RPA化を通じて業務プロセス改革を推進するあいおいニッセイ同和損害保険

 2019.01.21  BizApp チャンネル編集部

本記事は2018年11月に行われたMicrosoft TechSummit 2018で紹介された講演「RPA・Dynamics 365の活用で実現する業務プロセス改革」のセッションレポートです。

講演者:あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 経営企画部 プロジェクト推進グループ 担当次長 佐古田有宏氏

保険業界におけるデジタル革命の推進

 損害保険業界では、この数年「InsurTech」が注目されています。端的に言えば、保険ビジネスのデジタルトランスフォーメーションを目指すもので、保険版FinTechとも言われています。スマートデバイスを積極的に活用して、ビッグデータを取得し、AI等で分析してアクションを起こす──いわゆる第四次産業革命が保険業界にも進出してきているのです。

 あいおいニッセイ同和損害保険も、こうした時代の流れの中で、デジタル革命を推進している事業者の一社です。

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 ITの力によって現在の業務を削減し、そのリソースを新たな価値創出に振り分けるのが“デジタル化”。そして新しい業務が増えたときには、さらにITによって性能や品質を向上させることが“デジタル革命”と捉えます。同社が目指すデジタル革命も同様です。

デジタル変革

 「概念としては一般的ですが、これをどのように実現すべきかという点が大きな悩みです。そこで私たちは、ビジネスプロセス(業務を変える)の改革と、ビジネスモデル(保険を変える)の改革という2つの軸の取り組みを同時に推進しています」と、あいおいニッセイ同和損害保険 経営企画部 プロジェクト推進グループ 担当次長の佐古田有宏氏は述べています。

ビジネスプロセスとビジネスモデルの改革

 あいおいニッセイ同和損害保険では、ビジネスプロセス改革として、大きく4つの取り組みを行っています。

ビジネスプロセス変革

 自動車事故などの現場では損害の程度を調査する業務が発生します。そこで、スマートフォンアプリを利用して整備工場のエンジニアと映像で状況を共有しながら、効率や速度を向上する「視界共有」を実施しています。

 保険を募集する際のパンフレットやアンケートなどの「募集文書」は、都度専門のスタッフが作成していました。これをシステム化して、誰でも簡単にチラシを作成できるようになったそうです。

 社員や代理店からの商品内容・事務処理に関する照会をAIで対応する「教えてNAVI♪」というサービスも実施しています。

基幹システムに関するお役立ち資料

 そして、テクノロジーを活用してさまざまな業務を効率化するため「業務プロセス改革」を推進しています。

 「工場の作業が自動化していったのと同様に、オフィスの業務も同じようなことが起きようとしています。重要なことは、単に作業をオートメーション化するのではなく、その過程においてプロセスを見直すこと──利用するテクノロジーに適したプロセスへと変革することだと考えています」(佐古田氏)

 ビジネスモデル改革のほうでは、「Webマーケティングの高度化」、ビッグデータを分析・活用した「アライアンスマーケティングの推進」などに取り組んでいます。

ビジネスモデル変革

 また、ベンチャー企業や大学などと協業して「オープンイノベーション」も進めており、すでに複数の取り組みが発表されています。

RPAの導入を成功に導く方法論

 あいおいニッセイ同和損害保険の“業務プロセス改革”の実現において、その中核を担っているのがRPAです。2017年にPoCを実施して手応えを得ると、2018年に準備を進め、2019年から2020年にかけて全社的に浸透・定着を図って、2021年に効果を得られるという計画を立てました。

 1年をかけたPoCを通じて、同社はさまざまな失敗を経験し、また新しい発見もありました。

 まず“RPAを活用して現場の課題を解決しよう”と考えて、スタッフから1,500もの意見を集めました。しかし、これらは目の前の課題に過ぎず、費用対効果が小さすぎました。また「RPAはカンタン」ということばを信じて要件定義を自社で作成しようと試みたものの、既存の業務の置き換えにとどまり、人的コストも見合わないことに気づきました。そこでコンサルティング企業に任せようとしたのですが、単なる“御用伺い”になってしまったそうです。

 「プロジェクトを推進するうちに、意識・意欲の高い社員が何名か見つかりました。やはり、やる気のあるメンバーと協力すると、進み具合がまったく違います。その結果、社内でブームが生まれ、他の社員も興味を持つようになりました。重要なことは、“誰”がやりたいのかという点です。現場だけでなく、私たち経営企画部門も当事者意識を持って推進することが大切だと気づきました」(佐古田氏)

 こうした経験を通じてあいおいニッセイ同和損害保険は、まずトップダウン型の「直下型PRA改革」のみを推進しています。ある事例によると、業務全体の20%ほどをロボット化したことで80%の業務量削減効果を得られたそうです。このボリュームゾーンを見つけて短期間で最大の効果を得るには、直下型のほうが向いているという判断です。

RPA種類

 佐古田氏によると、このボリュームゾーン(大玉業務)をヒアリングで見つけることは困難であるため、作業ごとの内容、人数、労働時間をすべて洗い出しました。まず労働時間の大きいものを見つけ、関与する人数の多いものを深く掘り下げて分析していきました。そして、発見した大玉業務の中からRPA化できない作業を排除し、費用対効果の高い作業を優先的に検討していきました。

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RPAとDynamics 365で4万時間の労力削減を見込む

 RPAとは、ヒトの作業をロボットに代行させる技術であるため、データ化を行うための技術を組み合わせる必要があります。

  例えば「AI-OCR」は、紙の書類に記載された情報のデータ化を実現する技術です。しかしプロジェクト推進グループは、従来の紙主体の業務を認めてしまうことになり、抜本的な見直しができないと判断しました。

  そこで同社はDynamics 365を選び、直接システムに入力してデータ化するアプローチを採用しました。業務の上流でデータ化を実現でき、紙を介した処理を撲滅し、抜本的に業務を見直せると考えたのです。

RPAとDynamics365

  例えば経理部門では、保険料入金・債権等の調査結果を各営業拠点から紙資料で収集し、その内容を確認してシステムに入力する「消込」という作業を行います。書類は部門内でダブルチェックを行い、情報に問題があれば、不備照会対応という業務も発生します。従来、内容の確認だけで年間3万6,000時間、消込作業で4,000時間が費やされていました。

  この業務をDynamics 365を介して紙資料を排除しつつ、データ収集や状況調査、内容確認、消込といった作業をRPA化し、合計4万時間もの労力を削減を見込んでいます。

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経営者も現場スタッフも当事者意識を持つことが大切

 あいおいニッセイ同和損害保険では、まずボリュームゾーンのRPA化に着手し、費用対効果の小さなものは無視するというアプローチを採りました。しかし佐古田氏は、業務プロセス改革の内製化を進めて、コストを抑えつつ地道に改善していきたいと考えています。

  またDynamics 365とRPAの活用レベルをより高めて、改革プロセスを自立させ、デジタル化の対象範囲を広げて、継続的な変革を行えるような風土を作っていきたいともの述べています。

  「改革を成功させるには、経営層も現場も当事者意識を持つことが大切です。コンサルタントのサポートを受けるにしても、自ら手を動かすことが重要なのです。また、社内にムーブメントを起こして、改革機運を醸成していくことも必要です。そして、継続していくことが欠かせません」(佐古田氏)

Microsoft Dynamics 365概要

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