynamics 365は、インフラの調達や運用に悩まされることなく、開発・検証環境の用意にかかる負荷も大幅に縮小できますし、ディザスタリカバリ環境の構築も容易です。標準のBIツールも非常にパワフルで、さまざまな活用方法を見いだすことができるでしょう。

小売業はDynamics 365で進化する

すでに先進的なユーザーは、Dynamics 365を活用して大きな効果を得ています。日立ソリューションズが提供してきた活用例を何タイプか簡単に紹介しましょう。

1つ目は、顧客ロイヤルティの向上を支援するソリューションです。SNSなどの発達で、ロイヤルティの高い顧客を育てることがこれまで以上に重視されています。

ある企業では、従業員の顧客サービスを強みとしていました。この品質を維持しつつ、業務の標準化・効率化を進めたいと考えていました。中核となる店舗・顧客・本部の管理プラットフォームとしてDynamics 365を導入。顧客管理と購買データを連係し、店頭とマーケティングに活用すると共に、店舗・本部システムを標準化して効率化を図りました。

2つ目は営業・マーケティング領域でのAI活用の事例です。来場施策、販促・キャンペーン、顧客ロイヤルティの向上と離反防止、見積もりやルート営業支援など、さまざまな領域でAIの活用が期待されています。

ある企業では、訪問先のデータを基にルート営業を最適化して効率を向上したいというニーズがありました。そこで、訪問先のレコメンド・営業エリアの統計データの可視化・需要予測といった情報を地図にプロットし、さらにAI技術を応用してそれらを相互に分析、訪問すべき販売店を地図上でレコメンドするという仕組みを構築しました。営業効率を向上するほか、訪問先選定の偏りを解消する効果も得られています。

3つ目は画像解析AIを活用した省力化です。「Microsoft Azure Cognitive Services」は、画像解析や音声認識、言語識別、推測・予測、検索など学習済みのAIをWeb APIとして利用できるサービスです。個別のトレーニングデータが少なくとも、ある程度の高い精度を簡単に得られるツールです。

日立ソリューションズはゴディバ ジャパンと共同で、スマートフォンを利用した商品情報検索アプリケーションの実験を行いました。普通のAI開発では、少なくとも1品あたり1,000枚の教育データが必要となりますが、Azure Cognitive Servicesを活用すると5~10枚程度で高精度な結果を得られたとのことです。

ほかにも日立ソリューションズでは、SNSと販売・在庫データを機械学習で分析し、“Dynamic Pricing”を実現するソリューションの開発も進めています。

「当社は国内だけでなく、米国・欧州・東南アジア・インドなど全世界に多くのDynamics 365プロフェッショナルを抱え、数多くの導入実績を誇ります。マイクロソフトとの強力なパートナーシップを維持し、グローバル展開・グローバル経営を図る企業をITでトータルにサポートします」と、日立ソリューションズ 産業イノベーション事業部 ポストモダンERP推進センタ 主任技師の林由紀雄氏は述べています。

ソリューション詳細は以下をご覧ください。

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SAP移行アセスメント
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