経営/グローバル

小売業の一般的な課題と解決策

「モノが売れない時代」だとよく言われている昨今、その理由について真剣に考えたことはありますか?

数ある業界の中でも小売業界は現在さまざまな課題を抱えており、各企業ではその解決が急務とされています。そもそも小売業界は常に時代ごとの変化による影響を受けやすい業界であり、人口や流行などの影響を直に受けます。

そうした小売業界の中で生き残り、なおかつ成長してくためには時代ごとの課題を解決し、競合よりも一歩先を行くビジネスを展開しないといけません。

本稿では、そんな小売業界の一般的な課題を解決策についてご紹介します。

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本当に「モノが売れない時代」なのか?

「モノが売れない時代」とはよく言われていますが、実際にモノが売れていないのかどうかについて考えてみると意外な事実に気づくことができます。

まず、経済産業省が発表した調査によると、2017年日本のEC市場(BtoC)は16.5兆円であり、前年の15.1兆円から9.1%も伸びています。

EC化率は5.79%なので、ここから算出するにBtoC市場全体の規模は約290兆円ということになります。前年のEC化率がこれより0.36ポイント低い5.43%なので、前年のBtoC市場全体の規模は約280兆円です。つまり、BtoC市場全体での規模は2016年から2017年にかけて10兆円増加しています。

このことから、少なくともEC領域については必ずしもモノが売れないというわけではないことが読み取れます。では、なぜ「モノが売れない時代」だと言われているのでしょうか?そこには消費者の多様化する購買行動が関わっています。

小売業界最大の課題「ショールーミング化」

皆さんは「ショールーミング化」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは、本来モノを販売するはずの店舗が、まるでショールームのようにモノを下見するだけの場所になってしまうことです。現代の小売業界ではこのショールーミング化が深刻な問題になっています。

その理由の1つが「急速なデジタル化社会」です。IT(ICT)の発展によって我々の生活が豊かになり、利便性の高いサービスが多く登場しています。その代表的なモノがインターネットとスマートフォンでしょう。

今や老若男女インターネットを使用したことがないという人はいませんし、総務省の発表によれば日本全体でのスマートフォン普及率は56.8%に達し半数を超えています。年代別で見ると20代~30代では9割を超えており、ほとんどの人がスマートフォンを所持しています。さらに50代でも63.1%と高い普及率があり、スマートフォンは今や我々の生活に無くてはならない存在です。

このインターネットとスマートフォンという2大IT変革が、消費者の購買行動を激変させたのです。

テレビCMや新聞広告等のマスマーケティングが主流だった時代では、消費者の情報源は非常に限られていました。そのため消費者の購買行動は限定的で、最終的には店舗に足を運んで欲しいものを購入します。

これがインターネットとスマートフォンが普及するにつれて、消費者は欲しい情報を欲しい時に、自ら取得できる時代が到来します。消費者にとっては色々な事前調査を行なってから購入するモノを見極められるので、多くのメリットを享受しています。そして次第に、Eコマースが市場全体に大きな影響を与えるようになります。

Eコマースとは「Electronic Commerce(エレクトロニック・コマース)」の略であり、一般的にはインターネットショップサイトを通じた取引を指します。楽天市場やAmazonといった大型のEコマースサービスが市場を台頭することで、消費者の選択肢は非常に多様化しました。

しかも、Eコマースで購入するモノは中間マージンがかからないことで低価格なことが多いため、消費者の購買行動は急速にEコマースへと集中していきます。その中で起きている問題がショールーミング化です。

消費者は店舗に足を運ぶものの商品を下見するだけにとどまり、店舗を後にすれば同じ商品を最安値で販売しているEコマースをスマートフォンで検索します。この行為自体は時に合理的ですし、消費者としては当然の行動です。しかしながら店舗ではモノが売れなくなったことで経営を立てることができず、ショールミング化によって経営状況が悪化したり倒産したところもあるでしょう。

モノが売れないもう1つの理由とは?

「モノが売れない時代」になったと言われる理由はもう1つあります。それは消費者がそれぞれ自分だけにパーソナライズされた商品やサービスを望むようになったことです。つまりニーズが多様化・細分化してきています。

日本のものづくり企業は世界的に見ても高い技術力を保有しており、「Made in Japan」といえば品質が高いことの代名詞です。しかしながら、SONYやPanasonicなど名立たるモノづくり企業が、厳しい状況に置かれています。

それは単なる商品力だけではモノが売れない時代となり、消費者ごとに商品やサービスのスペックや内容、マーケティティング、サポートサービス等をカスタマイズすることが強く求められているからです。そのためには高度な顧客分析によって、消費者の顕在ニーズと潜在ニーズを見極め、なおかつ消費者心理や購買行動に深い理解がないといけません。

実は日本企業の多くはこの部分が苦手で、長らくプロダクト先行型(商品やサービスのスペックを追求する)のモノづくりをしてきたことから、消費者の声に耳を傾けるということが上手くできないとも言われています。

そのため日本市場においても海外製品が多く流通していますし、日本人消費者もそれを受け入れていることからさらに「モノが売れない時代」だとされています。グローバル化に対抗する手段が必要なのだということなのでしょう。

「オムニチャネル戦略」は小売業界を救うのか?

こうした小売業界の課題を解決するための一手として注目されているのが「オムニチャネル戦略」です。これは企業が持つ販売チャネルをすべて統合した上で、消費者に今までにない購買体験を提供する戦略を指します。

オムニチャネル戦略の先駆けとなったのが米大手百貨店のMacy's(メイシーズ)です。Macy'sでは長期的な営業不振から脱却するために、店舗とEコマースを統合して新しいサービスを提供するオムニチャネル戦略を宣言します。その内容はすべての商品在庫に無線ICタグを付けて店舗とEコマースの在庫を一元化したり、店舗スタッフに専用タブレットを持たせて接客時にEコマースの商品在庫を含めて提案をできるようにするというものです。

その結果、オムニチャネル戦略を開始した1年後にはEコマースでの売上が40%増加し、大幅な商品在庫圧縮にも成功しています。

現在、このオムニチャネル戦略がいたるところで取り組まれています。日本国内でもセブン&アイホールディングスやイオングループなど小売業界大手はこぞって取り組んでおり、最近では中小企業でも複数のチャネルを統合したオムニチャネル戦略に取り組んでいます。

マイクロソフトが提供するDynamics 365は統合的なアプリケーション環境を提供することでオムニチャネル戦略の実現を支援します。各チャネルを統合した上で各業務アプリケーションからの情報を統合し、高速かつ正確なデータ分析でパーソナライズされた商品、サービス、マーケティングを展開することも可能です。オムニチャネル戦略に取り組みたいという場合は、ぜひDynamics 365に着目してください。

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