RPA/ワークフロー

RPAを成功に導く導入ステップ

RPA(Robotic Process Automation/ロボティック・プロセス・オートメーション)が注目されたのは比較的新しいこともあり、多くの企業では試行錯誤を繰り返しながらの導入が一般的でした。最近では成功事例が多く出てきている状況ではありますが、その裏には多くの失敗もあったことでしょう。

そして、これからRPAを導入する企業にとって重要なことは先人たちの失敗や成功を元にした「RPAを成功に導く導入ステップ」を知ることと言っても過言ではありません。では、成功と失敗の境界線とは何か?成功の定義は各社違うことがほとんどですが、一般的には「費用対効果の高さ」と言えるのではないでしょうか。幸いにも、RPAは「労働時間を〇〇時間削減した」という明確な指標を持つことが可能なので、費用対効果の算出に手間取ることは少ないでしょう。今回は、このRPAを成功に導く導入ステップをご紹介します。

RPAを成功に導く導入ステップ

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ステップ1. 成功事例ばかりで稟議を進めない

RPAを導入するに際し、経営者や部門責任者を説得するための稟議では「成功事例の提示」は必須です。しかしそればかりに注力していると、ねじれた認識によってRPAへの期待が膨らみ、結果として適切なツール選定ができない可能性が高くなります。また、後々のもっと成功することを期待していたなどと言われることもあるかもしれません。

稟議において積極的に議論すべきなのは、「自社におけるRPA導入の成功とは何か?」につきます。実は、とりあえずRPAを入れてみたという企業は多く存在します。そのケースにおいて成功の定義を持たない企業が多く、それは不適切なツールを選択してしまうという失敗に直結します。

RPAは既存のシステム環境に及ぼす影響が少ないことから選定は簡単にも思えますが、実際は社内ITリテラシーなどを鑑みながら十分に調査する必要があります。また、成功事例を参考にするのは良いですが、それはあくまで自社とは環境が異なる他社の事例と認識するべきでしょう。他社との環境の違いを考慮した上で、自社環境に取り組みを落とし込む。これこそがRPAのベストプラクティスを吸収する上で欠かせない作業です。

ステップ2. 業務プロセスの洗い出し

1990年代に世界中でBPR(Business Process Re-engineering:ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)ムーブメントが起こり、既存の業務プロセスを再編成することで高度な効率化を目指す動きが活発化しました。それに伴いERP(Enterprise Resource Planning:エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入も活発になり、業務の部門最適化から脱却した企業も少なくありません。

RPAは、ERP同様に既存の業務プロセスに大きな変革をもたらす存在です。そこで重要なのが業務プロセスの洗い出しです。一般的にRPAは「経理や総務などホワイトカラーの定型業務を自動化する」とされています。しかしあくまで一般論であり、自社内の業務プロセスにおいて最も自動化効果が高い業務がそれとは限りません。RPAを成功させるには、自動化の効果と優先度が高い業務プロセスから積極的にロボットを作成することがポイントです。それを把握するためにも、改めて業務プロセスの洗い出しを行いましょう。

また、業務プロセス間の繋がりも無視できません。例えばAという業務プロセスは効率化できても、逆に後続のBという業務プロセスが非効率的になってしまったという事例も決して少なくないからです。業務プロセス間の繋がりを意識するためにも、洗い出しを徹底しましょう。

ステップ3. スモールスタートを意識しすぎないツール選定

特定領域で運用をスタートし、実績を重ねて徐々に全社展開する「スモールスタート」はRPA導入のセオリーだと考えられています。しかしながら、これを意識するあまり適切なツール選定が難しくなる可能性があります。

スモールスタートを前提にしたRPA導入では「最初は小さくても構わない」ことが前提になるので、どうしてもミニマムな製品を選びがちになります。さらにコスト面も考慮してしまうと、大半の企業が安くコンパクトな製品に行き着きます。

重要なのはやはり「成功の定義」を作り、RPAを活用したゴールを定め、それに即したツール選定を進めることです。スモールスタート自体が問題なのではありません。それを意識するがあまり、不適的なツール選定のスパイラルに陥ることが問題と捉えましょう。

ステップ4. RPA推進体制の構築

RPA導入は大まかに2通りのパターンがあります。現場主導で、システム部門や事業部門が中心となって既存の業務プロセスをRPA化していくパターン。そして。経営層をリーダーとして、もしくは専門チームを発足して全社最適化の観点からRPA化していくパターンです。RPA導入において高い効果を発揮しているのは大方後者のパターンとなります。

考えられる理由はまず、RPAには「ルールや標準化といった統制」が必ず必要なことです。RPAは事業部門が主体となり、気軽にロボットを作成することで様々な業務プロセスを自動化し、結果的に組織の生産性がアップするといった事例がよく見られます。ここで注意すべきは、そうした成功事例でも最初はトップダウン形式によってRPAが導入されることが多い、ということです。

RPAでは業務プロセス運用におけるルールや制度の見直しが必要となり、ロボット作成や管理などについても標準化に取り組まないとあっという間に混沌とした状況を生み出し、ガバナンスを低下させます。このため、RPA導入前は必ずきちんとした推進体制を構築する必要があるのです。

ステップ5. トップダウンでRPA導入に踏み出す

最終的には、経営層をリーダーとしたトップダウン形式によって統制の取れたRPA導入が成功の秘訣となります。その際にはRPA推進組織によって業務プロセスをしっかりと洗い出し、分析し、自動化の優先度が高い業務プロセスから順に実行していきます。

また、RPAを成功させるには「ロボットによって自動化効果が現れた」という実績を記録し、それを事業部門ユーザーに実感してもらうことが重要です。最終的には事業部門ユーザーが主体となったRPA運用を目指すのであれば、RPAの利点を理解してもらうことがとても重要になります。

実は、RPAを聞いてもその効果などについて具体的なイメージが湧かずに、利用を拒否するユーザーも少なくありません。RPA導入では技術的な問題よりも人間的な問題が現れやすいので、常に事業部門の視点に立った導入を心がけることも大切です。

計画的なRPA導入を

昨今ではずいぶん気軽に導入できるようになったRPAですが、それゆえ導入さえすれば後は事業部門で上手く活用してくれるだろうと考えるのは危険です。現在RPA導入を目指している企業の方々は本記事でご紹介したステップを意識しながら、課題を一つ一つ丁寧にクリアしていただければ幸いです。

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